377: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/20(木) 17:51:17.94 ID:v4+DVNQXO
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「おはようございます、ジュウ様」
「おう」
昨日ぶりだな、という言葉は飲み込んで、ジュウは玄関のカギを掛ける。
当然のようにジュウの隣に立っているのは堕花雨。
昨日のことは夢だったのではないかと思ってしまうぐらいに、雨はいつも通りだった。
対するジュウはどんな顔をすればいいのか、朝起きてからしばらく憂鬱だったというのに。
エレベーターに二人で乗り込み、黙ったまま下降が終わるのを待つ。
雨は学校がある日は毎日ジュウの部屋の前まで迎えに来ては、特に会話も無く登校する。
話しかければ返事はするが、雨の方から話題を振ってくることはまず無い。
話題が無くて黙っているとかではなく、本当にただの護衛のつもりなのだろう。
「お前、飽きないのか」
「ジュウ様のお傍に控えていられるのは私の至上の喜びです。飽きたりなどしません」
雨の返答を聞いて、今日はどうやら平常運転だ、と安心するジュウ。
最近はずっと様子がおかしかったが、こうやって電波を全力で出し続けてくれている方がやりやすい。
なにせ、ジュウは雨が自分に飽きるまで待っていればそれでいい。
待つのは慣れているし、それに楽だ。
一匹狼を気取っていたくせに、二人でいることが前提となっている自身にジュウは気づいていない。
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