369: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/17(月) 23:22:59.69 ID:bASNl0Z+O
誓約書には署名欄、件のコンビニには近づかない、もし近づけば下の罰則を履行するという誓約のみが書かれている。
罰則の欄には何も書かれておらず、つまりはいくらでも後付けできるということだ。
「……これで全員だ」
男が誓約書とボールペンを床に置き、書き終わったことを告げる。
真九郎は事前に調べ上げたメンバー全員の名前と比較するが、特にごまかしなどは無い。
どうやら男は本当に観念したようだった。
「ありがとう。それじゃあ最後に――」
真九郎は誓約書を懐に仕舞ってから座り込んでいる男と目線を合わせるように腰を屈め、無表情で問いかける。
「――これはどこの組織から卸されてるのかな」
真九郎が男の目の前につまみあげたのは、薄桃色の錠剤が入ったパッケージと、同色の粉末、液体のそれぞれが封入された袋。
もちろんただの医薬品であるはずもなく、ドラッグだ。
グループのほぼ全員がこのドラッグを使用しており、おかげで制圧も随分と楽だった。
真九郎の問いかけに男の顔からは完全に余裕が消え、どんどん血の気が失せていく。
「お、俺は」
「知らない? わけないよね。いつもキミがここに運び込んでるんだから」
男は再び絶句し、視線と身体を小刻みに震わせ始める。
これほどの動揺を示してしまうぐらい、やはり素人であることは明白だった。
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