忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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514: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2015/03/27(金) 00:39:56.91 ID:YIgeImhp0
――ボクは、男です。


 生まれて初めて、世界が反転するような感覚を味わった。
 頭が地面に、足が空に、そして身体が浮遊して……。


 私は頭をクラクラとさせながら、目の前で恥ずかしそうにしているおかっぱ頭の『女の子』を見る。
 女の子――大宮忍、さんは少し照れくさそうな笑みを零していた。
 ほんのりと赤く染まった頬。
 柔らかい立ち居振る舞い。
 髪こそ短いものの、どこからどう見ても「女の子」そのものだった。


 ――その……男子、苦手だって言ってたよね?


 ついつい見とれていると、すぐ近くから声がした。
 綺麗な赤髪の子――猪熊陽子、さんだった。
 いつものハキハキとしたトーンが、少し落ちていた。


 ――シノは男子だけど、私の大切な……ホントに大切な友達なんだよ


 そう言いながら、猪熊さんは大宮さんを見つめる。
 その視線に、大宮さんも応えた。
「優しさ」という言葉は、今のこの二人に完璧に一致するといっても間違いないだろう。
 見てる私まで、少しドキッとした。


 ――で、なんだけど。シノも一緒にいて大丈夫かな、って


 その時の猪熊さんの表情を、私は今でもよく覚えている。
 口元は綻ばせたまま、普段強気な目元を少し垂らし、視線は私一直線。


 羨ましい、と思った。
 何が? と聞かれると困るけど、本当に何となく。
 この二人が……とても羨ましく感じた。


 コホン。
 私は一息つくと、二人の「女の子」に向けて――



「……う、嬉しい、です」


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