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HTML化した人:Kastanie
【モバマス】仕事前にレストランへ寄る話
1 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:41:36.33 ID:gXs5PGWI0

※ 久々のラジオドラマ風
※ ナレーション(CV.大川透)

===

N『今回のお話は、スタジオに向かう途中の車内から始まります』

P「あー……お腹が空いて来ちゃったなぁ〜」

冴島清美「何です突然? ……あ、信号青になりましたよ」

P「おっ、サンキュー」

清美「どういたしまして」

P「……じゃ、無くてだな。あーあぁ、お腹が減って来ちゃったなぁ〜」

清美「……何が言いたいんですか、プロデューサー」

P「何ってお前ね、昔からよく言うだろうが。『腹が減っては台所』ってな!」

浜口あやめ「つまみ食いの極意ですかな?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1494362495
2 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:43:48.23 ID:gXs5PGWI0

P「ママによく、怒られたぁ〜」

城ヶ崎莉嘉「Pくん、お母さんのことママって言うんだ」

小関麗奈「なによ、マザコン?」

P「バカァ。お母さんは敬いなさいって、習わなかったのかよ学校で」

諸星きらり「Pちゃんはお母さんのこと、好き好きうきゃー! なんだにぃ」

P「まあな。母の日には毎年滝のようなカーネーションを――って、違ーう!」
3 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:45:02.24 ID:gXs5PGWI0

P「あー、腹が減って死にそーだー!」

清美「分かった分かった分かりましたから! だから耳元で怒鳴るのは止めてください!」

清美「……要するにあなたは今、お腹が空いてるんですね?」

P「やっと分かったか? そうだぁ!」


莉嘉「やっと分かったか☆」

あやめ「このうつけ者め!」

清美「……怒りますよ?」

莉嘉&あやめ「ごめんなさい」

麗奈「アンタらね、このアホに付き合ったら損するだけよ」
4 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:46:25.28 ID:gXs5PGWI0

P「おい麗奈! お前な、今俺のことを馬鹿にしたか?」

麗奈「全然、アホにしただけ」

P「そうか……なら良し!」


清美(薄々分かってたことだけど)

麗奈(コイツやっぱり)

莉嘉(お馬鹿さんだー!)


きらり「にょわにょわにょわ……ホントにいいの? Pちゃん」

P「うん? あ、そうそうそうだ。思い出した」
5 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:48:12.02 ID:gXs5PGWI0

P「どっうしっておっ腹は減っるのっかな〜♪」

きらり「あんっ! そっちぃ!?」

あやめ「お腹が空くから減るのです」

莉嘉「でもさ、Pくんの言うとーりお腹空いたー」

麗奈「……まぁね。もうすぐお昼だし」

きらり「次のお仕事が終わるまでは、我慢がまんだよ二人ともぉ」

清美「タイトなスケジュールの弊害ですね。……まぁ、それだけ仕事が順調だってことですが」


P「なにせ俺がプロデュースしてるからな!」

清美「そこが一番の謎で、ネックなんですが……」
6 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:50:06.28 ID:gXs5PGWI0


N『その時、一行の行く手にレストランの看板が』

P「おっとぉ? あんなところに洒落たレストランがあるじゃない」

清美「まさか、寄る気じゃありませんよね」

P「当然、頭では分かってるよ。無視してスタジオに行けってな」

清美「ほっ、良かった」


P「……だけどなぁ、体の言い分も聞いてみないと」

清美「良くなかった!」

莉嘉「Pくん体とおしゃべりできるの? すごーい!」

麗奈「はい、馬鹿発見」

あやめ「流石はプロデューサー殿ですな! 珍しい特技をお持ちのようで」

麗奈「もう一人いたわ……」
7 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:51:38.07 ID:gXs5PGWI0

きらり「だけど清美ちゃんの言う通り、Pちゃん寄り道はダーメっ♪」

P「固いこと言うなよ。少しぐらいなら時間はあるし、余裕余裕」

莉嘉「そっか、ならオッケーだね☆」

あやめ「何の問題もありませんな!」

麗奈「ちょっと、この馬鹿二人を今すぐ車から降ろせない?」


清美「麗奈さん、そんなことできるハズないでしょう?」

きらり「そうそう、車は急に〜止まれない☆」

P「だな!」

清美「いえ、そういう意味じゃなくてですね」
8 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:53:48.58 ID:gXs5PGWI0

