VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2014/09/15(月) 21:02:33.63 ID:6lDm+evV0<>伊奈帆「姉の腕」の続き
伊奈帆 ユキ エロ 近親 書きためなし 



「よお、界塚准尉」

「はい」

彼の声に、朝食の最中だったユキは立ちあがった。隣で食事していた伊奈帆も視線だけをその人物に向ける。
彼――毬戸大尉は相変わらずだらしなくネクタイを緩めて、気だるそうな顔で続けた。

「座って構わんから。今晩、連合本部の奴らと懇親会があるんだが、時間空いてるか?」

「え、そうなんですか? 聞いてませんよ」

「バカ、声がでけえ」

毬戸はユキの口を手で覆った。

「上の連中は知らねえよ。息抜きがてらどうだ」

懇親会。伊奈帆は口の中で呟く。
つまり、口実をつけての飲酒。

「こんな時に何を言って」

「分かってねえな。こんな時だからだよ。21時に迎えにいくから、部屋にいろよ」

小声で言って、彼はそそくさとその場を去って行った。

「もお、勝手なんだから」

彼の少し寄れたシャツを伊奈帆は見つめていた。




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<>伊奈帆「姉の腕」2 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 21:17:49.11 ID:6lDm+evV0<> 「界塚さん、どう? 呑めてる?」

お酒臭い息がユキの顔に吹きかかった。
連合本部の人間は揃いも揃ってお酒に弱い人間が多いのか、開始から30分も経ってないうちに、そこらかしこで寝始める始末だった。

「え、ええ」

かく言うユキもそこまで強い方ではない。
たぶん赤くなっているであろう頬を隠すように、話しかけてきた本部の人間とグラスを交わす。

「それは良かった。俺たちも、実は久しぶりでね。酔いの周りも早いのはそのせいさ。まあ、付き合いも仕事のうちだよ。女性の軍人で、そういうのも分かってくれてるんなら喜ばしい限りさ」

そう言って、彼は強引にユキの隣に座りこんで、体を密着させる。

「ど、どうも」

必要以上にユキの身体に触れつつ、机の上の瓶を開けて、ユキのグラスに注ぎ足した。
こちらが眉根を寄せるのも構わずに、彼はまた『乾杯』の音頭をとった。

(……こういう時って、どうすればいいの……)

それから撮みをとる仕草をしながら、わざとらしくこちらの胸に肘を当ててきた。
向い側に座る毬戸大尉に助けを求める。
彼は、本部の人間としっかりと抱き合って、嗚咽を漏らしていた。
全くこちらの様子に気付く気配もない。

(払いのけた方がいいのかしら……いや、でも心象を悪くするわけにも……。相手は酔っ払いだし) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 21:31:30.54 ID:6lDm+evV0<> 場に慣れていないユキは、対応が分からずなされるがままだ。
相手はこちらが抵抗しないのをいいことに、先ほどよりもぐいぐいと肘を押し付けてくる。

「あ、あの私もお注ぎしますね」

ユキはとっさに机のボトルを掴み、距離をとった。
感触が消え、ほっと息をつく。

「すまないね」

彼は上機嫌でグラスを差し出した。
もし、自分が好意を寄せている等と勘違いされていたら嫌だな、とユキは思う。
そんなことはおくびにも出さず、清楚な笑顔を顔に貼り付けた。

そして、内心で毬戸大尉に思い切り毒づいていた。

「ユキさんは、弟さんがいるんだって?」

呼称がいきなり変わって、ユキはワンテンポ遅れて返事をする。

「は、はい」

「大変だろう、学生さん? 怖がってはいないかい? もし、俺にできることがあれば言ってくれ」

相変わらず、身体を押し付けてくるので、ユキは口の端を少し歪めた。

「そ、そうですね。でも、しっかり者なので……」

彼女はそこで、この間の夜のことを思い出して、鼓動が一瞬早くなった。
やや下を向いて、

「私の方が、その、世話を焼いてもらってます……あはは」

「へえ、頼もしい限りだね。今度、俺にも紹介してくれよ」

少なくともあなたよりはかなり頼りになる、とユキは頭の片隅で思った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 21:42:10.21 ID:6lDm+evV0<> 「おい、准尉、何いちゃついてんだこの野郎ッ」

