399: ◆7MD0tm3Wnt1M[sage saga]
2022/06/26(日) 23:21:07.23 ID:giJc0beO0
熱くはない。
暑くもない。
ただ眩しいだけの。
陽は直上で砂漠を照らしている。
声が聴こえた。
これは夢の砂だよ。
それがどれだけ積もったのかもわからないのがここだ。
彼女の姿は見当たらないが、声は続いた。
ここは率直に精神の深層であるし、
ここまで来てしまったという、ひとつの果てでもある。
精神とは、誰の?
きみかもしれないし、わたしかもしれない。
あるいは他の。
問いは曖昧にかき消される。
どの方位に目を向けても、眩しく白く霞んでいる。
南に行けば宿があるよ。
歩いていればいつかは辿り着ける。
波の音が聴こえるだろう? その方向でいい。
ここにいても構いはしないし、他の向きに進んでもいい。
では宿へ。
わたしは南に歩を進める。
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