【艦これ】まるゆ「隊長が鎮守府に着任しました」
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179: ◆UeZ8dRl.OE[sage saga]
2018/03/19(月) 23:55:18.82 ID:l2FLYJ7s0
「――提督は、何があってもあの子達を無事に帰投させると誓えますか?」

 鉄と油の匂いではなく、石鹸の香りを漂わせながら、明石は提督に問う。ずっと纏ってきた彼女の人を寄せ付けない心の鎧はシオイに剥がされ、今は武装していない。それは、全てを語ると彼女が決意したということだ。
 ならば、彼の答えは決まっている。

「それが提督の仕事だと、俺は思っている」

「……分かりました。参考になるかは提督次第ですが、知りうる全てをお話しします」

「いいのか? 信用できないんだろ?」

「信用はしてません。その修理不可能な頭で指揮されるあの子達が可哀想だと思っただけです」

「明石に匙を投げられたんじゃ手遅れのようだ」

 結局その優しさだけは最初から隠しきれていなかったなと提督が笑うと、明石は咳払いを一つしてから自分の過去を話し始める。

「――私は、ずっと修理してきました。それしか知りませんでした。それだけをやってきました。治せるものは全て治しました。感謝の言葉は嬉しくて、無事に帰ってくる仲間の姿が何よりの褒美でした。……だから、気付けなかったんです」




 ――――私には、“心”が治せないことに。


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