【艦これ】まるゆ「隊長が鎮守府に着任しました」
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164: ◆UeZ8dRl.OE[sage saga]
2017/06/23(金) 00:51:33.29 ID:rjMd747R0
知ることは武器だ。未知のものは脅威だ。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず。
ただ、敵を知るということが却ってその引き金を躊躇わせるということを、忘れてはならない。
「無理だ」
「お願いします」
「それはお願いで許可できることではない」
「どうしても、ですか?」
「くどい、この話は終わりだ」
「……分かりました」
「――ハチ、深海棲艦は敵だ。それはどう転んでも変わらない事実だ、それを忘れるな」
「……はい」
理解している。提督の言っていることは正しい。それを知ったところでこの現状が変わる訳じゃない。
それでも、私は知りたい。そこにきっと、自分達の生まれた意味も隠されているはずだから。
(提督の権限で閲覧出来るモノ、その中にならきっと少しでも手がかりになるようなものがあるはず……)
普段使う書庫の隣、鍵を提督だけが持っている部屋。月明かりだけが手元を照らすその部屋の扉の前で、ハチは一度深呼吸をしてから、用意していた針金を取り出した。
ピッキングなど出来るかどうか分からないが、その先に求めるものがあるかもしれないという思いが彼女を突き動かす。
(バレたら、シュトーレンもう食べさせてもらえないかもしれませんね)
震えそうになる指。今していることは、自分達の為に傷つくことすら厭わない彼を裏切る行為に他ならないと、ハチは分かっている。
だが、それ以上に彼女は――。
「こんな夜更けに泥棒の練習でもしているのか?」
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