らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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434:こなたの旅 31 7/6[saga sage]
2014/11/23(日) 14:32:22.06 ID:R0qhAASd0
かえでさんは立ちあがっって大きな拍手をした。
かえで「素晴らしかった」
まなみちゃんは席を立つと私達に向かってお辞儀をした。
かえで「まなみちゃんの気持ちを素直に表したわね」
そう言うと私の方を向いた。
かえで「こなた、この後私の事務室に来なさい」
こなた「えっ?」
かえで「仕事の話じゃないから安心しなさい」
そしてかえでさんは店を出た。
かがみ「ありがとうまなみちゃん」
まなみちゃんはかがみのそばに寄った。そしてかがみは私に店の鍵を手渡した。
かがみ「後の戸締りよろしく!」
こなた「よろしくって……」
かがみ「あんたが何を感じたのか知らないけど私はこの曲で勇気を貰ったのよ……クラッシックなんか聴く機会なんて殆ど無いのに……
    まなみちゃんがピアノを始めたのはつかさの影響よね、そのつかさはけいこさんの影響をうけた……音楽を知らないはずのお稲荷さんが
    私達をラフマニノフに会わせてくれたのよ、何か感慨深いとは思わない?」
こなた「……」
私は何も分らない……
かがみはそんな私を見て微笑んだ。
かがみ「……それじゃ帰ろうか……まなみちゃん、」
まなみ「うん」
二人は店を出て行った。
かがみは私達二人のためだけにまなみちゃんを呼んだのだろうか?
あれこれ考えているうちに店に居るのはみなみと私の二人だけになってしまった。

 みなみはゆっくりピアノの椅子に座った。
みなみ「まなみちゃんの演奏で何を感じましたか?」
みなみはピアノを背にして私を見ている。立とうとしない私を促しているかな。
こなた「……何ていうのかもどかしかった……ためらっているみたい……もしかしてあの曲のタイトルってためらい?」
みなみは首を横に振った。
みなみ「あの曲にタイトルはありません作品23の4番……」
こなた「番号だけって、この前の練習曲にはあかずきんちゃんとかタイトルついてたじゃん?」
みなみ「彼、ラフマニノフは曲に表題をつけるのを嫌がりました、自分の作った曲を聴いてどう感じるのかは聴き手に任せたいと言う考だそうです、
    表題を付けるとそれに執着してしまい聴き手の自由な感性を妨げる……あの練習曲のタイトルは別の人が付けたそうです、
    ですから泉さんがためらいと感じたのならそれはためらいです、例え迷い、別れ、別な物に感じても間違えではないです」
こなた「だからかがみは何も言わないで私をここに呼んだ?」
みなみ「そうですね……」
みなみはピアノの方に向きを変えて微笑んだ。
みなみ「でも……泉さんが「ためらい」と言ったのは嬉しかった、まなみちゃんはおそらくそれを意識して弾いたと思う」
こなた「それってどう言う事?」
みなみ「……来週、まなみちゃんの編入試験があって、それに向かって幾つか曲を選んでいましたけど…さんtね」
こなた「編入って、もしかしてスカウトされたから?」
みなみは頷いた。
こなた「試験があるんだ、そのまますんなりっていかないの?」
みなみ「教授は頑張ってくれました、でもまなみちゃんは大きなコンクールや試験を受けていないので学校側から試験を合格しないと許可出来ないって……」
こなた「実績か……それでまなみちゃんは編入する気になったんだね」
みなみは首を横に振った。
みなみ「まだまなみちゃんから正式に受けるとは聞いていない……」
こなた「それはそうだよ、慣れた学校を離れるのはね、そこには友達だって居るだろうし別れるのは……」
その時気付いた。まなみちゃんはためらっている。その想いをさっきの曲に込めていた……
分る、分るよ。まなみちゃん。
小学3年で別の学校。新しい学校でうまくやっていけるのか。そもそも試験で合格するのか。期待と不安……想像するのには容易すぎる。
それを分らせたのはあの曲……
みなみ「それでこの演奏会で泉さん達が何かを感じたのなら、この曲を試験で演奏するようにまなみちゃんに言おうと、そう私は決めた……
    それが私の出来る最後の仕事……」
悲しそうにピアノを見つめるみなみ……
こなた「きっと合格すると思うよ、少なくとも私はあの演奏に感動したから」
みなみ「そうですか……それをまなみちゃんが聞いたらきっと試験を受ける気になってくれるかもしれない……」
みなみはピアノの鍵盤にそっと手を添えている。
こなた「もう一回あの曲聴きたいな……」
みなみ「え?」
こなた「弾けるんでしょ?」
みなみ「でも……まなみちゃんほど上手くは……」
こなた「それでも聴きたい……」
みなみは深く座りなおした。そして弾き始めた。
そして分った。みなみもまたためらっていたんだなって……

ラフマニノフの調べは部屋いっぱいに静かに、美しく響き渡った。
今は何も考えずただその調べに酔いしれた。

つづく



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