末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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◆54DIlPdu2E
[sage saga]
2017/06/11(日) 02:13:47.17 ID:4zPeEzMc0
(野獣「……まあ確かに重いというか、私も菫花と同じように、今まで知らなかった話も多くてな」)
(王子「……」グシュグシュ)
(野獣「菫花が泣きやむまでの間に、末妹と次兄にも(刺激の強い部分はなるべく省いて)かいつまんで話すか……」)
…………
(次兄「……おっさんと王様には、そんな繋がりがあったのか……」)
(次兄「それに、野獣様達のご先祖……初代王が正体を隠して何百年も生きていたなんて」)
(末妹「……王様と王妃様の……人知れない悲しみ……孤独……失ったもの、得られなかったもの……」)
(末妹「……私には、及びもつかないし計り知れない」)
(次兄「俺だってそうだよ」)
(次兄「そんな俺達から今の菫花さんには、どんな慰めの言葉をかけても上辺になっちゃう気がする」)
(野獣「……すまん、お前達に精神的重圧をかける意図はなかったのだが」)
(野獣「ただ、泣きやまないこいつに対し、次兄のような言い回しをするなら『どん退かないで』いてやって欲しいのだ」)
(次兄「今さら菫花さんに対してソレはないのでご心配なく、ほんと今さら」)
(末妹「……私も、とても慰めの言葉は持てません、でも……」)
(末妹「今の菫花さんには……本当は、他の誰よりも師匠様が……師匠様の言葉が、必要ではないでしょうか?」)
(王子「……!?」)
(末妹「菫花さんの悲しみは、遠く離れた私の……私の持つ野獣様の欠片に届くほどの、強い悲しみ」)
(末妹「それは……師匠様を大切に想ってこその、強い悲しみ」)
(末妹「師匠様も……菫花さんのために、心置きなく泣けるように、誰も入れない場所を作ってくださった」)
(末妹「きっと師匠様は『ここ』に野獣様や兄や私がいるのも、もう知っているはず」)
(末妹「知っているからこそ、いつでも師匠様の力があれば入って来れるのに、来ないのだと思います」)
(次兄「おっさんは敢えて入って来ない、ってわけ……?」)
(末妹「ええ、ですから……菫花さんと師匠様は、今、すれ違っている、と思うのです……」)
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