文才ないけど小説かく 7
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10:白い空の下で 1/4 ◆d9gN98TTJY[sage]
2016/02/07(日) 23:13:33.25 ID:lRIA5Tkuo

 厚手の手袋越しだというのにすっかり指先は冷えていて、それほど長く空を見ていたのか
と少し驚いた。
 自転車を支える手はすっかりかじかんでいたのに、まだこの胸は熱いつもりで――。零れ
出た息が白いのは当然の事だろうに、この身が立ち竦むに任せて、ただ、空を見ていた。
 街中を走り抜けた身体の熱さを、走り出さずに居られなかった熱を、吐き出してしまいたく
て。空一面の雲と同じ色をした息を吐きながら、ただ空を見ていた。
 時には視界が霞むに任せて、舞いては静かに街中に降り下るこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいと、一面の空を覆って
隠す雲と、白く空気に溶けていく吐息とが綯い交ぜになるままに、ただ空を見ていた。
 見るともなしに、こうしてただ空を見ていたように。
 それがそうであると判っているつもりの事すら、判ろうとしていなかった。



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