清美「――って、ダメだって言ってるのにどうして車線変えてるんですかっ!?」

P「ぬぉっ!? な、なんてこった! 俺の手がハンドルを勝手に!」

清美「小芝居したって誤魔化せません!」

P「いやね、どーにも体が反抗期で――」


莉嘉「それよりPくん前見て前っ!!」

あやめ「く、車がっ!」

きらり「きゃああっ!?」

麗奈「ぶつかるぶつかる!!」


P「ふんぬっ!!」
9 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:56:13.98 ID:gXs5PGWI0

N『刹那、車はPの強引なハンドル捌きによってレストランの敷地内へ!』

 キキィーッ! ガツンッ! ガリガリガリッ!!


P「……ヒュー」

清美「あ、あぁ……生きてる?」

P「どうやら無事に、駐車場へと入れたようだな!」

麗奈「無事? 無事ですって!?」

麗奈「対向車と正面衝突しそうになって、おまけにブロック塀で車体擦って!」

麗奈「どこをどう見て『無事』なのよ!!」

N『そうして小関君が指さす先には、気を失っている諸星君に浜口君が活を入れています』
10 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 05:57:55.25 ID:gXs5PGWI0

P「だが、最善は尽くしたことは認めてくれい!」

莉嘉「でもでも車、傷だらけになっちゃった。怒るだろうなー、美世さん」

P「なーに、心配するない。誠意を込めて謝れば――」

あやめ「笑って許してもらえるものでしょうか?」


P「説教と弁償だけで済むハズだ!」

莉嘉「それ、この前も言ってなかったっけ?」

麗奈「月に三度は聞く台詞ね」

清美「正直、この人の送迎はもう受けたくないですよ……」

きらり「うきゅ〜……まだ、お目々がぐるぐるしてるにぃ……」
11 :清美『超☆もばます!』 ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:00:25.87 ID:gXs5PGWI0
===

『何はともあれ、入店です』

店員「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

P「五人です!」

清美「六人ですよ」

P「何だとっ!? ひー、ふー、みー、よー……おっと、自分を数え忘れてた」

店員「は、はぁ」


P「すみません店員さん。僕たち皆で七人でした!」

清美「どうして増えてるんですか!?」

きらり「すみません、六人です」
12 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:02:44.65 ID:gXs5PGWI0

店員「……で、ではお席に案内いたします」

P「はい! お願いします!」


麗奈「はぁ〜……お間抜け」

P「おいおい麗奈、随分だな」

P「自慢じゃないが、俺は足し算引き算なんでもござれだ」

麗奈「……アンタ、何でもござれの意味分かってる?」

P「ただし、暗算できるのは二桁まで!」

清美「た、たったの二桁……」

莉嘉「でも、さっきの計算は一桁だよね?」
13 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:03:56.65 ID:gXs5PGWI0

P「それに加えて九九だってできる! ……が、割り算になるとちょっと怪しい」

莉嘉「じゃあじゃあアタシの方がPくんより凄いよ! リカは割り算もできるし、方程式だって解けるもーん♪」

P「ホーテーシキ? おいおい莉嘉。人と話をする時に、難しい専門用語を使うなよな」

莉嘉「センモンヨーゴ……千個の並んだ門のこと? ヨゴさんって人の家の」

麗奈「……莉嘉、こんな馬鹿と張り合うのはよしなさい」

きらり「そしてそして、きらりにはわかゆ。Pちゃん、まーた勘違いしてる」
14 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:05:05.75 ID:gXs5PGWI0

P「ホーテーシキってのはあれか? 裁判所でする……算数のイベントか何かか?」

莉嘉「Pくんの通ってた学校は、裁判所なんかでテストしたの?」

あやめ「……ああ、お二人の会話が噛み合ってない」

清美「この人、本当に大人ですよね? 学校だって卒業した」

N『一応大学も出てるそうですよ』

清美「嘘っ!?」

あやめ「……そして清美殿は、一体誰と話しておられるのですかな?」
15 :莉嘉『も・ば・ま・すっ☆』 ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:07:33.18 ID:gXs5PGWI0
===

