他所では書きたくないことを書くための鍵付きの箱
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70: ◆hrnlXUwgqq8a[sage saga]
2019/08/22(木) 12:44:51.59 ID:QYuYL+S10
『ところで、あれは何だったのですか?』
「ああ、君は知らないのか」
『ええ、私に渡されたのは貨物と任務の目録だけで、由来についての情報は渡されていません』
「そうか、なら話すよ」
「そもそもの始まりは、まだ人類が地球にしか居なかった時になる」
「その当時に有名な芸術家がいてね、巨万の富を築いて、その財産は彼の死後に自分の財団に全部寄付された」
「そしてその財団が研究していたのが『物質の永久保存』だった」
「彼らは色々やったよ、低温保存、窒素封入、厳重な放射線遮蔽」
「だけど君も知る通り、物質は絶えず変化するので、そういった処置は変化を遅らせることしか出来なかった」
「そこで彼らは、目的を変えた」
「次の目的は『劣化の延期』だった」
「これも君が知る通り、時間の流れというのは相対的で、光速まで加速するか、巨大な重力場の近くでは主観時間の経過が遅くなる」
「だけど光速に達するのは不可能だ」
「光速の99.99%まで加速することは技術的には可能でも、そこまで加速すると今度は何にもぶつからずに進み続ける事が不可能になる」
「たとえ最も軽い原子の一粒でさえ当たると致命的なエネルギーになる」
「そこで彼らが思いついたのが、ブラックホールの衛星にすることだった」
「宇宙では巨大な重力場を持つブラックホールの衛星にすることで、衛星内部の時間の進みを衛星外部より遅くして、相対的に劣化を遅くすることが出来ると踏んだんだ」
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