文才ないけど小説かく 7
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146:常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)1/6 ◆NSr7d3y3ORk4[saga]
2016/06/05(日) 17:37:07.03 ID:/TPwIHZ4o

ねえ、先生?

先生は生まれた頃の体重を覚えている?


私がこの世でもういちど産声を上げたとき、この身体は二九八二グラムだったんだ。

三度目は二九六一グラム、その次は二九四〇グラム。

そして先生と向かい合っている今の私は、かつて二一〇〇グラムしかなかったんだよ。


二一グラム。 人間は死ぬと二一グラムだけ軽くなるんだ。

それが魂の重さで、ヒトが生まれ直すたびに削り取られていく真の寿命の単位。


世界が神様の寵愛に包まれて、私達がお葬式をあげなくなってから人も国も変わってしまった。

国家はとても喜んでいるね。 福祉資源を掠めとる老人達を、赤ちゃんへリサイクルできるんだもの。

道徳は命の価値がどこかへ飛んで行ってしまって、思想と経済価値だけが人の脳を支配している。


だけど擦り減っていく魂のことなんて、誰も彼もが目を背けて見ようともしない。



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