372: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/04/18(月) 01:08:15.39 ID:+KNnI7jio
遭難者は1人。
アラガミから逃げる過程で、あちこちに擦り傷を作ってはいるけど、容態に影響はないようだった。
通常なら、このまま彼女を伴って"アナグラ"まで帰投すれば、この任務は終了する。
だけど、それを私達に躊躇させたのは、彼女の存在だった。
「――どうしよう、とりあえずフライアに連絡した方が」
「いいえ、やめて頂戴」
困惑の中、ひとまず切り出されたナナの提案を、彼女は強い口調で制止する。
「極東支部の……支部長に会わせてください」
「フェンリル幹部職員としての処遇と、身柄の保護を求めます」
代わりに毅然とした態度で答えた女性は、本来フライアにいるはずの人間だ。
それも、前線で活躍を続ける"神機兵"を始め、フライアの開発部門を総括する立場にいた彼女が、なぜ。
「……話は戻ってからにした方がいいな、隊長」
予兆や前触れという言葉は既に、ふさわしい言葉ではなくなっている。
ここでのレア博士の登場は、フライアの異変を如実に表していた。
534Res/441.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20