末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
1- 20
100: ◆54DIlPdu2E[saga]
2016/02/28(日) 00:27:34.39 ID:dkyA67w70
師匠「ふむ、野生種の林檎の酸味を敢えて活かす事で、爽やかなサラダに仕上がっているな」

末妹「どれも本当に美味しい……あら、キッシュのチーズは種類を混ぜて使っているのね」

王子「味に深みが出るんですよ、具が野菜中心でも満足感が得られます」

王子「……ずっと前に料理長さんは野獣からそれを教わり、以来、料理に合わせてあれこれ自分で工夫しているそうです」

末妹「……野獣様」

末妹「野獣様はこの席にいなくても、教えを、野獣様の好みをお屋敷の皆さんは守り続けている」

末妹「……『野獣様の欠片』を持っているのは、私だけじゃないのね」

王子「末妹さん?」

末妹「もちろん、菫花さんはいつも共におられるのでしょうけど」

末妹「料理長さん、執事さん、庭師くん、メイドちゃんも」

末妹「野獣様の教え、野獣様の言葉、野獣様の心を受け取って」

末妹「それだって野獣様の一部だもの」

末妹「お兄ちゃんだって同じ」

次兄「はい? 何が?」ポリポリ

メイド「次兄様、サラダから胡桃だけ拾って食べるのはさすがにお行儀が」

次兄「ちゃんと他の物も完食するから安心してよ、でも胡桃のお替わりがあると嬉しいかしら」ポリポリ

料理長「そう思って、持って来ましたよ。はい次兄様」ザラザラザラー

師匠「もうトッピングどころか胡桃がメインだな」

末妹「……お兄ちゃんも、野獣様の欠片を持っている」

末妹「師匠様だって、きっと」

王子「……」

王子「……そうですね、この場に彼の姿を見ることはできなくても」

王子「今もこの先も、ずっと……僕だけじゃない、君とも、皆とも」

王子「野獣はすぐそばにいる、一緒に生きて行く」

王子「お互いを忘れない限り、いつまでもね」

末妹「ええ、いつまでも……」

……



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
689Res/550.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice