201: ◆7MD0tm3Wnt1M[sage saga]
2022/01/22(土) 18:28:27.79 ID:fGMgxjJA0
店の外に出る
今は夜だ
店の周囲は岩と低木の多い荒れ地になっている
更にその荒れ地は半分ほどまで雪が被った
壁のような山に囲まれている
店の少し前に焚き火がある
炭が小さく割れる音がして火がはぜる
橙色に光る粉が漂っては消える
横倒しになった木に腰かけた
焚き火を眺めるには特に不都合もないような木だ
遠くを見る
角灯を片手に下げた彼女が荒れ地を歩いている
何しろ女神の庭だ
その主が歩いていても特に不思議はない
編まれたふたつの銀色の髪の房が揺れた
白々とした月が照らしている
その月とさしたる違いもないような色彩の
甘く幼げに整った白い顔もまた照らされている
顔は、ぼうと夢を見るようなやすらかさを浮かべている
青白く明確に照らされた闇だ
眺める分には申し分ないが
やはり夜とも言えないような夜だ
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