154:力(お題:異能) 1/3 ◆5/LS/WfFg.[saga]
2016/06/06(月) 00:01:31.90 ID:3M38LdLZ0
高校進学を機にスマートフォンを持つようになって、SNSが持つその一種の力のようなものを初めて実感し
たのはいつ頃だったろうか。
それまでもTwitterというSNSが存在していることは知っていたし、それがどのような機能を持ち、人々が
どのように利用しているのかもある程度理解しているつもりだった。
だが、実際自分がTwitterに登録して利用して見ると、それまで知っていた知識とは比べ物にならないほど
の大きさの人と人の繋がり、そうまるで巨大な組織のようなある種の大規模なコミュニティが形成されてい
ることに僕は気がついた。
そう、思い出した。はじめにこのTwitterの恐ろしい力を実感したのは、去年、僕が高校一年生の時だ。
クラスの所謂リア充グループに属する、仮にここではA君としよう、その彼が引き起こした、いや巻き込まれた、
被害にあったとも言えるそんな事件がきっかけだったと思う。
一年生のはじめの頃、まだクラスのみんなが馴染めていないときだ。なんとなく近くの人同士で携帯電話の番号、
メールアドレス、そしてTwitterのアカウントを教えあおうという空気ができていた。人見知りするほうの僕ですら、
高校進学したばかりの高揚感とその場の空気に流されてアカウントを作ったものだった。
しかし、ただ一人その空気に混ぜれない人間がいた。彼のことをここで仮にB君としよう。いまどき携帯を持って
いない高校生なんているはずがなくB君も携帯電話は持っていた。しかし、彼が持っていたのはスマートフォンでは
なく、かなり古いタイプのガラケーでTwitterをすることができなかったのだ。
はじめはそのB君の持っていたガラケーの物珍しさと、彼をいじるネタな部分があり、別段険悪な雰囲気はなかった。
だが、やはり高校生活を送るうえで一人だけ情報をみんなと共有できないというのは、きっと、親や教師ほとんどの
人間が想像しているよりずっと大きな問題があったのだろう。
次第にB君を弄る行為はエスカレートしていき、その中でも特に酷かったのは先ほどのA君だった。
A君はクラスの人気者であり、成績も優秀、不良のような素行はなく教師からの評価も悪いものではなかったと思う。
そして彼はみんなを笑わせるのが得意で、つまりそういったお笑い芸人的な要素でクラスの地位を獲得した人間だった。
彼はある時、ガラケーを操作しているB君をスマートフォンで撮影してTwitterのアカウントに画像つきでツイートした
のだった。そして、このA君のツイートはクラスの中で反響を呼んだ。良い意味で。
このツイートはたちまちクラスの中で笑いの種となり、大量の「いいね」を生み、リツイートがリツイートが呼び、
やがてクラスの輪から飛び出し他のクラス、他の学年へと飛び火していった。
これが、きっとA君が想像しているよりみんなにウケてしまったのが、この行為をエスカレートさせてしまった
原因だったのではないだろうか。
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