忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]
2015/03/27(金) 00:39:56.91 ID:YIgeImhp0
――ボクは、男です。
生まれて初めて、世界が反転するような感覚を味わった。
頭が地面に、足が空に、そして身体が浮遊して……。
私は頭をクラクラとさせながら、目の前で恥ずかしそうにしているおかっぱ頭の『女の子』を見る。
女の子――大宮忍、さんは少し照れくさそうな笑みを零していた。
ほんのりと赤く染まった頬。
柔らかい立ち居振る舞い。
髪こそ短いものの、どこからどう見ても「女の子」そのものだった。
――その……男子、苦手だって言ってたよね?
ついつい見とれていると、すぐ近くから声がした。
綺麗な赤髪の子――猪熊陽子、さんだった。
いつものハキハキとしたトーンが、少し落ちていた。
――シノは男子だけど、私の大切な……ホントに大切な友達なんだよ
そう言いながら、猪熊さんは大宮さんを見つめる。
その視線に、大宮さんも応えた。
「優しさ」という言葉は、今のこの二人に完璧に一致するといっても間違いないだろう。
見てる私まで、少しドキッとした。
――で、なんだけど。シノも一緒にいて大丈夫かな、って
その時の猪熊さんの表情を、私は今でもよく覚えている。
口元は綻ばせたまま、普段強気な目元を少し垂らし、視線は私一直線。
羨ましい、と思った。
何が? と聞かれると困るけど、本当に何となく。
この二人が……とても羨ましく感じた。
コホン。
私は一息つくと、二人の「女の子」に向けて――
「……う、嬉しい、です」
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