向いの毬戸が漸くこちらの存在に気が付いた。
遅いです、とユキは若干目を細める。

「毬戸大尉、彼女のような素敵な女性に、俺が手を出せるとでも?」

「素敵だあ?」

毬戸がニヤニヤしながら言った。
が、すぐにユキの視線に気が付いて、顎をぽりぽりと掻く。
どうして男はこうもお酒を飲むと野蛮なのか。

ふと、彼女の脳裏に伊奈帆ののっぺりとしたヒラメ顔が過る。
彼は酔うとどんな感じになるのだろうか。
否、自分は何を考えているのだろう。

ダメダメ。未成年、未成年。

「どうしたぁ、准尉?」

呂律の怪しい大尉がこちらを覗き込む。
顔が近い。

「なんでもないですッ」

大尉の酔っ払いはいつものことだった。ただ、これ程緩み切った彼も珍しい。
よほど胸の内に溜まっていたのかもしれない。
彼が、PTSDに悩んでいることは知っていた。
それから、デューカリオンで一時的にマグバレッジ艦長の元に着いていたことも、詳しくは知らないが荒れの原因だったようだ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 21:55:29.13 ID:6lDm+evV0<> 艦長が女生というのも珍しい。ハードな役職をああも毅然とこなす、艦長は女性の目から見ても惚れ惚れする。
ユキは先日、そんな彼女からデューカリオンを降りる際に耳打ちされたことを思い出す。

内容は、弟のことだった。あれほど、即戦力になる学生はそうはいないとか。
冷静な判断力には舌を巻いたとか。最初、そんな風に彼を褒めちぎっていたので、姉としてはこそばゆかった。
けれど、艦長は最後にこう付け加えた。

『彼に気を付けなさい』

その忠告に、ユキは内心大きく頷いていた。

(まさか……あんなことするなんて)

男として、姉に興味を持ってしまう。艦長が忠告したかったことは何なのかわからない。
ただし、伊奈帆の中の性を目覚めさせてしまったのは他ならない自分なのだ。

二人だけの環境が良くなかったのかもしれない
ユキはこの先の関係に、漠とした不安を隠しきれないでいた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 22:02:56.71 ID:6lDm+evV0<> 「さーて、イチャラブ准尉はお前が送って行けよ」

「毬戸大尉?!」

終始、本部の男性職員に纏わりつかれていたユキは声を上げた。

「ああ、確か君の部屋は……」

毬戸がこちらにウインクする。

(な……違います!)

そう怒鳴り返すことも、酔った頭ではまともにできなかった。
一人でも帰れる所をアピールしようと立ち上がると、足元がふらついて、本部職員に抱きかかえられてしまう。

「あ、す、すいません」

恥ずかしくなって、ユキはよたよたと身体を離す。

「いやいや。送っていくから、安心して」

彼はこちらをチラチラと見ながら <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/15(月) 22:07:11.23 ID:PCd2LYwbO<> 乙です

助けて!イナホマン! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 22:18:32.10 ID:6lDm+evV0<> 彼はこちらをチラチラと見ながら、ユキの身体を抱え直した。
骨ばった太くて逞しい指に、彼女は肩を震わせる。
身体に触れられると、どうしても、伊奈帆のことを思い出してしまう。

忘れたい記憶だというのに。

「おいおい、セクハラすんじゃねえぞ」

「ひどいなあ」

毬戸大尉は笑いながら、彼の肩を叩いていた。

「准尉もまんざらじゃねえってか?」

毬戸のアホ面に、ビール瓶を埋め込んでやりたくなった。

「い、いえ」

ユキは弱弱しくそれだけを述べる。これ以上、勘違いさせないで欲しい。
いや、でもよく考えたらあの子が自分のことを諦める良いチャンスなのでは。
たぶん、彼は私の部屋にいるはずだ。

ユキはわざとらしく、職員にすがりつく。

「ただ、良ければ肩を支えてもらっても構いませんか?」

「喜んで!」

「あらあら、大胆」

毬戸大尉が言った。頬が紅潮していくのがわかった。思わず下を向く。
慣れないことはするものではない。

「弟離れにはいいんじゃねえの」

「え?」

冗談めかして言った毬戸大尉の言葉に、ユキは顔を上げる。
毬戸はすでに背を向けて身支度を始めていた。
気のせいだろうか。
ユキは、自分の中のわだかまりを見透かされたような、そんな後ろめたさを感じていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 22:33:18.08 ID:6lDm+evV0<>
両親が亡くなってからもう随分経つ。
ヘブンズ・フォールによる天変地異が世界を一変させた。
漸く二人だけの暮らしに落ち着いてきた所だった。

泣き続けていたユキに対して、伊奈帆は何を考えているのかわからなかった。彼なりに哀しみに耐えていたのかもしれない。それとも、幼心に姉を守らなければいけないと、秘かに熱い想いを抱いていたのか。

最初の方は、自分が面倒を見ていた。けれど、物覚えの良い弟はしだいに何もかもをこなすようになって。
自分が軍に入ってからも、互いに忙しいという時も、姉の世話を焼く、そんな子だった。

少し無口で不愛想なりにも心配してくれて。
そんな弟を、自分も守らないといけないと、何度も強く思った。

時折、彼の見せる微々たる喜怒哀楽がたまらなく好きだった。
けれど、それはあくまでも家族の中でのことで。
彼の中に渦巻いている感情を受け入れる器が、ユキにあるわけではなかった。


