らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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672:母の夢の戻り道 5/10[sage saga]
2018/12/04(火) 01:48:30.87 ID:tkcstJKX0

 え、と思って、みゆきさんをまじまじとみる。
 理由を聞いてもいいですか? と、彼女らしい、謙虚な会話に繋がると思っていた。
 きっと、わたしが同じ立場でも、そうやってワンクッション置くと思う。
 そうではなくて、教えてほしいと断定する返事が来るとは、思っていなかった。
 他人の心に、そうやって強く踏み込んでくる彼女が、ちょっと意外で。

 声をつぐんでしまったわたしに、みゆきさんは、まっすぐ視線を向ける。

 ――――そこには、とてもやさしい、親愛のこもった微笑の表情が浮かんでいた。


「みゆきさんになりたいから」


 口走ったその言葉が彼女に浸透するまでに、少しの間が空く。
 口走ったその言葉が、わたしに、浸透するまでに、少しの間が空く。

 わたしの顔面に、赤い熱が昇って。
 背中に、イヤな冷たい汗が浮かぶ。

「い、いやいや、そのね」

 こんなわけのわからないことを口走るわたしの精神状態を大げさにとられたくなくて。
 そもそもなんでこんなことを言い出したのかも自分では不可解で。

 だから、びっくりしたように目を見開いて、そんな疑問の表情を浮かべたあなたに、わたしが言えることはわたしの中にはなくて。

 授業のチャイムが鳴った。瞬間で、沈静されるよう。みゆきさんだけに固定された視界が広がるよう。
「あー……」

 大きく、息をついて、わたしはみゆきさんからきびすを返した。「あとで、話すかも」。
 そう言い置いて、彼女のそばから去る。ああ、ゴングに、救われたな。


 昼休みにはつかさたちが来るから。ふたりで真剣に話し合うなんてことは出来なくて。
 というかべつにシリアスな空気なんてものは、いつもあるわけがなくて。
 たまたま気持ちがアガっていかないだけの日常のひとつが、私のローテンションなどおかまいなしに過ぎていく。
 ヘンなことを口走ったことも。たかが休み時間の談笑の中のひとつまみにもならないできごとでしか、なくなっていく。
 そう、思うようにしながら。



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