末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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63: ◆54DIlPdu2E[saga]
2016/01/10(日) 21:31:34.71 ID:ikZOb3it0
翌朝、6時20分。次兄の客間。

次兄「……別れの朝、せめてカラッと秋晴れならばよいものを」

空:どんより

次兄「なんだと言うのだ、この曇天と来たら」

次兄「空一面、まるで俺の虹彩のごとき渋い灰色ではありませんか……」ハァ

次兄「…………とか言って」

次兄「わかっております、空の色にかこつけているが、窓の外を見る前から消沈しているのは我が心だ、と」

次兄「末妹に笑顔で別れようねって言ったのはどの口だ、この口かぁ!?」ムニュイイイイイイイ

次兄「……痛ぇ」ヒリヒリ

次兄「うむ、一時のちっぽけな感傷など吹っ飛んでしまうがよろしい」

次兄「最後の一瞬まで執事さんの姿でもこの網膜に焼き付けておく方がよほど有意義というものです」

次兄「さて、元気よく着替えて顔でも洗って来ましょうかね!」

……

末妹の客間。

末妹「……ぐっすり眠れたわ、着替えて顔を洗ったら、ご飯の前に馬さんの顔を見てこようかな?」

末妹「曇っているけど、雨は降っていない、よかった」

末妹「……」

末妹「私達が何をしていても、何を思っていても、こうして朝はやって来る」

末妹「皆さんと笑顔でお別れ、そして笑顔でお父さんの所に帰る……」

末妹「…うん、大丈夫、できる」コクリ

末妹「私は大丈夫です、約束守れます、野獣様」

末妹「野獣様も夢の世界から笑顔で見送ってくださいますよね?」

末妹「さあ、お兄ちゃんに会ったら元気に『おはよう』って言わなくちゃ!」

……



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