「ユキさん、部屋の前に誰かいますよ」

その声に、はっとする。

「あれが、弟です」

彼女は意を決して、職員の身体に腕を回した。
思わず眉間に皺が寄った。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 22:46:51.36 ID:6lDm+evV0<> まだ、遠すぎて伊奈帆は気づいていない。

「……ユキさん」

「え?」

彼は、伊奈帆が気付く前に、横の通路へ転がるように移動した。
ユキは咄嗟のことで、つんのめる。

「な、なんですか?」

「今夜のこと覚えておいて欲しいんだ」

ユキの動悸が増す。
彼はユキを壁に押し付けて、顎を掴んだ。
その力が思いのほか強くて、彼女は顔を歪めた。
すごく痛い。
押し付けられた背中がぎりりとしなる。

「誰か来たらッ」

抵抗するも、力が上手く入らない。

「大丈夫、この時間はこないさ。それに、あんたも欲しかったんだろ」

言って、彼はユキの頬っぺたをヤモリのように舐めた。
ざらついた舌が気味悪く、背中を這うものがあった

「ひ……ッ」

今にも獣に襲い掛かられるかのような恐怖を感じ、ユキは思わず身を竦めた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 23:09:44.43 ID:6lDm+evV0<> 彼は自分のズボンのチャックに手をかけた。
素早く、自分の勃起したいち物を取り出して、ユキの太ももに打ち付ける。
ユキの全身から、血の気が引いていった。

彼の様子から、理性があまり感じられないのは分かっていたのに。

「や、やめてッ」

弟に感じた時以上の恐怖と嫌悪がユキの心をかき乱した。
大声で助けを呼ぶような判断もできず、彼女は壁伝いにそこから逃れようと身をよじる。
職員が空いた手で、力強く胸を揉んだ。
ただただ、不快だった。痛みを伴っていた。
目じりに涙がたまる。

「ッ……いぁ」

下半身に手がかけられる。両脚がガタガタと震えだした。

「唇、震えてるよ? 初めてかい?」

彼はまるで、自分が紳士的な振る舞いをしているかのように頬を擦る。
これが、普通の男女の営みなのか。
彼の顔が近づいてくる。

「やッ……!?」

バンッ――!

一瞬、壁が振動した。
まるで、壁に鉛玉をぶつけような音に、職員も慌てて周囲を見回した。
それから、廊下にやけに響く甲高い足音。

「だ、誰か来ますッ」

ユキはチャンスとばかりに彼の腕を掻い潜る。

「ユキさんッ」

彼は急いでチャックを引き上げて、彼女の腕を掴もうと腕を伸ばした。
カツン――、足音が止んだ。
それは、ちょうど彼らのすぐ目の前で。

「ユキ姉、そろそろ鎮痛剤飲んだ方がいいよ」

伊奈帆が真顔でそう告げた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 23:19:06.02 ID:6lDm+evV0<> いつの間に、そこにいたのか。
職員の顔はありありとそう書かれている。
ユキも驚いていたが、すぐに伊奈帆の背中に回り、彼の両肩を掴んだ。

「ご、ごめんねなお君。遅いから心配してくれたんだよね」

「まあ、それもあるけれど」

職員とややこしい悶着を起こすのも後々面倒だ。
ユキは気転を利かせつつ、言葉を慎重に選んだ。

「申し訳ありません、せっかく送っていただいたのに。酔いが回ってしまっていたみたいです」

「あ、いえ」

彼も興が冷めたのか、短く言葉を返した。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ」

「弟が失礼しました。それでは、おやすみなさい」

ユキは深く一礼する。
伊奈帆が直立不動だったため、彼の頭も遅れて下げさせた。
そして、内心かなり胸を撫で下ろしてその場を後にした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 23:27:04.22 ID:6lDm+evV0<> 「はあー……」

部屋に戻ると、急に左腕が痛みだした。

「あいったたた」

「お酒を飲んだせいじゃない」

ベッドに寄りかかりユキは安堵の息を漏らす。
いつもの弟の軽口が平和だ。

「って、ちょっとなお君!?」

そして、気が付いて室内を見回すと昼間と打って変わって部屋はすっかり片付いていた。

「ああ、洗濯もしておいたけど」

「おいたけど、じゃないわよッ」

「いつも、家でやっているから、つい」

「ついって」

「ごめん、見てられなくて」

「仕事場ですら、弟に面倒見られてる姉の立場にもなってよぉ……ううッ」

「ごめん、それより、今日は飲む? 塗る?」

先ほどまでの緊張感が嘘のようだった。
ユキは伊奈帆の傍にいることがこんなにも安心するとは思ってもみなかった。
なにより、彼の体に触れることが全く嫌ではないのには自分でも驚いていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 23:35:05.84 ID:6lDm+evV0<> 「塗るッ、飲んでられるかっての!」

