魔女「ふふ。妻の鑑だろう?」
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11: ◆DTYk0ojAZ4Op[saga]
2015/08/29(土) 20:06:39.42 ID:tNq3pxyB0



果たして彼女は本当に戸籍を持っていた。
番兵としては経歴の齟齬を絶対に見落とさない自信があったが、
一点の曇りもないほど、彼女の戸籍はクリーンだった。
婚姻はすんなりと受理された。
元々俺の部屋には荷物が少ないので、その日のうちにファミリーエリアに移る事ができた。

引っ越しといえば、男手を集め、荷車に大荷物を載せ、1日がかりでやるもの、
というのが一般的なイメージだが、
魔女の手にかかれば引っ越しは2分で終わるらしい。

彼女が白墨で床になにかを描き、手を掲げなにやら呟くと、
我が家には少しの揺れと共に、白墨で書かれた線に寸分の狂いなく、どこからともなく家具が現れた。
なかなか質のいい調度品だ。
彼女の言うところでは、あまり魔法を使うと素性が露見する恐れもあるが、
せっかく魔法が使えるのだし、挨拶がわりのようなもの、だそうだ。


魔女「指輪は必要ないか?」

戦士「指輪なんてしてたら武器を振るえないだろう」

魔女「…私が珍しく制作意欲に燃えているというのに。
   容易いものだぞ、金属いじりは得意なんだ」

戦士「錬金術士なのか?」

魔女「錬金術も必要な知識だが、似て非なるものだ。私の専門は機械工学でね」

戦士「…それ、魔法使いなのか?」

魔女「魔力に動力を求めるのなら魔法だと主張したが、受け入れられなかったね。
   相反する分野だが、得手不得手を補い合う感性はまだ一般的でないといえる。
   少なくとも、学院では」

戦士「だから異端児、か。
   新しい風は逆風を呼ぶ事が多いからなぁ」

魔女「学院の研究室に居た頃鉱山都市の技術者たちと会う機会が多かったが、
   彼らの方がまだ話がわかるな。
   あの技術者たちのレベルが旧態然とした魔法学院のノウハウを脅かせば、
   きっと学院も価値観を変えざるを得ないだろう」

戦士「遠い未来の話だな」







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