店員「それではこちらの席へどうぞ。ご注文が決まりましたらお呼びください」

P「はい! ありがとうございます!」

清美「いちいち大きな声を出さない。……恥ずかしいんだから、もう!」

きらり「だけどだけど、そこがPちゃんの良いとこだゆ?」

麗奈「きらりはコイツに甘過ぎね……よいしょっと」


あやめ「あっ、お待ちくだされ麗奈殿」

麗奈「ん、なに?」

あやめ「隅の席はわたくしに。わたくしめが座ります」

莉嘉「あやめちゃん、いっつも隅っこに座るよね」

P「忍者だからな」

清美「超☆忍びですね」
16 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:08:46.88 ID:gXs5PGWI0

あやめ「いやはや全く、お二人に忍びとして褒められるのは恐縮ですが――」

清美(褒めたつもりじゃないんだけどな)

あやめ「残念ながら、違います。もっと普通の理由ですよ」

莉嘉「フツーの理由? どんなリユー?」

あやめ「それはですね。ここなら店内全体と、出入り口が一緒に見張れますから」

麗奈「その回答、まんま忍者の答えじゃない」
17 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:13:48.93 ID:gXs5PGWI0

あやめ「なんと! 確かに麗奈殿の言う通り……」

P「不覚を取ったな、あやめ!」

あやめ「くぅ……! 自分は至らぬ忍びです!」

P「だからこそ、精進の余地もあるというもの!」

あやめ「プ、プロデューサー殿!」

P「さぁ、クヨクヨする暇があったら立ち上がれぃ! あやめよ、お前の忍びを見せてみろ!」

あやめ「プ、プロデューサーどのぉ〜〜っ!!」


きらり「……ぐすん。これぞ美しき師弟愛だにぃ」

清美「ただ騒がしくてうるさいだけでしょ。……茶番にはついて行けないわ」

清美「とにかく、一旦みんな座りましょうか」
18 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:25:59.90 ID:gXs5PGWI0

P「はい、すぐに!」

あやめ「どうもお騒がせを致しまして」

莉嘉「あ、なんか満足したみたい」

清美「はいはい、皆さん詰めて詰めて」

莉嘉「アーターシーはー……Pくんの隣ー☆」

きらり「じゃあじゃあきらりも、Pちゃんの隣〜☆」

P「うぐっ!?」

麗奈「ちょ、ちょっと! 今、物凄くえぐい音したわよ……」

N『例えるならそう、お肉を全力で叩いた音を、もっと重たくしたような響きでした』
19 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:30:10.13 ID:gXs5PGWI0

P「みんな座ったな? じゃ、早速メニューメニュー」

清美「平気……みたいですね」

あやめ「日頃の修練の賜物ですな」

麗奈「馬鹿だから、骨が折れてても気づかないんじゃ……いや、いいわ」

N『小関君、賢明な判断』


きらり「PちゃんPちゃん、メニューどーぞ」

P「気が利くな! お礼に頭を撫でてやる」

きらり「うきゃ〜!」

清美「ちょっと、セクハラですよ」

莉嘉「でもでもきらりちゃん嬉しそー」

麗奈「全く、食事の前から胸焼けなんてさせないでよ」


きらり「……麗奈ちゃんも、なでなでされゆ?」

P「なんだ、麗奈も撫でて欲しいのか?」

麗奈「んなワケないでしょ!? バッカじゃないの!!」

莉嘉「ねーねーみんなは注文決めたー? ボタンはアタシに押させてねー♪」
20 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 06:30:53.50 ID:gXs5PGWI0
とりあえずここまで。
21 :きらり『バッチシ、もばますぅ!』 ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:13:45.34 ID:gXs5PGWI0
===

P「――じゃあ、注文は以上で」

店員「かしこまりました」

P「さーてっと、働いた働いた! 今日も一日お疲れさん!」

清美「まだですからね? まだ」

きらり「スタジオがきらりたちを待ってるにぃ」

P「いかん。言われてみれば確かにそうだ」


莉嘉「Pくんってさー、けっこう物忘れ激しいよね」

P「そんなド忘れ者の俺ですが、みんなの注文を伝えたぞ?」

きらり「うんうんPちゃん、偉い偉い♪」

清美「きらりさん、みだりに甘やかさないでください」

きらり「でもでもぉ、褒めると人は〜よく伸びるって」

麗奈「アンタはコイツのお母さんか」
22 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:15:16.06 ID:gXs5PGWI0