「何を言っているの?」

伊奈帆が多少困惑顔を見せる。酔っ払いを見る目。
弟のそんな顔は珍しいのでユキは少し満足した。
安心したら、さっきまでのことが俄然腹立たしく思えてきた。

「飲んでたから混ざると怖いし……」

「じゃあ、アーマチュア外して、腕出して」

「うん……ねえ」

「なに?」

「助けてくれてありがとう」

「……いいよ。大丈夫?」

彼は薬瓶の蓋をきゅぽんと空けた。そして、指で一すくいする。
その顔はいつもの彼のものだったけれど、彼なりに優しい眼差しでユキはちょっとだけ泣けてしまった。


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/15(月) 23:53:58.17 ID:6lDm+evV0<> 服を脱いで、下着だけになろうかという所で、ユキははたと固まった。
また、この間のようなことになるのではないだろうか。
昔友人に、無防備過ぎる、と言われたのを思い出した。

はたと伊奈帆を見ると、興味なさそうにしていた。

(え……拍子抜け)

「どうしたの?」

「あ、いや」

それとも演技なのだろうか。
ユキはこの間、完全に主導権を握られていたことを思い出して、気を引き締め直す。
あんなに迫ってきたのだ。

彼女は肌を極力見せないように制服で隠しながら、腕を突き出した。
伊奈帆は人差し指でむらのないように引き伸ばしていく。
この間のようないやらしさはどこにもない。

(なんだぁ……って)

これではまるで、自分が期待していたみたいではないか。
ユキは首を振った。

「できたよ」

「ありがと、なお君」

「速乾性だから、服はもう着て大丈夫」

「え、うん」

ユキは残念に思う自分を心底殴ってやりたいと思った。
何を考えているのだろう。
弟に何を求めている。

「あ、すごーいッ……痛みが引いてく」

「良かった」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/16(火) 00:07:55.19 ID:CIJ05V1D0<> 伊奈帆が誰にも分からないくらい小さく口元を綻ばせた。
それは、もしかしたら電灯の生み出す陰影がそう見せただけだったのかもしれない。

「ユキ姉、あまり心配させないで」

彼はそう言って、すくっと立ち上がった。
伊奈帆は先ほどの廊下のことを全く口に出さなかった。
彼なりの優しさだったのだ。
馬鹿な姉を気遣ってくれていたのではないのか。

「じゃあ、行くね」

彼はしおらしかった。
ユキは急に寂しさを覚えた。
去っていこうとする彼に、行って欲しくなかった。
そうして、まだ本当は恐怖を感じている自分のことを慰めていて欲しかった。

それらは言葉にはできず、ユキは伊奈帆の体を思わず後ろから抱きしめていた。

「ユキ姉? どうしたの」

怯えて怯んでいるのに気が付いて欲しい。心を抑えきれずに、ユキは自己嫌悪にも苛まれていた。
全てお酒のせいにしてしまえる程、彼女は楽天的にもなれず、抱きしめたまま次の行動に移れない。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/16(火) 00:18:39.90 ID:CIJ05V1D0<> 伊奈帆はユキの腕をゆっくりと解いた。
そして、真っ直ぐに彼女を見つめてくる。
それがジワジワと熱を孕み、ユキの内側を否応なく引き付ける。

「もう、ああいうことはしないで」

伏せられた睫。

「あ……」

それは命令ではなく、彼の望みでもなく、ただ姉のことを気遣う心優しい彼の本音だった。
ユキは自分が昂ぶっているのが分かった。
伊奈帆は右手をユキの頬へ這わす。彼女はくすぐったくて、目を瞑った。

「ごめん」

伊奈帆が謝った。
目を開くと、視界いっぱいに伊奈帆の端正な顔が広がっていた。

「んむッ…」

呼吸が止まる。
すぐに鼻で息を吹き返す。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/16(火) 00:37:09.49 ID:CIJ05V1D0<> 伊奈帆は口内に無理やり舌をねじこむことはしなかった。
ユキの呼吸に合わせる様に、唇を離した。

「ドキドキしてるの……」

ユキは言った。
伊奈帆は驚いていた。
予想外の返事だと言わないばかりに。

「なお君が触れた所が熱いや……えへへ」

「てっきり、嫌われたと思ってた」

「嫌いになって欲しかったの?」

「……いや」

彼は優しくユキの腕に触れた。
彼女は軽く身悶えた。
伊奈帆が触れると、ども身動きする力が抜けてしまう。

「私にどうしてほしいの?」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/16(火) 00:37:44.02 ID:CIJ05V1D0<> 今日はここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/16(火) 00:52:33.40 ID:0DdPIRwvO<> あったよ前スレのURLが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2014/09/16(火) 01:00:22.73 ID:B96ZubGo0<> 乙です。
もうユキねぇがヒロインでいいと思う。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga sage<>2014/09/16(火) 01:10:41.34 ID:CIJ05V1D0<> >>20
HTML申請しちゃって <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2014/09/16(火) 01:35:58.30 ID:o5XaGSqO0<> 乙です
ユキ姉かわええ

