28:名無しNIPPER[saga]
2015/12/16(水) 00:23:32.62 ID:OtBfvlRMo
二見はスーパー内を足早に移動している。あいつ、何か買物でもあるのか。今日はやけ
に二見に縁があるな。そう思って麻衣から目を離し二見の方に視線を動かすと、彼女はか
がんでなにやらシャンプーとかそういう品物を選んでいるようだった。彼女はシャンプー
みたいな商品をかごに入れて立ち上がるとき、何かを床に落とした。財布のようだった。
「聞いてるけど・・・・・・あのさ」
「どうしたの?」
「ちょっと買いたい物あるから」
「うん?」
「探してる間おまえ買い物してろよ」
「別にいいけど。あたし冷凍食品とか買ってるから」
「・・・・・・ビーフシチュー作るのに何で冷食を」
「冷凍食品はお弁当用だよ。じゃあ、あまり待たせないでね」
「ああ」
床に放置されていたのはやはり財布だった。赤い皮の財布だ。二見を見つけて声をかけ
用と思ったけど。彼女の姿が見当たらない。早く返さないと麻衣を待たせることになる。
せっかく直った妹の機嫌がまた悪くなったら目も当てられない。そうなれば今夜の俺の平
穏な時間は失われたも同然だ。二見が見つからないのなら、レジの横にあるサービスカウ
ンターで店員に託せばいいのだ。俺はそう思い立って早足でレジの方に向かった。麻衣の
機嫌が悪くならないうちにさっさとこの財布を預けてしまおう。
そう思った俺が客が並んでいるレジの横を通り過ぎようとしたとき、すぐ横のレジの前
に当の本人が清算を待っていることに気がついた。
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