477: ◆6QfWz14LJM[saga]
2017/03/12(日) 08:51:36.31 ID:fQ6Rn10OO
「ジュリウスに近づきたい、ジュリウスにそう応えたから……」
「……私達は、よほど信用がないんですね」
俯いたまま、ぽつりと言葉が落ちる。
その一言に射抜かれた実感は、確かにあったんだけど。
何となく、それは私にだけ向けられたものでもない気がした。
「……違う」
「いいえ……本当に信じているなら、そんな選択はしないはずです」
「研究への協力は別にしても、私達がフライアと決着をつけるまで、待つ事を選べたはず」
「こんなに報告が遅れることもなかったはずですよね?」
言葉は尚も、力なく零れ落ちていく。
声すら震わせて語るシエルは、一向にこちらを見ようとしない。
「そもそも……戦うだなんて考えが出てしまうこと自体、おかしいんですよ」
「前線に出ることだけが戦いじゃありません……それこそ、榊博士に協力を申し出るだけでも、十分な貢献じゃないですか」
言い聞かせるように、それが絶対だとでも言うように、シエルは語気を強めていく。
程なくして、私は先ほどの直感が正しい事を確信した。
「……副隊長の私が、頼りないからですか?」
シエルは己の身に、言葉を反響させている。
震えを笑いで誤魔化して。
決して口にしたくはないだろう恐れを吐露してまで、私を引き止めようとしてくれている。
534Res/441.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20