以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/21(日) 21:48:30.96 ID:SicggMn20<>こことはまた違う世界での話である。
6月半ばのある魔法学院から話は始まる。
青年「はあ...またか。」
青年の上靴が両足ともそろう日は稀であった。
男学生「ぷっ」
女学生「クスクス」
どこの世界においてもくだらないいじめというものは起こるもので
この青年もまたその被害者であった。
青年「くっ...」
男学生「うわっ、あいつ泣いてるよ!」
女学生「ださー」
これが青年の一日の始まりだ。
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<>仙人「こんなところに人か?」
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/21(日) 21:56:35.05 ID:SicggMn20<> 事件は魔法の実習授業中に起こった。
先生「よし青年。やってみろ」
青年「えっ、僕ですか?」
先生「ああ、お前もそろそろがんばってみろ」
青年「はい...」
青年は何故だかまったく魔法が使えないのであった。
それをきっかけに彼に対するいじめは始まったのである。
青年「できません...」
先生「はあ...もういい下がってろ」
皆「クスクスクス」
青年「うぅ...」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/21(日) 22:02:02.74 ID:SicggMn20<> 青年「(はあ...僕はどうして魔法が使えないんだろう...)」
男学生「おい、聞いたか!青年って実は裏口入学らしいぜ!」
女学生「それ知ってるー!あいつの親って偉い魔法使いだもんね!!」
男学生「ああ、なのになんであんなクズが生まれたんだろうな!」
ははははははははははははは
笑い声が教室じゅうにこだました。
青年「(くそ、勝手なこといいやがって!)」
女「青年くん、気にすることないよ?」
青年「女さん...」
女「ああいうのは勝手に言わせておけばいいのよ」
彼女は学園内で青年と普通に接してくれる唯一の人だった。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/21(日) 22:10:39.11 ID:SicggMn20<> 当然、そんな彼女に青年は恋心を抱いた。
ひょっとしたら、自分のことを...と。
しかし、その淡い期待は見事に打ち砕かれることとなった。
男学生「女さん、お待たせ!」
女「ううん。今来たところ」
男学生「じゃあ、帰ろうか!」
女「うん♪」
青年「(そんな...!)」
青年は走り出した。
今目の前で起きた現実を受け止めきれずに、ただただ走った。
青年「どこだここ...」
青年「まずい。迷った...どうしよう」
青年「もういいや、どうせ僕なんか誰にも必要とされてないんだ」
青年「このまま死んじゃえ...」
青年「でも明日にしよう。今日はもう疲れた」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/21(日) 22:23:26.79 ID:SicggMn20<> 翌朝、静かに身を起こした青年は、視線の先に人影を発見する。
青年「こんな山奥に人?」
青年は少し警戒して、もう少し近くに移動した。
青年「(なんだろう...小さい。子供?)」
そこには、身の丈4尺ほどの男が立っていた。
しかし、次の瞬間にその姿は消えていた。
仙人「なんだ、こんなところに人か?」
青年のすぐ後ろから、声がした。
青年「うわああああああ!!!」
仙人「うわっ!急に大きな声を出すな!」
仙人「君はこの山に警戒されている。うかつな事をすると帰れなくなるぞ」
青年「あなた...さっきまでそこにいたんじゃ...」
仙人「ああ、だが人の気配を感じてな」
青年「こんなところで何をしているんですか?」
仙人「夕飯の調達だ。君こそこんなところでなにをしている」
青年「僕は...」
青年は、言葉に詰まった。
会ってからまだ少しもたっていないのに、死のうとしていたことを話すなんて
と思ったからである。
仙人「まあいい。見たころ疲れているようだ。家にきなさい」
何かを察したような仙人に、青年は黙ってついていった。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/21(日) 22:38:13.73 ID:SicggMn20<> 仙人の家は、山をさらに奥に進んだ場所にあった。
こじんまりとした木造の家だった。
青年「こんなところに...」
仙人「まあ、狭い家だがくつろいでいけ」
仙人「自己紹介がまだだったな、俺は仙人だ。」
仙人「何があったかは知らないがゆっくりしていけ」
青年「えっ...でも」
仙人「死のうとしていたんだろう。この山で死なれては困るからな」
青年「どうしてそれを...でも、家族が」
仙人「死のうとしていたのに家族か...安心しろ。お前の父親とは古い縁だ、もう伝えておいた」
青年「お父さんと...あなたいったい何者なんですか」
仙人「ただの仙人だ。食え、山で取れた山菜の粥だ。」
青年「ありがとうございます...」
青年は、何もかも見透かされている気がして、恥ずかしくなった。
