367: ◆7MD0tm3Wnt1M[sage saga]
2022/06/06(月) 21:17:51.96 ID:jLoxifbf0
手持ち無沙汰で焚き火を始めた
壁と外周道に囲まれた街の外側にいる
更に外側には森があり
その更に外には山脈がある
まだ夏の山とは呼びきれないが山脈に被る雪は既に少ない
どこからともなく猫鬼が現れた
昼の砂漠の色の外套と長靴を身に付けている
頭は深い緑を貴重とした虎縞、顔は白い
猫鬼は少し離れた位置にある天幕に潜り込む
手持ち無沙汰は続いていた
持参した小瓶の精霊酒を器に注ぎ少しだけ飲む
どことなく燻った炭と苔むした土と森の息吹を混ぜ合わせたような
霊薬と読んで差し支えの無さそうな味わいがする
別段旨いというわけではないが
儀式めいた飲み口に気分が多少は変わるのも確かだった
靄のかかる夏の夕暮れのような趣も感じ取れる薬酒とも言えた
ぼんやりとしていると昼は夕となり夜になり月は昇った
霞んだ暗闇の空が頭上に広がっている
そろそろ街に戻ろうかと思い天幕に足を運び
寝ていた猫鬼に声をかける
眠たげに起きてきた猫鬼を脇に、焚き火の仕舞いをする
火が消された場は暗闇に近付いたがまだ月明かりが残っている
足元が見えないと言うほどではない
天幕はそのままにして行く
誰かが使うなら使うでそれでいい
時々後ろを確認すると
猫鬼は夜をさまよう亡霊のように後をついて歩いていた
歩くは歩けているのでそのまま進んだ
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