P「伸びるタイプのプロデューサーだ。お前らも一杯褒めてくれよな!」

清美「あなたは! すぐに調子に乗って!」

P「ひぇっ、こわ……」

きらり「き、清美ちゃん。お目々がキーッてなってゆ……」

清美「なら私を怒らせたりしないよう、冗談も程々にしておいて欲しいですね」

きらり「はい!」

P「分かりました!」

清美「全く……返事はいつもいいんですから」


あやめ「ふふふ。清美殿の方が、余程母上らしいですな!」

清美「……冗談だとしても笑えませんが?」

あやめ「ひっ! ご、ごめんなさい、もう言いません! だからあやめを怒らないで……!」

麗奈「ちょっと忍者、キャラ崩れてる」
23 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:17:00.14 ID:gXs5PGWI0
===

莉嘉「PくんPくん、ドリンク取りに行っていい?」

P「もちろんいいぞ。俺の奢りだ、ジャンジャン飲めぃ」

清美「元から飲み放題ですけどね」

きらり「あっ、待って待ってきらりも一緒にいきゅ♪」

麗奈「そうね、だったらアタシも――」

清美「待ちなさい」

N『そそくさと立ち上がった小関君の腕を、冴島君が掴みました』
24 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:17:48.47 ID:gXs5PGWI0

麗奈「な、何よ清美? 怖い顔して」

清美「先に言っておきますけれど、飲み物は玩具じゃありませんから」

麗奈「わ、分かってるわよそのくらい……」

清美「妙なミックスジュースなんて持って来たら、あなたに飲んでもらいますよ?」

麗奈「だからしないってば、そんな子供みたいなこと!」

清美「本当ですかね……」

麗奈「ええ、ホントホント……ちっ」


あやめ「おっと、舌打ちは感心しませんな」

P「あやめの言う通り、舌打ちはいかんぞ舌打ちは。仮にもアイドルなんだから」

清美「あなた方二人は、咎める所が間違ってます!」
25 :あやめ『もばます……ニンッ♪』 ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:20:32.85 ID:gXs5PGWI0
===

店員「お待たせしました」

P「いよっ! 待ってました!」

莉嘉「あははっ、Pくんなんだか子供みたーい♪」

麗奈「まっ、実際このはしゃぎようは子供よね」

店員「こちら、ご注文頂いたデザートです」

きらり「はい、どうもどうも〜」

麗奈「あ、そのふわとろパフェはアタシのだから」


P「……あれぇ?」

清美「何を不思議そうな顔してるんです?」

P「何ってお前、俺の料理は?」

きらり「Pちゃんごめんね? きらりたちのが先に来ちゃったみたいなの」

P「あぁ〜っ!? なんだよぉ〜」


莉嘉「あ、しおれた」

P「ぬか喜びだ〜、やるせねーなー……」

あやめ「まるで空気の抜けた人形のごとし」

麗奈「鬱陶しいわね、邪魔よ、邪魔!」

P「返せよ、俺のワクワクをよ〜!」

清美「はぁ……そんなところまで子供じゃなくていいですから」
26 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:21:44.01 ID:gXs5PGWI0
===

あやめ「ところで、きらり殿たちはデザートを頼まれたのですね」

きらり「うん、そうなの♪」

麗奈「この後のことを考えたら当然よ。歌って踊ってそれを撮影して……」

麗奈「そんなの、満腹じゃできないでしょ」

清美「……あっ」

P「なるほど、お前ら頭いいな!」

麗奈「まぁ、アンタよりかは断然ね――ふぐっ!?」

きらり「うぇへへ〜☆ 褒められちった、麗奈ちゃん」

麗奈「ちょっときらり、急に抱き着かない!」
27 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:22:57.39 ID:gXs5PGWI0

莉嘉「えー? 二人ともそんなこと考えてたの?」

P「なんだ、莉嘉は違うのか」

莉嘉「うん、食べたい物を頼んだだけだよ?」

あやめ「それはそれは、なんとも莉嘉ちゃんらしい」

莉嘉「でもそれがベストな選択? になってるから……やっぱりアタシ、センスある☆」

麗奈「まっ、センスがあるかはともかくとして、多少は持ってるってヤツ?」

きらり「おやおやぁ〜? 麗奈ちゃんが褒めるなんてめずらすぃにぃ」

麗奈「あのねきらり。極悪卑劣なレイナサマでも、他人を褒めたくなる程に心安らかな時ぐらいあるの」

莉嘉「それってそのパフェ食べてる時?」

麗奈「そうよ! このふわふわしたクリームと、下地のフルーツアイスが織り成すハーモニーは繊細かつ絶妙で――」
28 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:24:59.16 ID:gXs5PGWI0

