忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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386: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2015/01/21(水) 00:20:02.03 ID:IqDtd8Jf0
 ――さて。
 そんな一騒動(?)があってから、少し経った。
 そろそろ時間になる。


(……頼むよ)


 私は、知らず知らずのうちに手を握りしめていた。
 まるで、隣にいる「彼女」の癖が移ったように。
 何でかって? 
 そりゃまぁ、「センサー」が外れるのを祈ってるからだよ……。



 ビー、とブザーの音が鳴り響いた。
 そして、静かに幕は上がり――


「あぁ……」


 声が漏れた。
 目の前には、花畑が広がっていた。
 その脇に設置されたベンチに、二人の男女が座っている。
 男子の方は紳士的な格好をしていて、もう一方の女子の方はドレスで着飾っていた。
 どこかの王妃が着ているようなイメージをもたせるのに、十分すぎる出で立ちだった。


「……さすが、ですね」


 左隣から、心の底から感心したとばかりの声がした。
 シノもそう思ったか。いやきっと、シノだけじゃない。


「……あっ」
「凄い、わね」


 とはいえ、多分アリスと綾だけでもない。


「おい、あれってまさか……」
「そっか、さっきの」


 受付係もよくわからない反応をしているけど、この二人だけでもない。
 構内にいる観客全員が、同じことを考えているに違いない。


 普段は飄々としているあの子は、その実とんでもなく可愛い。
 それをよく知っている私たちは、そのギャップで余計に心を揺さぶられるんだと思う。
 普段のあの子を知らない観客も、嘆息するに違いない。現に、前からも後ろからも唾を飲み込んだような音がしている。


 舞台で淑やかに座っているのは、私たちの大切な友達――九条カレンだった。
 いつになく真剣なその表情は、ただ緊張しているというだけではなさそうだった。
 私は舞台の小道具と、カレンのそんな表情を見ながら、


(……「センサー」、当たっちゃったかぁ)


 そう、確信してしまった――


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