勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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33:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 22:02:33.55 ID:zBP9Ql630
衝撃が走った。
目をつぶったまま吹き飛ばされた僧侶は、たっぷりと地面を転がった後、訳も分からず立ち上がり、目を開いた。
僧侶「――――え?」
僧侶は呆然と呟き、己の目を疑った。
勇者が地面に転がっていた。周りには血だまりが広がっている。
戦士も同様に、すぐ傍に倒れていた。やはり地面には血だまりが広がっている。
武道家は木の幹に背を預けて座っていた。幹は血でべっとりと濡れている。
幼女の姿のまま右腕と翼を捥がれた竜神が木の枝に引っかかっていた。地面に滴る紫の血がぽたぽたと音を鳴らしている。
エルフ少女の胸に、自身が持っていたはずの短刀が突き立っていた。地面には血だまりが広がり続けている。
血に染まった騎士が、その中心に立っていた。
だけど彼の血だけは、彼自身のものじゃなく、すべて返り血なのだとすぐに分かった。
何故なら彼は笑っていたからだ。
苦悶の様子など欠片も無く、その顔はただ愉悦に歪んでいた。
僧侶「あ…あ……」
その事実は、僧侶の頭に殊更ゆっくり浸透した。
ようやく頭が理解に追いついて、僧侶の目に大粒の涙が浮かぶ。
勇者達は、全滅した。
第二十八章 モンスター 完
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