P「なんか美味そうだな。一口くれよ」

麗奈「へっ?」

P「うん? う〜ん……もう一口」

麗奈「あ、あ……」

あやめ「一口どころか二口、三口」

莉嘉「それもクリームばっかり狙って取ってる……」

麗奈「あ、ア、アタシのパフェ、アタシのパフェが……」

N『結局半分ほどを平らげてから、Pが難しい顔で言いました』

P「……微妙だな、甘ったるいだけじゃないか?」

麗奈「ア、アンタねぇ! 人としてサイッテー! 最低だわ!!」

P「うわっ!? や、やめろ! フォークで額を突き刺すな!!」

きらり「わっ! わっ!? 麗奈ちゃん、落ち着いて〜!!」

麗奈「このっ! くのっ! このこのぉっ!!」

P「清美ぃ! こういう時こそお前の出番……って、何をボーっとしてるんだ!?」

清美「ふぇっ? ……はっ! ふ、二人とも何をしてるんですか! 止めて、止めなさーいっ!」

麗奈「止めないわよ清美! コイツは、コイツだけはアタシの手でっ!」

P「止めろ! 前髪を引っ張るんじゃない!!」


きらり「……麗奈ちゃん、とっても可哀想」

あやめ「最早かける言葉もないですな」

莉嘉「ア、アタシも自分の分のケーキ、とられる前に食べちゃおーっと」
29 :麗奈『アーハッハッハッモブァマフッ!』 ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:26:43.36 ID:gXs5PGWI0
===

店員「お待たせしました」

P「待ーたさーれまーしたー」

清美「ちょっと、そういうの感じ悪いですよ」

店員「こちら、ご注文の蕎麦になります」

麗奈「……蕎麦?」

莉嘉「レストランなのに?」


店員「それがメニューにあるんです。当店は『注文できる料理が多い料理店』ですので」

清美「そ、そんな店名だったんですね」

店員「ご注文さえ頂ければ、中華料理だってお出しできますよ?」

P「なにぃっ!?」

店員「ど、どうなされました?」

P「そーゆーのは早く言ってよねぇ……知ってたら、俺は三元豚を頼んだのに!」

店員「はっ? 三元豚……」

清美「あの、聞き流してもらって結構です」

N『三元豚は豚の品種。決して中華料理ではありません』
30 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:28:05.69 ID:gXs5PGWI0

店員「それでは、ごゆっくりどうぞ」

莉嘉「行っちゃった」

あやめ「笑顔が引きつっていましたね」

P「いかんなぁ、スマイルは接客の基本だろうに」

麗奈「アンタのせいだ、アンタのせい」


清美「それで……蕎麦は誰の注文ですか?」

あやめ「は、恥ずかしながらわたくしの……」

P「いや、知ってた」

きらり「注文したの、Pちゃんだもんね」
31 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:29:23.00 ID:gXs5PGWI0

P「えっ? 俺が注文したんだっけ?」

清美「……プロデューサー、やっぱり一度病院で診てもらった方が」

麗奈「アタシも本気でそう思うわ」

P「な、なんだお前らのその目つき!」


麗奈「疑いの目よ」

清美「憐みの目です」

P「よせやいっ! 俺は蕎麦と言えば和食、和食ならあやめだろうってキチンと論理的に推理してな――」

きらり「……Pちゃん、覚えてたワケじゃ無いんだ」

P「き、きらりまで俺を憐れむなぁーっ!」
32 :麗奈『さっきむせたからもう一回。できる? ありがと』 ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:31:58.90 ID:gXs5PGWI0
===

