らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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292:こなたの旅R 4/6[saga sage]
2014/02/08(土) 21:08:13.10 ID:v6drKjWf0
 それから一週間が過ぎた。
私はかがみの法律事務所に来ていた。私がこの事務所に行くのは初めてだ。
それもそうだ。法律事務所に用があるような事をした覚えはない。それにしてもかがみが自身の仕事場に私を呼ぶなんて。いったい何の用事なのかな。
事務所に着くと会議室に通された。暫く待っているとかがみが入ってきた。
かがみ「いろいろ忙しいのによく来てくれたわね」
こなた「それよりどうしてこんな所に呼び出したの、私の所のレストランでも、つかさの店でも良かったのに、特につかさの店は休業中だよ、それにわざわざつかさ経由で
    呼ばなくても……携帯でもメールでも呼べるじゃん」
かがみは私の対面に座った。
かがみ「ここならどんなに騒いでも他人に聞かれることは無い、私はここが一番落ち着くから……それに公共通信は使いたくなかった」
こなた「ちょ……なにそれ、どんだけシークレットなの?」
っと言ってみたけど。随分かがみも慎重になってきた。これも神崎さんの影響なのか。
かがみ「神崎さんが自分の家で会合したでしょ……それと同じよ」
こなた「かがみ〜いくらはぶられたからって、そんな大げさにする事ないでしょ」
かがみの目つきが変わり鋭く私を睨み付けた。
かがみ「あんはた全く分かっていない、事の重大さが、あんた達がしようしている事が」
こなた「分かってるって、貿易会社はお稲荷さんの知識と技術を独り占めしようとしている、しかも兵器に利用しようとしている、
差し詰め私達は悪の陰謀を阻止するヒロインってところだね」
かがみは更に声を張り上げた。
かがみ「そんな事を言ってるんじゃない!!」
こなた「まぁ、まぁ、落ち着いて、最初から話さないと分からないよ」
かがみ「あっ! そ、そうね、そうだった……お茶も出さないで……ちょっと待って……」
私の声に冷静さを取り戻したのか立ち上がると部屋を出て行った。かがみらしくない。かがみが怒る時、その理由はだいたい理解できる。
私が冗談で返したくらいであんな怒り方はしない。イライラしているみたいだったけど。何だろう……
作戦の人選から外れたのを怒っているのか。いや、本当に作戦に参加したかったらあの時もっと食い下がったはずだよ。かがみならそれが出来た。いのりさんの様に……
つかさが言っていたっけ。夫や子供が頭に過ぎったって。それが違うとしたら、じゃ何だろう……
あれこれ考えているうちにかがみが再び部屋に入ってきた。私の前にお茶を置くととゆっくりと座った。
かがみ「今から5年前の話……」
こなた「5年前?」
かがみは頷いた。
こなた「いきなりそんな前の話……」
かがみ「ヨーロッパとアメリカに二人の記者が居た、二人は不慮の事故で他界したそうよ」
こなた「不慮の事故なんて珍しくないじゃん、記者が二人……記者?」
何か嫌な予感がした。
かがみ「この二人の記者に特別の交流はなかったみたい、一人は社会、もう一人は古代遺跡を取材するのが主な仕事、不思議なのは不慮の事故ってだけで詳細がまったく
    解っていない、それに彼らの取材したデータが消えている」
こなた「それって貿易会社に抹殺されたって言いたいの……」
かがみはゆっくり立ち上がった。
かがみ「結論が早いわねこなた、まだ完全な証拠がある訳じゃないからそこまでは言えない……でもね、こなたが持ってきたデータの中にこの二人の名前が何度も出てくる、
    5年前の彼らの行動が事細かに書かれている、しかもこの二人の他に約10名の名前が載っていた、科学者、記者、高級官僚、政治家……そしてその半数がこの世に居ない……」
こなた「まさか、神崎さんの名前が載っていたとか?」
かがみは首を横に振った。
こなた「よかった」
『バンっ!!』
かがみは両手を強くテーブルに打ちつけた。
かがみ「よかったじゃない!!   いい、良く聞いて、仮にこなたの言うように彼らが抹殺、あるいは暗殺されたとして、彼らは目的の為なら命を奪っても構わないと
    思っている連中、しかもそんな事をしても秘密に出来るほどの力を持っている、見つかったら最後、あんた達も間違いなく消される、こなたはその覚悟があるのか、
    失敗したって復活の呪文もない、キャンセルボタンだってない」
確かにそうだ。でもそれはつかさとけいこさんが出会ってからなんとなく分かっていた。貿易会社の正体。
かがみ「今ならまだ間に合う、中止にしなさい」
私は首を横に振った。
かがみ「何故?」
それはそれを選んだから……なんて言ったら突っ込まれるだけだろうな。
こなた「昔、命の危険を顧みず独りで果敢に大きな力に立ち向かった人がいてね……」
かがみ「誰よそれ、その人の真似をするっていうのか、歴史上の人物を並べてたって到底あんたには真似できないわよ」
こなた「目の前に居る人、かがみ」
かがみは一歩後ろに下がって驚いた。
かがみ「え……私は……ば、ばか、なにを唐突に……私を持ち上げたって無駄」
こなた「うんん、持ち上げてないよ」
かがみは俯いた。
かがみ「私は逃げた……果敢になんか一度もしたことない……」
こなた「そうかな、かがみはお稲荷さん……えっと、たかしだっけ、その人に呪いかけられながらも誰にも言わずにつかさを守ろうとしたよね……あれは凄かった、
その勇気半分でもいいから分けて欲しいくらい」
かがみ「……結局私はその呪いにのたうち回って苦しんだだけじゃない、つかさを助けられなかった、それどころかそのつかさに命を救われた……ひとしだってつかさが居なかったら
    夫になっていなかった……何が勇気よ、いい加減なことを言うと殴るわよ」
かがみは片手を握ると私の前に握り拳を見せた。
こなた「それが凄いんだよ、私には分かる……うんうん」
そうなると分かってそれを選んだ。それが勇気なのかも。
かがみ「ばか……あれは死ぬ気だった……そんなのを真似してどうするのよ……この前のは運が良かっただけ、今度はどうなるかわからい……死ぬかもしれない」
今度は涙を流し始めた……全くいつも大げさだな。かがみは。



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