【艦これ】まるゆ「隊長が鎮守府に着任しました」
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129: ◆UeZ8dRl.OE[saga sage]
2016/09/16(金) 02:13:24.91 ID:QQfCO/XE0
 互いが互いに話があると食後に呼び止め合った二人。
 場所は工廠、妖精さん達が観客のように見守る中でそれは始まった。

「どちらから、先に話しますか?」

「じゃあ、イクから話すの。明石さん、イクはもう大丈夫だから出撃させて欲しいの」

「艦娘の記憶の呪縛はそんな簡単なものじゃない。いくら身体は修復出来たって、心までは治せません。いつかはボロボロに擦りきれて、そのまま修復不可能になってしまう」

「……暗いのは、今も怖いのね。でも、きっとそれは皆も一緒なの。提督も、“艦を引き揚げるのは骨が折れるが艦娘なら俺でも引き揚げられる”って言ってくれたのね」

「言うだけなら誰にでも出来ます」

「これ、見て欲しいの」

 ――艦娘ト提督ハ一心同体也。艦娘沈ム時、己モ沈ムト知レ。

「……何ですか、これ」

「提督の先生が書いたらしいの。自分の艦娘沈めるような奴は素っ首叩き斬ってやるが口癖だったらしいのね」

「どれだけ甘い考えで戦ってるんですか。私達がしているのは戦争です」

「明石さん、それは矛盾してるの。だったらイクは尚更出撃しない理由が無いのね」

「無駄死にとやむを得ない犠牲は違います」

「イクも無駄に沈むつもりはないのね」

「……どうあっても、出撃すると?」

「だって、イクは艦娘なの」

「……分かりました。ただ、一つだけ条件があります」

「何でも来いなの!」

「沈むぐらいなら無様に尻尾をまいて帰ってきて下さい。私の整備した艤装を無駄にするのは許しません」

「……明石さん」

「……何ですか?」

「ツンデレさんなの?」

「ちょっと頭の中修理してあげますからこっちに来なさい」




 誰だって怖い、沈むのも、沈めるのも、沈まれるのも、みんな怖い。
 だから、戦うんだ。


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