387: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/21(金) 19:51:09.16 ID:gxCPCOG4O
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暖簾をくぐると、脂と出汁の匂いが熱気に乗って食欲を刺激する。
昼下がりということもあり胃が不満を漏らしそうになるが、優先するべきことがある。
「おう真ちゃん! いらっしゃい!」
店に入ってきた真九郎に気づいて景気よく声をあげたのは村上銀正。
銀子の父親である。
「こんばんは、銀子は部屋ですか?」
「今日はなんだか朝から機嫌が悪くてなあ。まあ、真ちゃんの顔見ればコロッと元気になるだろうよ」
悪戯っぽく笑う銀正に、真九郎も笑顔を返す。
ここ楓味亭は銀子の実家で、銀正が店主として切り盛りしているラーメン屋である。
真九郎は崩月家に世話になる前はここで暮らしており、銀子とはそれ以前からの幼馴染。
銀子の両親は真九郎を、真ちゃん、と呼んで今でも実親のように親しくしてくれている。
二、三言交わして店の奥、銀子の部屋へ向かう。
事前にメールしてあるので大丈夫だとは思うが、念のためにドアの前から声をかける。
「銀子? 俺だけど、入ってもいいか?」
『どうぞ』
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