336: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/03/16(水) 23:22:06.61 ID:KsfUajwQo
私にとって、アラガミは災害のようなものだった。
局所的に食い止める事は出来ても、根絶はまず不可能な、防いでやり過ごすしかない自然現象。
有り体に言えば、"そういうもの"、という印象だった。
だから、神機使いの誇りに燃え、時に理不尽な犠牲に怒り悲しむことはあっても。
それはアラガミそのものに対してであって、その時相手取る個体は、あくまで仕事の対象だった。
ギルの仇討ちに同行した時も、彼に寄り添いたい気持ちの方が強かった。
……だけど、アラガミの所業に逆上した私は、その記憶を垣間見た。
確かにそのアラガミは、統一された思考に縛られた、”そういうもの”だったけど。
そんな思考は一つの方向に先鋭化されていって、捕喰に感情を見出すようになった。
それから、認識は徐々に変わっていった。
何を今更、と思うだろうけど、アラガミは少なからず個の意思を持った、敵なんだ。
ただ人々を蹂躙するだけの力を持った、個人の感情を向けるに値する相手。
だから私は、その名を呼ぶ。
ガルム神属感応種、マルドゥーク。
たとえ、消し去ることが叶わなくとも。
またいつか、異なる姿と名を得て立ちはだかってきたとしても。
こいつはここで、私達が叩き潰す。
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