いまはただお粥を食べながら何も考える気にはならなかった。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/08/21(日) 22:59:36.63 ID:ieuTthLk0<> 期待 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 00:03:05.73 ID:1EnPmQdo0<> その日の夜に、青年は仙人といろいろなことを話した。
いじめられていたことや、山に来た理由など。
仙人はどこか知っている風だったが。
青年「本当にしばらくここにいていいんですか?」
仙人「好きなだけいるといいさ。俺もちょうど暇をしていたところだ」
青年「ありがとうございます...!」
仙人「まあ、今日はゆっくり休め。明日から忙しいぞ」
青年にその意味はまだわからなかったが、言葉通りにすぐに眠った。
そして、次の日の朝
仙人「起きろ、青年」
青年「ん、おはようございます」
仙人「俺なりにお前がいじめられる原因を考えたんだが...」
青年「え?」
仙人「お前は魔法が使えないせいだといったが、それは原因のひとつであって、全てではない」
青年「どういうことですか?」
話の意図がわからないといった感じで青年が問う。
仙人「それは、お前が弱いせいだ」
仙人は鋭い目で言い放った。
青年「僕が弱いから?」
仙人「ああ、心も体も。お前は弱い。だからいじめられるんだ」
そこまではっきりいわなくても。と内心思った青年であったが、確かにと納得した。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 00:09:49.23 ID:1EnPmQdo0<> 青年「でも僕は昔から体が弱くて...」
仙人「そのことなんだが」
仙人「お前、体育の授業はどうしてる」
青年「いつも見学しています。走ったりするとすぐに体調を壊してしまって」
仙人「やはりか...ならお前はどうやってここまで来たんだ」
青年「走って...あ」
仙人「まだ言ってなかったが、ここから魔法学院までは10kmはある、加えて登山もしたとなると」
仙人「お前は何故体調を壊していないんだ?」
青年「それは...」
青年は言葉に詰まった。
ここに来てからいろいろなことが起こりすぎて、そんなことを考える余裕がなかったからだ。
仙人「お前はここに来る前必死になって走っていたといったな」
悲しい出来事が起きたから。と仙人は続けた。
仙人「お前は体が弱いんじゃない。自分の力を制御できていないんだ」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 00:17:19.92 ID:1EnPmQdo0<> 青年「そんな...でもそんなはずは」
仙人「考えても見ろ、お前の父親は、そして母親は誰だ」
青年「そんな...僕が...」
青年は寝起きの頭に大きな衝撃を突きつけられ、めまいがする思いで立ち尽くした。
青年「じゃあ僕はどうして、力が制御できないんですか、姉は優秀な魔術師です」
青年「どうして僕だけ...」
仙人「教えてやろう」
仙人「お前の父も、姉も、私の教え子だ」
悪い血を継いだな。と仙人が笑う。
仙人「ついて来い。力の使い方を教えてやる」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 00:26:40.27 ID:1EnPmQdo0<> とあるお屋敷
父「む、このノイズのある念派は...」
仙人「ああ、お前か。久しぶりだな」
父「やはりお前か、何のようだ」
仙人「恩師にその口のききかたはどうなんだ」
仙人「お前の息子は預かった、態度の悪いお前はすぐに追い抜かれるだろうから、覚悟して置くように」
強制的に切れた一方的な念話に、若干イライラいながらも、父は姉を呼んだ。
父「来たか、座りなさい」
姉「はい」
父「もうわかるとおもうが...青年が誘拐された」
姉「ふふっ。楽しみですね、帰りが」
父「本当に私をこえかねん。まったく恐ろしいよ、あいつは」
姉「それはないでしょう、だってお父様は」
母「あなたたち、配膳手伝って頂戴!!」
父&姉「はーい」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 00:44:25.99 ID:1EnPmQdo0<> 場所はもどり、山奥の仙人の家
仙人「まずは、コレを食え」
青年「うえ、なんですかこれ」
差し出されたのは、赤黒くぬめりのある物体。
仙人「肝臓だ、生で食わないと意味がない」
青年「な、なんの」
仙人「聞かないほうがいいぞ、ちなみにお前の姉も食った」
青年「うえー。コレ食べてどうなるんですか」
仙人「まあ、体を魔力に慣らす食材なんだが」
仙人「コレを食って修行すると早く力を実感できるぞ」
仙人「筋肉で言うとプロテインみたいなもんだな」
青年「意外と現代社会にも精通してるんですね...」
仙人「仙人だからな」
仙人が、さあ飲めとせかすので、青年は覚悟を決めた。
ちなみに、味のほうは想像にお任せする。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 00:53:22.29 ID:1EnPmQdo0<> 青年「けほけほ」
仙人「いつまでむせている。早速やるぞ」
青年「すいません...まさかあそこまでとは」
仙人「良薬口に苦しというわけだ」
青年「ふぅ...それで、何をするんですか?」
仙人「まずは、晩飯の準備だ」
仙人「まきを集めて火を起こして、山菜をとってこい」
青年「え、修行のはずじゃあ...」
仙人「いいからやれ!」
青年「はい!」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 00:54:13.93 ID:1EnPmQdo0<> すいません今日は寝ます!
