【艦これ】まるゆ「隊長が鎮守府に着任しました」
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20: ◆UeZ8dRl.OE[saga sage]
2015/03/15(日) 19:08:12.70 ID:VverVzgF0
 執務室での作業も一段落し、提督は再びまるゆの部屋を訪れていた。
 イムヤとゴーヤには米炊きと、玉子焼きを人数分作るという任務が彼から与えられており、ここには同行していない。

「まるゆ」

 扉を叩き、呼び掛けるも返事はない。

「まーるーゆー」

 強く扉を叩き、なおも呼び掛けるが返事はない。

「初期艦であり秘書艦であるお前が二日目からサボりか?」

 叩くのをやめ、ただ問いかける。部屋の中から多少なりとも反応があるのを提督は期待するが、風が廊下の窓を叩く音以外はせず、ドアの向こうからは何も聞こえてこない。

「……分かった、明日まで待ってやる。それまでに出てこないなら、着替えてようが裸だろうがドアを蹴破ってでも連れ出してやる」

 この鎮守府にもマスターキーというものが存在しており、蹴破らずとも外側から部屋のドアを開けることは可能だ。
 しかし、本人自ら外へ出てくるのが最良であり、彼もそうなることを願っているからこそ、蹴破るという脅しを口にしていた。
 ただ、その言動が裏目に出るかもしれないことにまで思慮が回っていないのは、経験が浅いと言わざるを得ない。

(年頃の娘を持つ親の気持ちってのは、こんな感じなのかねぇ……)

 艦娘も人も難しい、などと考えながら、料理に奮闘しているであろう二人の元へと提督は向かう。
 その背中が曲がり角の先に消えていくのを、ほんの少しだけ開けたドアの隙間から少女は見つめていたのだった。


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