N『それから程なく、Pと冴島君の頼んだ料理がやって来たワケなのですが――どうやら問題発生のようです』

麗奈「清美……」

あやめ「清美殿……」

清美「う、うぅ……」

P「清美、本当に食べきれるのか?」

莉嘉「清美ちゃんの頼んだステーキ、おっきいね」

N『彼女の前には今、それはそれは立派なステーキセットが一皿』

清美「だって、お腹が、お腹が空いてたんですもん!」

麗奈「アンタね、この後仕事だって言ってるのに……」

P「欲張りさんだな」

きらり「ちょっと違うにぃ」


清美「で、ですが頼んでしまった以上、責任を持って食べきります!」

清美「こんな時の為に『超☆完食』腕章だってありますし」

麗奈「……なんでそんなの持ってるのよ?」

清美「ままよっ!」

あやめ「お、おお……鬼気迫る食べっぷり」

莉嘉「お肉がどんどん減ってってる!」
33 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:33:33.87 ID:gXs5PGWI0

P「こりゃあ俺も負けてられないな」

きらり「そういえば、Pちゃんは何を頼んだの?」

P「俺はこれだ。発掘ワクワクお子様セット」

あやめ「発掘?」

莉嘉「ワクワク?」

きらり「お子様セットぉ?」


麗奈「器に入ったご飯の上に、海苔が敷いてあるだけにしか見えないんだけど」

あやめ「のり弁ですかな?」

P「ふっふっふっふっ、これだからお前らみたいなお子様ランチ素人は困る」

P「この一面に敷かれた海苔の下のご飯にはな、おかずが埋まっているんだよ!」

莉嘉「わかった! 食べながらおかずを探すから――」

あやめ「ずばり、発掘なのですな!」

莉嘉「あやめちゃん、アタシの台詞取っちゃダメだよー!」
34 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:34:40.28 ID:gXs5PGWI0

P「見ろぃ! 既にここに、エビフライの尻尾がちょこっとだけだが飛び出ている」

P「この下には、確実におかずが埋まってるハズだ!」

莉嘉「ねぇねぇPくん、アタシもおかず探していい?」

P「いいぞ、スプーンを貸してやろう」

莉嘉「やったー☆」


麗奈「見た目はともかく……食べてる方は楽しそうね」

きらり「うずうず、そわそわ……」

P「なんだきらり、うずうず言って」

きらり「にょわ!?」

P「……掘るか?」

きらり「うんっ! すゆっ!」

麗奈「うわ、めちゃくちゃいい笑顔」

あやめ「きらり殿、嬉しそうですなー」
35 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:36:36.74 ID:gXs5PGWI0

清美「お肉は美味しいのに……涙が、涙がでる!」

莉嘉「ふんふんふふ〜ん……あっ! ミートボール発見☆」

きらり「きらりもきらりも、から揚げはっけ〜ん☆」

P「おいおいお前ら、俺が掘る分もちゃんと残しとけ」

莉嘉「はーい!」

きらり「にょっわー☆」


麗奈「……ねぇあやめ」

あやめ「おや、なんでしょう?」

麗奈「アンタさ、お腹空いてない?」

あやめ「奇遇ですね。実はわたくしも同じことを聞こうと思っていたところです」

N『そうして二人は頷き合うと、お店の人を呼んだのです』

麗奈「あの発掘セット、追加で!」

あやめ「食器の準備は万端です!」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2017/05/10(水) 20:37:53.37 ID:fIxISQLGO
PaPに髪があるなんて・・・
37 :麗奈『もばます! ……あっ、笑い忘れた』 ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:37:56.44 ID:gXs5PGWI0
===

N『さて、食事を終えてお店から出て来た一行は、とても満足したようですよ』

P「いやー、食った食った。堪能したなぁ」

麗奈「結局調子に乗って食べちゃって……」

清美「うう、お腹重い……」

莉嘉「でもでも料理は、美味しかったね!」

きらり「またみんなで一緒に来たいきたーい!」

あやめ「しかし、何かを忘れているような……」


N『浜口君の一言で、時計を確認したPが言います』

P「それじゃ、遅刻の言い訳考えるか!」

みんな「それだーっ!!」


N『以上、仕事前にレストランへ寄る話でした』
38 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2017/05/10(水) 20:39:47.52 ID:gXs5PGWI0
おしまいです。パッションなPとアイドル達のやりとりが書きたかっただけ。
それでは、お読みいただきありがとうございました。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2017/05/12(金) 00:45:47.44 ID:BgGSYngE0
パッションっていうか頭逝っちゃってるというか……
おつ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2017/05/12(金) 01:48:59.15 ID:snNLps37o
ちひろの商品で脳細胞が死滅したんだよ



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