明日続きを書きます!
今日見てくださったかたありがとうございました! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/08/22(月) 19:31:22.52 ID:p+2XaND5O<> 楽しみにしてる <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 19:46:05.88 ID:1EnPmQdo0<> 続き書きます!
遅くなってすいません! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 20:07:28.89 ID:1EnPmQdo0<> 夕暮れ
仙人「ふむ、結構集まったな」
青年「こんなに集めてどうするんですか?」
仙人「夕飯だといっただろう。お前はとくかくたくさん食べろ」
青年「はい...でも修行は」
仙人「お前、疲れたか?」
青年「あっ、そういえばそんなに...」
仙人「いい傾向だ、1週間も続ければ慣れてくるだろう」
青年「なにがですか?」
仙人「そのうちわかるさ、さあ食べよう」
たった二人しかいない山奥に
いただきます。という声が静かに響いた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 20:30:17.92 ID:1EnPmQdo0<> 翌朝
仙人「今日はまず洗濯をしてもらう。向こうに川があるからそこで頼む。」
青年「あの」
仙人「つべこべ言わずにやれ」
青年「は、はい!」
昼ごろ
仙人「よし、飯を食ったら次は掃除だ。この家が終わったら庭も掃除するんだぞ」
青年「はい!」
夜
仙人「風呂を沸かしておいてくれ!」
青年「はい!」
こんな日々が、およそ2週間ほど続いた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 20:42:06.22 ID:1EnPmQdo0<> ここでの暮らしにも慣れてきた青年であったが、当初の小さな疑問は日に日に大きくなっていった。
いつまでたっても修行をしないのはどういうわけか、と。
青年「仙人さん」
仙人「なんだ?もう終わったのか?」
青年「もうここに来てから2週間もたちましたけど、僕は何もしなくていいんでしょうか?」
仙人「してるだろ」
青年「でも、ただの家事ですよね?」
仙人「ふむ。まあそう思うのは仕方がないか」
仙人「よし、かかってこい。相手をしてやる」
青年「えっ!?」
仙人「相手をしてやる。かかってこい!」
青年「そんな無理ですよ!急になんて!」
仙人「来ないならこっちから行くぞ!」
刹那。
目の前にあったはずの人影はゆらりと姿を消した。
青年「後ろ!」
しかし青年も恐るべき反応スピードでそれに対応
仙人「上だ」
することはできなかった。
青年「うわっ!」
仙人「わかったと思うが、お前がやってきたことはただの家事だ」
青年「ええええ!」
ありがちな展開を裏切られた青年は、驚愕の表情を浮かべた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2016/08/22(月) 20:46:19.12 ID:AU/x7Hnr0<> 学校は無断欠席してるんだよな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 20:56:46.44 ID:1EnPmQdo0<> 仙人「なんだ、そう驚くことでもないだろう」
ただの家事。当たり前のことである。
当然仙人もそう思ってやらせてきたのであった。
青年「一見普通に見えて、実はすごい修行とか...」
仙人「ないぞ」
青年「特別な力を引き出すための儀式...」
仙人「まさか」
青年「僕の力を計るテスト...」
仙人「まったくもってただの家事だ」
青年「じゃあ修行は...」
仙人「これからだ」
仙人「だが頃合だろう」
仙人「お前がやっていたことはただの家事だ。修行ではない」
だが必要なことだった。と仙人は続けた。
青年「それってどういう意味ですか?」
仙人「最初に会ったときに話したことを覚えているか?」
青年「えーっと」
青年は、特に会話を覚えているわけでもなかったので
素直にわからないことを伝えた。
仙人「お前は山に警戒されているといったんだ。あの家事は山に慣らすための作業だ」
俺の負担を減らすための家事ってのが一番だがな。と仙人が笑った。
青年「山に?」
仙人「ああ、この山は生きている。よそ者のお前をあまりよくは思っていなかったんだ」
仙人「だが、この2週間で修行することを許してくれた。君のひたむきな姿に感化されたんだろう」
山が生きている。
というと、実際どういうことなのか。このときの青年にはまだわからなかったが
