102: ◆yyODYISLaQDh[sage]
2015/05/11(月) 11:51:48.50 ID:AekEfTjZO
番外【堕花光01】
勢いに任せて、約束を取り付けてしまった。
困惑と、呆れが入り混じったあいつの顔を思い出す。
憎たらしいったら。
何が伊吹さんよ。関係ないじゃない。
私はあんたにお願いしに来たのに。
指先を見つめる。
まだ少し、火照っているような感じがする。
火傷のせいじゃない。
別に、最初から熱くはなかった。
条件反射的に、熱い、という言葉が出てきてしまったのだ。
あいつに握られた手首。
大きくて、硬くて、熱い、あの掌。
父親とは少し違う、優しい眼差し。
断られたのは、想定内。
でも、断られた理由は、想定外。
面倒っていうのは、やっぱりあると思う。多分。
でも、自分が不良である事を気にしていた。
つまり、外聞が悪いということ。
あいつの外聞。そして、私の……。
馬鹿、と毒づく。
こんなことで赤くなって、馬鹿みたい。
手首をさする。
まだ少し、あいつの熱が残っている気がした。
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