【安価・コンマ】ネオサイタマでニンジャライフ サイゴン!その19【忍殺】
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486: ◆WolEwA02oI[saga]
2016/06/13(月) 21:24:22.82 ID:xkUOhvyH0
「ええ。まだ修復可能です。ご迷惑をおかけしました」

サブロ老人は頭を下げる。チガサキの腕のギブスは己の道具の強度不足が原因だと思ったからだ。

「頭を下げないでください。かかった強度が尋常ではないだけです。ここの道具じゃなかったら・・・今頃腕が無くなっています」

「・・・・・・ありがとうございます」

サブロ老人は顧客の情報を無駄に仕入れない。踏み込んではいけない領域だと知っているからだ。

「修復の方ですが・・・腕がコレなんですが、大丈夫ですか?」

チガサキは骨折した腕のギブスを見せる。

「大丈夫です。設計書と感覚でどうにでもなります」

普通であれば何度も着脱して調整するものだが、サブロ老人がそういうのだ。間違いはないだろう。

「ヨロシクオネガイシマス」

チガサキは頭を下げた。

朝のオオヌギ・ジャンク・クラスターヤードに金槌の音が響く。

その金属音の清んだ音から良質な金属を使っていることが如実に伺えた。

「1つ・・・聞いてもよろしいですか?」

チガサキは金槌を振るうサブロ老人に尋ねる。

「なんでしょうか?」

サブロ老人は金槌を振るいながら振り返ることなく受け答える。

熟練の職人である彼でならば作業しながらの受け答えなどどうということはない。

「オーガニックの花を扱っている店を知っていますか?」

その質問にサブロ老人の手が止まる。

「オーガニックの・・・花、ですか」

このネオサイタマにおいて一切の遺伝子操作のなされていないオーガニックの花を揃えるのは異常なほど難しい。

カチグミどもがこぞってやる生け花の花も、遺伝子操作によって造られた花だ。

キョートの上流階級の中でも天辺に近い人間であればよく見るであろうが、ここはネオサイタマだ。

こんな場所でそんなものを求めるのだ。用途は言うまでもない。

「1件だけ・・・商売でやっているかどうかはわかりませんが、オーガニックの花を栽培している方は知っています」

「なんと」

チガサキは驚いた。すべての情報を秘匿するドウグ社らしからぬ情報開示だ。

「いえ。その主人が 価値の分かる人が来てくれるのならば歓迎。是非とも教えてあげてほしい とおっしゃっていましたので」

「なるほど。ブレーサーが直ったらぜひ紹介していただきたい」

「分かりました」

そういうとサブロ老人は再び金槌を振るい始めた。


「これで直りました。装着も・・・問題ないかと思います」

数時間後ブレーサーは新品同様に綺麗に直っていた。

「ありがとうございます。お代の方ですが・・・」

「結構です。長く使っていただいていることこそが私にとって最高の報酬です」

「・・・・・・ありがとうございます」

「それと、これを。紹介状です」

サブロ老人は封筒をチガサキに手渡す。裏面には住所とサブロ老人の名前が直筆で書かれているようだ。

「これを見せれば取り合ってくれるかと」

「何から何まで・・・」

チガサキは再び頭を下げた。


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