とにかくこれから修行が始まるということに対して、少しわくわくとしていた。
仙人「本当の修行だ、今日はゆっくり休め」
前にも同じようなことを言ってたような。
青年は思ったが口には出さなかった。
そして、不思議なほど静かな夜は、また明ける。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/08/22(月) 20:59:45.02 ID:XzN4CMKNO<> 期待 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 21:14:24.15 ID:1EnPmQdo0<> 翌朝、あれほど静かだった山も、少し明るくなり
森特有のざわめきがもどっていた。
青年「修行って、何をするんですか?」
小さく伸びをしながら青年が問う。
仙人「まずお前は、魔力よりも、生命力の扱い方を覚えろ」
青年「生命力...って?」
仙人「生きるための力だ。体の内の力のことだよ」
あまり理解できなかった青年だが、自分にはそれが足りていないということだろう、と思った。
仙人「お前はそれが常に垂れ流されている。静かに体内に保つ練習をしろ」
青年は、自分の生命力が常に流れっぱなしという事実に少しぞっとした。
青年「でも、どうやって?」
仙人「お前の体に覚えさせる。これからは常に命の瀬戸際に立ってもらうことになるな」
青年「ええっ!?」
仙人「死のうとしていたくらいなんだ。覚悟を決めろ」
仙人は悪い笑みを浮かべた。
青年「た、たしかに」
そのことをしっかりと忘れていた青年は、自分の変化に驚きつつも、納得せざるをえなかった。
青年「僕は何をすればいいんですか?」
仙人「体に生命力の維持を覚えさせるんだ。ぎりぎりまで使って回復を繰り返す」
そうすることで、体が危険を感じて生命力を体内に蓄えようとする、と。
仙人「だからこれからお前は、俺と24時間戦ってもらう」
えっ。
青年が呟くまもなく
戦いは始められた。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 21:32:09.67 ID:1EnPmQdo0<> どこを走っているのかわからなかった。
光が小さく差してくる林の中を、ただ逃げた。
青年「あ、あれは殺そうとしてた!」
数時間ほど前に行われた明らかな殺意のこもった攻撃。
よけられなければ、死んでいた。青年は確信する。
青年「洞窟...少し休もう」
青年「はあ...はあ...」
前より疲れていない。
すこし実感した青年だったが、疲れていることに代わりはなかった。
だが、数時間も走り続けられたのは、彼が必死の状況に置かれたからであろう。
仙人「なんだ、こんなところにいたのか」
青年「ひいっ!」
仙人「さあ、もう逃げられないぞ。正々堂々と勝負だ」
仙人がニヤリと笑ったかと思うと、首元数cmのところには鋭い手とうが届いていた。
仙人「逃げてばかりでは死ぬぞ!」
青年「そんなこといっても!」
その小さな足のどこにそんな力が、と思うほどの恐ろしい脚力で距離をつめられる。
青年「うわっ!」
青年は仙人の攻撃をなんとかぎりぎりでかわしていた。
仙人「ふむ。次は殺す。」
とたんに増大する大きな殺気が洞窟内を包んだ。
青年「(さっきまでとはまるで違う...死ぬ!)」
青年の体の中心を正確に狙った一閃が、目で追うことのできない速度で近づいてくる。
次の瞬間、青年が振り下ろした手とうは
音を抜き去り仙人の手を叩き落した。
仙人「ぐう!」ビリビリ
青年「くっ!」
両者とも大きな衝撃によって数mほど吹き飛ばされる。
仙人「やっと力を出したか...」
右手をさすりながら仙人が呟いた。
しかし、青年はそのまま気絶してしまった。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 21:40:10.62 ID:1EnPmQdo0<> しばらく時間がたち、青年が目を覚ました。
青年「あれ。僕は確か...」
仙人「やっと目が覚めたか...」
青年「あれっ!確かさっきまで」
仙人「見事な手とうだったよ、力を失ってるとはいえ、この俺の突きを叩き落すとは」
青年「じゃあ僕は」
仙人「最初にしては上出来だ、数時間しか続かなかったがな」
右手首を冷やしながら仙人が笑う。
青年「あれが僕の力...?」
仙人「一部だ。あんなものではないはずだ」
青年「すごい...」
仙人「とりあえず今日は休んで、明日からはアレを引き出す練習だ」
青年「生命力は...」
仙人「自分の体にでも聞いてみるといいさ。恐ろしい奴だなお前は」
修行一日目が、終わった。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/22(月) 21:41:04.85 ID:1EnPmQdo0<> 少し休憩します!