続ききになるうううううううううううう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/16(火) 02:51:29.33 ID:C4mS8DVD0<> ふぉぉぉぉおおお!!!
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/16(火) 23:14:32.25 ID:CIJ05V1D0<> ユキは言ったものの、伊奈帆の願いを受け入れるような準備はできていない。
それを見透かしているのか、彼は言葉を選んでいるようだった。
あの夜の野獣が、まるで飼いならされた犬のようで、ユキは落ち着かない。

「欲を言えば、僕よりも一日でも長く生きていて欲しいし、傍にいたい」

さっきまでの酔いがすこんと醒めた。ふわっとした気分が吹き飛ぶ。
まるでプロポーズのような台詞に、ユキは弟をまともに見れなくなる。

「それだけだよ」

弟の顔をもう一度見ると、曇ったガラスのようになっていた。
自分の目に浮かんだ涙だと悟るのに、数秒かかった。

「やだ……なお君のバカッ。答えになってないし……それに」

「……」

「何、おじいちゃんみたいなこと言ってるのよ……だいたい、それ、絶対私が言ったほうがしっくりするし……」

「いや、先に死ぬのは許さないから」

ユキはぎくりとする。

その言葉に感情を感じ取れる人間が、この世の中に何人くらいいるだろうか。
恐らく、私だけではないか。
そう思ってしまうほどに、我が弟の感情の起伏のなさに呆れてしまう。
だからこそ、彼が放つ一言に真実味があり過ぎている。

「怒ることないでしょ……」

「怒ってなんていないよ」

「うそだもん。今、眉毛、ぴくってなった」

「なってないけど」

こうやって解きほぐして、真意を探らないといけないややこしい彼。
彼は焦っていたのだろうか。目の前の現実、戦場に。いつ死ぬかも分からないから。

伊奈穂が小さく息を吐いた。喋りすぎた、とでも言いたげだ。
ユキは漸く弟のことが少し理解できたような気がした。
これが、姉に見せた彼の初めての弱さだった。

ユキは無言で、しかし気恥ずかしさを伴いながらも彼を優しく抱きしめた。



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(SSL)<>saga<>2014/09/16(火) 23:36:57.64 ID:CIJ05V1D0<> 彼を体育座りさせて、後ろから包み込むようにユキは抱きしめていた。
壁にもたれかかり、そうする仕草は、猿の親子のようにも思えた。
黙って言いなりになる伊奈穂が可愛くて、彼女は見ていない間に何回か口元をにやつかせた。

これは姉の特権かも知れない。
時折、彼の耳に息を吹きかけるとびくりとして跳ねた。
けれど、そこを離れることはしなかった。

「大人しいね」

「そうかな」

「だって……」

言いかけて、ユキは口を噤む。
わざわざ思い出すことではない。
もしかしたら、あの夜のことは夢だったのではないか。

「あの夜、僕はユキ姉に酷いことをしたと思う」

彼は、こちらの考えていることを読み取ったのか。

「あ……えっと」

伊奈帆が少し頭を垂れた。

「記憶はあるんだけれど、僕には実感がない」

「それは……どういう」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 00:07:13.64 ID:m6j2R7OT0<> 「確かに、僕はユキ姉の身体に触れて、僕自身が抱いていた欲望を吐き出した。けれど、まるで罪悪感もなければ満足感もない。ユキ姉には言い訳のようにしか聞こえないと思う。本来であれば、僕を罰してくれてもいい所だ」

伊奈帆は彼の前に回していたユキの手を掴む。
冷えた手に、ユキはびくりとした。

「ユキ姉、御託や言い訳しか言えないけれど、僕は僕自身を止められない。だから、次は左腕を使って」

伊奈帆は、ユキの膝頭に手を伸ばした。
振り向くと、互の息が当たる程に近い。

「僕に気をつけて」

彼は言って、ユキの唇を強く吸い立てた。
あまりに強く、ユキはそれをもぐことができずに、驚きに任せて彼の胸板を軽く叩いた。
そして、気が付くと薄いストッキングがくるくるとまき取られて、ひざ下までずり下がっていた。

「や、やめッ……なお君!?」

伊奈帆は、ユキの履いているスカートの下から手探りで、パンティを掴んだ。
掴まれたユキは、スカートの上から彼の手を押さえつける。

「いきなりッ、こんなの……ダメよッ!」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 00:29:07.47 ID:m6j2R7OT0<> 下着に気を取られている間に、伊奈帆はスカートのホックを外し終えていた。
眩い下腹部があらわになる。
ユキはスカートを奪われまいとして抵抗しているうちに、パンティをするりと剥ぎ取られた。

