223: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/09/19(土) 02:30:50.60 ID:HzNUYnay0
見習「………姐さん。
みな、配置に着いています。
命令を待つのみです」
賢者「ええ。
わかってるわ」
見習「……………」
眼前に広がる光景は、
果たして現実なのか。
それとも、地獄なのか。
暴れ出しそうな心を必死で抑えつける。
心拍は大きく、速くなり、
気を抜けば心臓を破りそうだ。
身体は指ひとつ動かない。
動かないのに、
口が渇き、息が上がり、
心臓は暴れ出しそうなほどに波打つ。
全身から流れ出す脂汗を止める事ができない。
これは、怒りだ。
熱狂。怒り。
それらが人を変える。
故に、頭のどこかの理性が答えを告げる。
この光景は、熱狂と怒りの産物だと。
敵意、憎悪、そんな規模の小さなものでは、
こんな光景は産まれない。
群衆の中で、
心的相互作用により産まれ育った怒りと熱狂。
その意識は人から人へと移り行き、
神経軸索を越えるようにその興奮を伝え増していく。
見習「みな…、名の知れた魔法使いです。
ここ1年で行方不明になった…」
賢者「そうね。
誰かわからないのも、あるけど」
見習「…弔いを…」
賢者「必要ないわ。
弔いは、私達のお仕事でするのよ」
ここは第3ラボ地下施設。
潜伏にここを選んだ事は、偶然だった。
だが、今では必然とも思えてしまう。
眼前に広がる躯たちは、
みな肉袋を破るように内臓を暴かれ、
硝子の容器に浮かんでいる。
色々と足りないものもあれば、
増えたものもある。
魔物と縫い合わされたものから、
内臓全てを切り取られたものまで。
それらはみな、名の知れた魔法使いの躯たち。
…魔法使いの解剖研究。
それが王立施設で行われているのだ。
賢者「予定変更よ。
盗賊の拉致は後回し。
…今やらなくてどうするの。
魔研を、潰すわよ」
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