283:イタリアン(イタリア) 1/1[saga]
2016/09/10(土) 16:19:23.40 ID:LJqXzvuk0
「 お腹が減ったので、町が見渡せるオステリアに立ち寄った。店内へ入ると、パンや野菜のいい匂いがした。今は昼時なんだけれど、結構人だかりができていた。
何やら天才ヴァイオリニストとやらが、店内でコンサートを開いているという。席に着くまでに、心地よい音色が聞こえてくる。可憐なドレスに身をまとった少女がガボットを弾いていた。
「何歳だと思う?」
「二十後半だなありゃ」
d 酒臭い中年がピアニストを指差して笑った。そのうち料理と一緒に酒が届いた。
しばらくゆっくりしていると、ピアニストが換わった。伴奏者がレを三回鳴らすと、聞こえてくるのはラ・フォリア。見ると、弾き手は少年だ。随分とぼろ雑巾のような服と安っぽいヴァイオリン。
聴けば分かる。相当な腕前だ。だが周りの人々はこう言う。
「もっとマシな格好をしろ」
「女を出せ」
「あいつあの貧乏一家の長男だってよ。いくらヴァイオリンがうまくたってなあ」
前菜を食べ終え、私は店を出た。さあ、中学校に行こう。」
「この小説面白いな」
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