質問とかあったら答えられる範囲で答えます!
見てくださる方のおかげで書き続けられてます! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/08/23(火) 04:52:11.59 ID:SraTnCuN0<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/08/23(火) 06:14:43.26 ID:gjbLvst/O<> がんばって <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/23(火) 22:02:11.15 ID:xhPC1jIt0<> 修行二日目の朝が始まった。
青年「あー!もう無理です!」
仙人「ほう。30kmほどか。まずまずだな」
青年「でも、自分がこんなに走れるなんて、夢みたいです!」
仙人「ではもっと夢を見せてやろう」
青年「もう勘弁してください...」
昨日の修行で生命力の維持を習得した青年は
仙人の指示のもと、体力の測定を行っていた。
仙人「一日でここまでくれば上出来だ、次は昨日の力を引き出す訓練だ」
青年「はい!...でも、あれは本当に僕の力だったんでしょうか」
仙人「それ以外にないだろう」
青年「はい。少し信じられなくて」
仙人「その台詞は力を操れるようになってから口にすることだ」
青年「う。でも、あの時は必死で、どうやったかなんて」
仙人「また必死にさせればいいだけさ」
青年「あれはもう勘弁してください」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/23(火) 22:22:18.96 ID:xhPC1jIt0<> それから1週間。
何も起きることなく、ただ時間だけが過ぎていった。
仙人「ふむ、戦闘術は形になってきたな」
仙人「だがあくまで一般人ほどだ。お前の力はまだまだそんなものではないはずだ」
1週間。ひたすら修行を続けてきた青年だったが、成果はあまり体感できなかった。
青年「はあ。確かに、強くなった気はしますけど」
あのときの、力が体中を支配するような感覚はまだない、と青年は思った。
仙人「ふむ。まあこのまま続けていくしかないのか...難しいところだな」
あっ。と思い出したように仙人が語る。
仙人「気分転換に一度町にもどったらどうだ?」
青年「確かに、ここ数週間ずっと山にこもりっぱなしでしたし」
仙人「ああ、学校もあるのだろう?」
青年「あ”」
青年「わ、忘れてた!」
途端、青年が大急ぎで支度を始める。
仙人「今更急いだところで遅いだろう、気をつけて山を下れよ」
そういって、仙人は山からの下山道を教えてくれた。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2016/08/23(火) 22:30:08.92 ID:xhPC1jIt0<> 青年「まずい!完全に学校を忘れていた!」
そもそも死のうとしていたのに、どうしてこうなったんだろう、道中はそればかりを考えていた。
青年「(向こうについてからは、完全に仙人さんのペースに飲まれっぱなしだったからなあ...)」
いずれにしても、自分を死の考えから救ってくれた仙人には、感謝ばかりであった。
青年「ついた...久しぶりの学校だ」
おそるおそる扉をあけて、中に入ろうとした青年だったが
青年「あれっ!あいてない?」
鍵が閉まっていたため中に入ることはできなかった。
事務員「ん?どうしたんだい君。学校は休みのはずだろう?」
青年「休み!?そんなはずは..」
記憶にない休日に戸惑う青年だったが、山にしばらくいたせいで曜日感覚がずれているものと思い
素直に曜日を聞くことにした。
青年「今日って何曜日でしたっけ?」
事務員「水曜日だよ」
青年「え?じゃあ学校はあるはずじゃあ...」
事務員「何も知らないのか君。どっかのお偉いさんの決定で、今学校は長期休暇に入ってるんだよ」
そんな馬鹿な。青年は耳を疑った。
青年「あの、ありがとうございました!」
とにかく、青年は家に向かうことにした。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/08/29(月) 00:29:31.47 ID:d2REVDpJO<> すいませんスレ主です
旅行中で中断してました
帰ったら再開します! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/08/29(月) 21:48:05.72 ID:aiDEBSHeO<> 待ってます <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2016/09/19(月) 22:59:16.44 ID:0fpTtIfU0<> はよ <>