68: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/08/26(水) 01:50:29.31 ID:SNn8TeIE0
◇
周辺のアラガミを一掃し、"ブラッド"全員が再び一堂に会す。
「みんな、ありがとう……」
「でもさ、ほら……私また、こんな風に迷惑かけるかもしれないから……」
しかし、ナナはまだ、気持ちの整理をつけられていないようだった。
当然のことだけど、こうして迷っているからこそ、彼女はまだ戻ってこれる。
「ばっか!そんなこと気にせず、ナナは泣きたい時に思いっ切り泣けばいいんだよ!」
「お前の"血の力"……アラガミが寄って来るって能力なんだろ?索敵の手間が省けるってだけじゃねぇか」
「帰りましょう、ナナさん……いえ、ナナ」
ロミオ達が口々にナナを受け入れるも、彼女は中々首を縦に振らない。
「でも……でも……!」
そこで、私はダメ押しとして、ナナに秘密兵器を差し出す。
ムツミちゃん手製の"おでんパン"。
流石に少し崩れてしまっているけど、食物としての形はしっかり保持していた。
何の冗談だと思われてしまうかもしれないけど、
ナナの心を溶かすには、彼女と一緒に帰るにはやっぱり、これしかないと思ったから。
「……!」
ナナはゆっくりと、しかし確実に"おでんパン"を受け取り、その口へ運んでいく。
「えへへ……冷めちゃってるよ」
「……でも、おいしい……すごく……おいしいよ……」
「ありがとう……」
ナナは涙ながら、笑顔で応えてくれた。
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