383: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/11/25(水) 03:08:52.18 ID:Mm2oT6db0
しゅ、という音がした。
舌を噛み切ろうとした歯は、
それよりも速く口にねじ込まれた手ぬぐいを、
ぎりぎりと噛みしめていた。
青年「死んじゃだめです」
盗賊「ぐう、ううううううあああああ!!!!!!」
青年「娘さんはどうするんです」
盗賊「……!?!?」
青年「娘さんに会いたくはないですか?」
その時、なんの抵抗もなく。
心にするりと、ひとつの感情が滑りこんだ。
――――会いたい、と。
しかし会っても、償う事も、支えてやる事もできない。
自分では、娘にどうしてやる事もできない。
青年「ああ、…すみません。
口を放してください」
盗賊「…ぅ……ぁ……………。
その、…子は」
青年「会いたいですか?」
盗賊「……会えなくても。
会えなくてもいい!!!
会わせる顔なんて、…とても……!!!」
青年「……………」
盗賊「ひと目でいい!!!!
ひと目でいい、見させてくれ!!!
頼む!!!」
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