149: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/09/29(火) 00:38:00.04 ID:xjyru10jo
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昨日発令された拠点防衛任務の、その終盤。
"赤い雨"が降りしきる中、極東支部北方の集落に、嘗て私が対峙した、狼型の"感応種"率いる、アラガミの群れが出現した。
人間は元より、"神機兵"も動かなくなった状況から、その報せをシェルター内で最初に聞いたジュリウスもすぐには動けない。
だけど、それを偶然傍で聞いていたロミオは違った。
北の集落には以前脱走したロミオを匿い、彼の意識を変えさせた老夫婦が住んでいたからだ。
斯くして、守るもののため、無謀とも言える戦いに赴いたロミオのおかげで、老夫婦を含めた集落の人々は生き残った。
その中には、汐が引くように去っていくアラガミ達の姿を目撃した人もいたという。
しかしながら、彼は戦いの中で、"感応種"の手による致命傷を負ってしまっていた。
……これが、ロミオと共に戦ったジュリウス本人から聞いた、ロミオの最期だった。
現在、フライアの庭園にはロミオの墓標が立てられ、"ブラッド"や極東支部の人間だけでなく、
ユノ達や、ロミオに救われた老夫婦も葬儀に参列していた。
その人柄の良さから親しまれ、特に最近では精神的に大きく成長したことで、頼りにもされていたロミオ。
極東支部でも既に無視できない存在となっていた彼の喪失を受け、葬儀の場は深い悲しみに包まれていた。
声を上げて嘆く者。顔にやり場のない感情を湛える者。死者への手向けとして、鎮魂歌を捧げる者。
さまざまな形で周囲がロミオの死を悼む中、私は無表情で立ち尽くしていた。
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