勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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683: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/11/03(金) 18:31:34.68 ID:uAQKxthS0
 長い沈黙があった。
 そして―――ぽたぽたと、勇者の頬から大粒の涙がこぼれ始めた。

勇者「お、俺は…俺は、自分が情けない……!」

 嗚咽を漏らし、言葉を詰まらせながら、勇者は心中を吐露する。

勇者「本当は駄目なのに……俺は独りでなくてはならないのに……だけど、嬉しくってしょうがない…! 戦士の気持ちが、ありがたくってしょうがない……!!」

 戦士は微笑みを浮かべ、勇者の手を引き、その体を抱き寄せた。

勇者「うぐ、うぅ…! なんて体たらく…! 何が神だ……俺は、無様だ……!!」

戦士「いいんだ。いいんだよ、勇者。ずっと、どんなことがあっても、私だけはお前の味方だ」

 ぐしゅぐしゅと、勇者は子供のように泣きじゃくる。
 戦士もまた、その目にうっすらと涙を浮かべて、勇者の頭を抱きしめた。

戦士「不死になるために12年。それからも18年もの間、お前を探し求め続けたんだ……やっと、やっとこうしてこの手で抱きしめることが出来た……!」

勇者「ごめん…! ごめんよ……戦士……!!」

戦士「ううん、いいよ……愛してる、勇者……」






 これまでの空白を埋めるように、二人は熱く抱擁を交わす。


 しかし、もう間もなく、人の世で新たに罪を犯す者は現れる。


 そうなれば、勇者は裁きの為にこの地を離れなくてはならない。


 現在、勇者は自らが生きる時間のほとんどを裁きの執行に費やしている。


 勇者と戦士、共に生きると誓っても、これから先二人が蜜月の日々を送ることはない。



 それが、絶対の罰則装置として君臨することを選んだ彼の運命。





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