277: ◆lu5mqPKdjRWD[sage saga]
2020/01/05(日) 09:01:13.20 ID:BvcLTVcC0
化け物は、昔から、森の奥にいました
今より小さな頃から、ずっと、森の奥にいました
その頃から、自分ひとりのための姫を
化け物は渇望していました
"アア、ヒメダ、スクウ、オトメダ"
化け物は深い森の奥から街に訪れ
脇目も振らずに領主の館に向かいました
なぜかはわかりませんが
既に道筋などは頭の中に入っていました
人々はトロルが、本当に来たと、予言の通りだと
口々に…
化け物は何かに導かれるように動き
館の壁を引きちぎり、崩します
その先は、橙色の明かりで照らされた、広い空間でした
領主の娘はそこに佇んでいました
まるで、待ち構えていたように
化け物は歩み寄ると、娘に抱きつきました
人の身を、力で傷つけないように、抱き締めました
"アア、キミダ、ズット、ホシカッタ、キミダ"
娘は、無表情に、抱き締められていました
彼女は、化け物を見上げます
その目は、少し、憐れむように、悲しげでした
そして化け物は、娘を抱き抱えながら走り去ります
目の前の阻むものは、すべて、かわしながら
街を抜け、森の、奥へ、奥へと走り去ります
森の奥には
かいぶつが、おひめさまとくらすための館や
澄んで、静けさに満ちた川や、泉がありました
#ナイトクラン #ダークファンタジー #二次創作
1002Res/996.88 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20