39: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2014/11/28(金) 01:30:10.36 ID:TLlppmv/O
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「で?」
村上銀子は、苛立ちを隠そうともせずにそう言い放った。
その視線は、椅子に腰掛けている彼女よりも更に下、無様にも床に正座させられている男に向けられている。
「……『で?』とは……?」
その視線を一身に受け止めている男、紅真九郎は、身体を強張らせながら鸚鵡返しのように聞き返す。
真九郎は、銀子がなにについて聞きたいのかはわかっていて、なぜ怒っているのかも当然わかっている。
しかし、後ろめたい気持ちがあるために、どうにか逃げ果せることができないものかと、大して良くもない頭を懸命に働かせているのだ。
「…………」
銀子はそれに対し、こめかみから青筋が立つ音が聞こえてきそうなほどに真九郎を睨む眼光を強める。
真九郎は恐ろしさのあまり、目を逸らすことはできても、その場から逃げ出することはできない。
真九郎の身体能力から言えば、運動音痴である銀子から逃げることは全くもって難しくはないのだが、もしそれを実行した場合の報復を思えば脚も竦んでしまう。
銀子は、ふぅ、と大きく溜息を吐くと、眼鏡を外してそれを自分の机の上に置き、瞼を閉じた。
この季節にしては若干短めのスタートから伸びる、タイツに包まれた脚を真九郎に見せつけるように組み直すと、銀子は再び喋り出す。
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