片手に持ったパンティを興味ありげに、彼は嗅ぐ。
羞恥でユキは吠えた。

「止めてッ、そんなことしないでッ!」

「触るよ、ユキ姉」

全く動じずに、彼はスカートをずり下ろして、むしり取った
下半身に何も身につけていない状態にさせられたユキは、シャツを思いっきり引張って青々と茂るそこを隠そうとする。そして、時折鼻に漂う女の匂いに眉根を寄せる。

伊奈帆の指が、ユキの太ももを掠めた。
それだけで、彼女は敏感過ぎるほどに、消え入るような声を上げた。

「なお君ッ、乱暴は止めてッ、お願い!」

口ではそう言うものの、ユキは拒むに拒めない。
ユキの脳裏に、心優しい弟と自分を猛り来るって求める弟とが交錯する。
どの道、彼が自分を愛しているという事実だけが、残される。

ユキもまた寂しさを埋めたかった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 00:55:59.86 ID:m6j2R7OT0<> 「大きな声は出さないで。他の部屋の人間に気づかれる」

耳を舐めながら、伊奈帆が言った。
彼が耳元で囁くと、力が抜けてしまう。

伊奈帆はユキの膨らんだ陰唇をつまみ上げて、ヒクヒクと蠢く膣口に指を挿入した。
ユキは弟の指が、ずっぽりと自分の中を突き進んでいくのが分かった。

「ま、待ってそれ以上はッ……ッんあくぅ!?」

「もう感じてるの?」

そんなはずがない。

「ユキ姉は、感度いいよね」

「違うの……ッ。そんなつもり……ッ」

彼は、ユキのクリトリスを指で弾き、押しつぶす。

「ひッ……グッ」

「やっぱり、こうやって無理やりされるの好きなの?」

下腹部全体が熱くなって、その言葉を否定したいのに上手く言葉が出ない。
実の弟に、淫乱扱いされて彼女は少なからずショックを受けた。
伊奈帆はユキの股間から指を抜き取った。

「はッ……う」

彼はそれを今度は自分の口へと運ぶ。蜂蜜でも舐めるかのように、彼は舌を出した。

「や、そんなの舐めないで!?」

その仕草が妙に色っぽい。
そして、あまりにも耐え難い恥ずかしさが波のように押し上げて。彼女は髪を振りしだく。
伊奈帆は全て舐めとった後、もう一度姉の股間に刺激を与えようとして、指を下腹に這わせたその時だった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 01:08:42.60 ID:m6j2R7OT0<> ベッドの枕の下から、くぐもったバイブ音。
ユキの携帯だった。

「……」

伊奈帆は彼女よりも先に、携帯のディスプレイを覗き込む。

「鞠戸大尉……」

「えッ」

「ユキ姉、出なよ」

「ッ……あンぅ?!」

彼の指の形が分かるくらいに、引き締まった膣が再稼働させられていた。
ユキからは見えないものの、弟がぐじゅぐじゅにそこをかき乱し始めたので、咄嗟に返事ができなかった。
その間にも、携帯のバイブレーションは止まらない。

ユキは下腹の刺激に、無意識に腰を振っていた。
伊奈帆が、携帯の通話ボタンを押した。

(そんな……今ッ、出れるわけッがぁ……はぁんッ)

ひどく濡れた膣に脳が弾け飛びそうになりなる。
ユキは首を振ったが、伊奈帆は、

「鞠戸大尉? 伊奈帆です。ユキ姉と代わります」

「む、むりッ……なお君ッ」

「待たせてるから、出て」

彼の言葉少ないながらの圧力に、ユキは弱かった。
彼女は腰を震えさせて、必死の思いで携帯を受け取った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 01:11:13.36 ID:m6j2R7OT0<> 今日はここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/17(水) 01:37:22.71 ID:23aPRZ/B0<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/17(水) 01:50:00.86 ID:llRS1/vd0<> 乙です! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 22:34:19.81 ID:m6j2R7OT0<> 先ほどの酔いが覚めてないことを祈りつつ、嫌々ながらユキは携帯を右手で受け取った。

