末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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◆54DIlPdu2E
[saga]
2016/12/04(日) 23:00:21.23 ID:HNZWbc4X0
師匠と王子。
師匠「……お前も知っての通り、小国の王族の子供らは」
師匠「王子や王女、王の弟妹あたりは、城から出ることなく多くの家庭教師から勉強を教わっていた」
師匠「お前の母親、そして若くして亡くなったその兄王子達も」
師匠「そして……もう少し王位継承権が下位の者は、多くが近隣国のいわゆる名門校へ留学させられていた」
師匠「お前の父親……お前の祖父の従弟の息子であった彼も、その一人だった」
師匠「現在、この国の王都で最も古い男子校となっている学校に」
王子「……もしかして」
師匠「そう、今の時代は庶民でもそこそこの金と実力があれば普通に入学できるからな」
師匠「あの商人と長兄の母校だよ」
師匠「当時と現在は学校の制度だの教える分野だのなんだの少し違うが」
師匠「とにかくお前の父は13歳でそこへ留学してきた」
師匠「……で、実は、当時から信用ある推薦人と入学試験で上位を取れる力があれば、金持の子供でなくとも入学は可能でな」
師匠「同じ時期に同じ年齢で同じ国から留学してきた少年がひとりだけいた」
師匠「それがこの儂だ」
王子「師匠が……師匠にも、少年時代が……」
師匠「突っ込みどころはそこか」
師匠「儂だって生まれた時から『おっさん』ではないわい間抜けめ!」
師匠「……話を戻す」
師匠「同い年で出身も同じとのことで、儂とお前の父は同じクラスに入れられた」
師匠「子供の頃は王族だの貴族だのとの面識も一切なく、もちろん彼とも初対面でな」
師匠「彼からかけられた最初の言葉はこうだ」
師匠「『授業以外で俺に話しかけるなよ貧乏人』」
王子「 」
師匠「……ま、当時から可愛げはなかったわなあ」
王子「た、確かに……父の言動を思い起こせば、違和感はありませんが……」
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