146:名無しNIPPER[saga]
2015/08/17(月) 03:48:14.17 ID:gn9dE3bo0
怨霊肝試しホテル、お疲れ様だべ。
あたし、ちゃんと怖がらせられてたんかなあ?
貴音お嬢さんは、ちょっこしかわいそうんなるぐらい怖がってたけども。
あたしかい?あたしは暗いの平気だから大丈夫だったよぉ。
田舎の方は夜になると、真っ暗になっからねぇ。
星の光がこっちよりも、なまら明るいんだぁ。
あ、でも……おんなし暗いのでも、山ん中はおっかないよ?
昔の話、まだ小学校に入るより前の話だけども、あたし、遊びに入った山ん中で転んじゃってねぇ。
痛い痛いって泣いてたら、いつの間にか辺りは真っ暗になっててさ。
鼻を摘まれても分かんないってのは、ああいうのを言うんかな。
むりくり進む内に帰り道も分かんなくって、もう帰れないんだってまた泣いて、どんどん時間だけ経ってさ。
したら、大丈夫?って声かけてくれた子がいたんだぁ。
その時のあたしとおんなしかちょっと大きいぐらいだから、7歳ぐらいの男の子。
大丈夫だよ、痛くないよ、って励ましてくれてね、でもあたしは帰れない帰れないってまた泣き出しちゃったんだぁ。
したらまた、大丈夫だよ、帰れるよって励ましてくれて、手ぇ繋いで一緒に山降りることになったんだ。
真っ暗なのに不思議と転んだりしなくて、あっという間に知ってる場所まで出てきたんさ。
ありがとうって言ったらその子、本当に嬉しそうに笑ってねぇ。
もう迷子になっちゃダメだよ、一人で山に入っちゃダメだよって言って、どこかに行っちゃった。
家に帰ったらばあちゃんやお巡りさんたちが大騒ぎしてて、あたしもこっぴどく叱られたよぉ。
それからは一人で遊びに行かないようになったんだけども、あたし未だに分かんないことがあってね?
あたしを助けてくれたあの子、あたしが小学校に入っても見かけなかったんだぁ。
小さい学校だからきっとまた会えると思ってたんだけども、誰に聞いてもこの辺りにそんな子いないって。
あの子、どこの子だったんだろか?
なんであんな時間に、山の中で一人だったんだろか?
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