「ま、鞠戸大尉? どうされましたか……?」

『いや、さっきの件でさ、冷静になってみたら焚きつけて悪かったなって』

「あ……そんな、構いません。こちらこそ……気を遣って頂き恐縮です……ッあン」

彼女は携帯を握りつぶしそうになる。
顔を歪めて、奥歯を噛み締めた。

『おい、どうしたッ……? まさか、傷が痛むのか』

「な、なんでもありません」

伊奈帆が、その間にも陰核を潰しながら指をかき混ぜる。
快感の波が押し寄せてきた。

「ッあ……それ、だめッ……そこ混ぜちゃだめぇ!」

淫らな音が、室内に木霊した。
鞠戸大尉に聞こえてしまうのではと、ユキは気がおかしくなりそうだった。

『掃除でもしてるのか?』

「そ……そうなんです……ッ……書類整理を……なお君に少し、手伝って……もらって……」

『おいおい、夜中にしなくても……。疲れてるんだろ? 少し、休め』

「ありがとう……ございます。もう、すぐ寝ますので……だから、鞠戸大尉も、もう、心配なさらずに……先にッ……お休みにッ……」

伊奈帆の腕が胸に伸びてきて、乳首を優しくこねくられた。
上と下からの刺激に、ユキは満足に言葉を紡げない。
弟を睨みつける。無表情の彼の視線が、電気を当てたように下腹部を刺激する。
ユキは涙が出た。

(もお……むりッ……いッ……ッ)

携帯を持っていられない。
股関節から膝までの筋肉が痙攣したかのように脈打ち続けている。

『ああ、でも悪かったな……最近、元気ないからよ』

「ごめんなさいッ……鞠戸大尉ッ……ありがとうございますッ! ……ごめんなさいッ! 切りますねッ!」

下半身が耐え切れなくなった。
左手ならば確実に携帯を握り潰していたに違いない。
みしりと音が鳴る。

(きちゃう……くるッ……抜いてッ……なお君ッ……イッ……)

『あ? ああ、おやすみ』

ユキは大尉が切ったのを確認するより前に、ボタンを押して部屋の隅へと放り投げた。
伊奈帆が壊れんばかりに、激しくピストンを繰り返す。
そして、男の起立をそそる甲高い声を発しながら、背中をぐっと反らせた。

「あッ……ンアァァアッ――――!」

目の前で光りが弾けた。
呼吸が一瞬止まる。
伊奈帆の指を食いちぎらんばかりに、膣道の締めつけが続いた。

「んッ……はアッ……!」

伊奈帆の身体にどさりと全体重を預け、ユキは視界が反転していくのをぼんやりと感じた。

「ユキ姉?」

弟の声。
それに答えるのも気だるく、ユキは瞼を閉じた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 22:43:08.41 ID:m6j2R7OT0<> とりあえず、いったん2は終わり。
次から3にします。

少し休憩します。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 23:36:15.38 ID:m6j2R7OT0<> 伊奈帆「姉の腕」3



「伊奈帆さん、落とされましたよ」

「どうも」

麗しい容姿と独特の雰囲気で周囲を圧倒する、火星の姫。
ポケットにしまっていた鎮痛剤を拾ったのは、アセイラム姫だった。
伊奈帆は一礼して、それを受け取った。

「お姉さんにですか? お優しいのですね」

柔和な表情を浮かべる。
その彼女の横からは、刺のような視線を従者が送っていた。
彼はそれに気づきつつ、知らぬふりをする。

「いえ。では」

踵を返すと、アセイラム姫に呼び止められた。

「あの」

「なんですか?」

「良ければ、あなた方ご姉弟と、お話をさせて頂きたいのですが」

「姫様ッ!?」

小柄で、人形のような少女が飛び跳ねる。
従者――エデルリッゾはずいとアセイラム姫と伊奈帆の前に躍り出た。

「いけませんッ!」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 23:46:54.90 ID:m6j2R7OT0<> 「話、ですか?」

「ええ、これといって特別なことではなくて、こちらの生活についてご教授頂きたいと思っていたので。何分、不慣れな点が多々あり、お恥ずかしながら皆さんへご迷惑をおかけしてしまうことも少なくありませんから」

火星との生活習慣の違いに、むしろよく耐えた方だと伊奈帆は思った。

「そういうことであれば、姉に聞くのが望ましいかと。僕は、男ですし」

「伊奈帆さんのお話もぜひ聞いてみたいのです」

従者が地団駄を踏んだ。
アセイラム姫もそれには苦笑する。

「許して、エデルリッゾ。心配してくれてありがとう」

「今、姉は部屋にいませんので、また夜にご案内します。食堂の前でお待ちください。迎えに行きますから」

「本当ですかッ」

姫は目を輝かせる。
時折、彼女は年相応の幼さを見せた。

「ええ」

今にも暴れだしそうな従者を優しく抱きながら、アセイラム姫は嬉しそうに微笑んでいた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/09/17(水) 23:49:14.74 ID:m6j2R7OT0<> 今日はここまでです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/18(木) 00:42:00.33 ID:OKMYy8Bk0<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/18(木) 02:04:59.21 ID:tjpafw+po<> こわくないこわくないこわくない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/09/21(日) 23:22:09.48 ID:7a0m8gM3O<> 最終回見た

