「『須賀京太郎』とは、あなたのそうぞう上の存在に過ぎないのではないでしょうか」
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662:名無しNIPPER[saga]
2016/11/02(水) 23:41:15.99 ID:mI+Zg/sJo


その瞬間。

何故か、ハギヨシは目を見開き、固まった。



そのようなハギヨシの反応は初めてで、手を伸ばしたままハギヨシを凝視してしまった。

衣の視線を感じてか、ハギヨシは──これも珍しいことだが──照れたように微笑む。


「……いえ、気のせいだったかもしれません」


気の所為。

何が?


「約束が、か?」

「はい」


カップケーキを口に運びながら、呆然としてしまう。

ハギヨシが、約束していたことを錯覚する。

そんなことがあり得るのか。


「……珍しいな、ハギヨシが思い違いなど」

「お恥ずかしい限りです」

「どこだ?」

「……」

「少し気になるだけだ」


言い訳になると考えて、詳細を伏せようとしているのだろう。

しかし、やはり震天動地だ。

カップケーキを噛みしめる。

ヌガーが薄く混ぜ込まれたそれは、甘く舌に溶ける。


ハギヨシは、約束事となれば銘肌鏤骨の男である。

約束を忘れることも、していない約束をしていると錯覚することも、俄には信じがたい。

例えそれが真実だとしても、そこには何か外部的な理由があるのではないか──そう、思いたかった。

ハギヨシは、少し躊躇った後、言う。




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