78: ◆8hR4QzB4Ro[ saga]
2016/03/17(木) 03:04:51.02 ID:Y1+QE2tL0
顔面を切り裂きに来た爪をどうにかかわし、しかしそこに視点が向いた瞬間には背中を抉られ右の太股を切り裂かれ、畳み掛けるように右腕を貫かれ……夥しい数の爪がチルの身体を抉り、切り裂き、貫いて、削って、刻んで、引き裂いていく
しかし、魔力で制御された全ての爪は器用に急所を避けた。数百と切り刻まれ、十本以上の爪に身体を貫かれたチルに抵抗の術など無いが、気力だけはどうにか保っている
チル「く……ぁ……」
キリカ「お、どうにか生きてるって感じだね」
身体の至るところを飾る爪のせいで倒れこむ事も出来ず、ブリッジのような姿勢で半分宙吊りのチルに問い掛ける
体重を支えるのが爪のみなので、彼女の身体は自重で少しずつ沈み続けていく。凶器が続々と自身の身体を突き抜けていく恐怖と激痛に、今にも上げたい悲鳴を噛み殺す事で無理矢理気力を保っている
チル「っ……う……う……」
チルの真下の地面に出来た血だまりに、わざと足音を立てながらキリカが踏み入る
キリカ「ははは!!」
痛みのショックでほとんど意識が飛びかけているチルだが、キリカの気配には感づいたらしく、口をパクパクさせて呪いの言葉を吐いている
キリカ「ふふ、りっぱな心掛けだね!」
……吐いてはいるのだが、本当に息も絶え絶えな為誰にも聞き取れない
キリカ「さて」
空中で中途半端に静止して生死を彷徨うチルを、爪で自分がけがをしないように気を付けて鳩尾のあたりに足をのせた
キリカ「アーユー ハッピーナウ?」
チル「きゃあッ!!——あ、ああああああァァッッ!!!!!」
ぐっと足に力を入れても中途半端にしか進まず「今度こそは」と魔法でブーストをかけて一気に踏み沈めた
二度目の踏み込みのあたりでのどが避けんばかりの絶叫を挙げた直後でチルの変身はとけ、クリーム色のぼんぼりがついた可愛らしいセーターは一瞬で真っ赤に染まり、目を見開いたまま失禁して失神してしまった
キリカ「さて、無事かい?」
さやか「…………はい」
キリカ「私の怪我を直してほしいところなんだけど……難しそうだね」
さやか「…………ごめんなさい」
ティータ「ぶるうぇえええい!!」
地面を爪で割りながら巨大な迷彩模様のサソリ……『砂漠の魔女』が姿を現した
キリカ「蟻地獄!?ってか忘れてたぁ!?」
さやか「あ……」
半死半生のチルの胴体を爪で挟んで振り回しながら尻尾をキリカとさやかへ突き立てに来る。臨戦態勢のキリカは速度低下をかけた後さやかを抱えて跳んだ
キリカ「まあ申し訳ないがあの子にはここで死んでもらおう!」
さやか「そんな……」
キリカ「希望を捨てない!もしかしたら助けが間に合うかもしれない!黄色くて強くて巨乳でリボンの魔法を使う人とか来てくれるかも!」
「『ティロ・フィナーレ』!」
さやキリ((マジで来たよ……))
魔女は死んだ。爆発に巻き込まれたチルはリボンでぐるぐる巻きにされてマミのもとへすーっとひっぱられた
さやか(なにこの茶番……)
キリカ「こういうのをことわざで『願えば叶う』と言うんだ」
マミ「『愚者を旅に出しても愚者のまま帰ってくる』ってことわざもあるのよ、キリカ」
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