81: ◆fpdfvEPUTs[saga]
2016/08/10(水) 02:28:57.22 ID:uiptRpih0
沼の畔の廃校があった場所には何も無かった。沼も無い。周囲が整地されたかのように赤茶けた泥の地面にキャタピラの跡が無数に点いていた。
黄色い無人のブルトーザーが沼の畔の廃校があった場所に放置され、傍らに元廃校だと思われる瓦礫の山があった。
唖然とした。
何もかもが無くなってしまっていた。
その日は夕焼け小焼けが聞こえて来るまでその場にいたが、なみは来なかった。
次の日も更にその次の日も行ったが夏休み最後の日を境になみが来る事は無かった。
そうして1週間もすると何かの工事が始まった。家でも建つのだろうか。
俺は諦める決心をした。最後にもう1回だけなみに会いたいと思っていたけどそれも無理な様だ。
今なら引越し先の住所を聞いて会いに行けばいいと思うが、当時の自分にはそれすら出来なかった。
帰ろうとした時に瓦礫の中に朱色の物が見えた。何かと思ってみると以前なみと一緒に手を合わせた小さな祠の屋根だった。
祠の神様もどこかに引っ越したのかな。
俺の淡い初恋が終わった。
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