スレイン絶対許さねぇ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>sage<>2014/09/22(月) 04:14:08.20 ID:H3WyMMzA0<> イナホ生きてて欲しい・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>sage<>2014/09/22(月) 06:48:00.78 ID:9J8upbD40<> アセイラム姫も伊奈帆も完全に死んだって描写ないからなー
てかインコとライエも伊奈帆にもう少し絡んで欲しいなーそんなSSないかなー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga sage<>2014/09/22(月) 23:41:51.13 ID:gxrHiipq0<> 1です

お姉ちゃん死んで、伊奈帆がヤンデレ化すると思ってました
インコとライエとアセイラム姫とお姉ちゃんが仲良くショッピングに行く話誰かお願いします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/02(木) 22:38:52.09 ID:C+xK9B9g0<> 夜になり、伊奈帆は時計を見て、姉に部屋で待つように告げてアセイラム姫を迎えに行った。

「アセイラム姫」

食堂の入口横に佇む少女にそう声をかけた。
彼女が振り返ってこちらへ駆け寄ってくる。

「お待ちしておりました」

「ご案内します」

従者はいなようだった。
あの小さな少女の小言が増えることは間違いない。
それを気にする素振りを全く見せず、アセイラム姫は伊奈帆の後に続く。

「姉は先に部屋で待っています」

「お疲れの所、お集まり頂いて恐縮です」

「いいえ。姉もあなたと話がしたいと言っていましたよ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/10/04(土) 08:28:59.02 ID:HGi34C4b0<> 続きが気になる
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/04(土) 23:58:12.13 ID:FRoJXD3P0<> 「そうですか……。嬉しいです」

アセイラム姫がほっと息を漏らす。緊張していたのだろうか。
実際、彼女は敵の真っ只中にいるため、そうであっても無理はなかった。

部屋に入ると、伊奈帆とゆきに対して、信頼と敬意を表すように一礼した。

「そ、そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ……? お忍びというか、プライベートというかそんな感じですし」

くつろいでいたユキが慌てて立ち上がる。

「いえ、せっかく習うのですから」

「どうぞ、適当に座ってください」

「はい」

「なお君、お菓子どこやったの?」

「棚の一番下に入れたよ」

「あの、お二人共同じ部屋なのですか」

二人のやり取りを見て、アセイラム姫がぽつりと漏らす。

「は? あ、い、いえ違いますよ」

ユキは大きく首を振った。
伊奈帆は姉を一瞥して、アセイラム姫に言った。

「姉は片付けが下手で、僕はいつも代わりにしていたんです」

「なお君! そういうことバらさないでよッ」

「本当のことを言っただけだけど」

「姉の印象を落とす気……?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 00:21:12.41 ID:t4gX8QUH0<> 薄い絹の擦れるような笑い声。

「アセイラム姫笑わないでください……」

ユキは項垂れる。

「ああッ……ごめんなさい。笑うつもりはなかったのですが」

言いながら、彼女は口元を押さえた。
年相応の柔らかな表情を見て、ユキもまた安堵しているように伊奈帆には見えた。

「ユキ姉とアセイラム姫は座ってて」

伊奈帆はお茶と、お菓子を無駄なく準備し始める。

「ってことなので、改めてアセイラム姫、今日は夜分にお越しいただきありがとございます」

「私が押しかけた形ですから、お気になさらずに」

「お姫様は、けっこうお転婆ですよね」

「よく、言われます」

「あの、小さな子にですか?」

「ええ」

「そうなんですか……くすくす」

ユキが嫌味なく笑うので、アセイラム姫も釣られて微笑む。

「どこへ行くにも彼女が一緒でした。地球に来てからも面倒ばかりかけてしまいました」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 00:23:42.23 ID:t4gX8QUH0<> 眠いのでここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 14:25:57.06 ID:t4gX8QUH0<> 「そうですか……私も、なお君にだいたい助けてもらってばかりだから、同じですね」

視線を落としかけた少女は、ぱっと顔を上げる。

「ええッ。伊奈帆さんには助けて頂いてばかりで、とても親切にしてもらっています。先の戦闘でも、彼がいなければどうなっていたか」

アセイラム姫は伊奈帆を見た。

「私、こんな風に同年代の異性と接触する機会がなかったものですから……それも地球の方だと一人くらいしかいなくて。だから、こうやっていることがすごく不思議。でも、不思議と心地よいのです」

「そう言って下さると、姉としては鼻が高いです。でも、ああやって無茶ばかりするので、たまには叱ってあげてくださいね」

「ふふ……わかりました。ねえ、伊奈帆さん?」

「なに?」

振り向きながら、ティーカップを揺らさないよう静かにお盆を持ち上げ、ゆっくりと移動する。
伊奈帆は少女にカップを手渡す。

「熱いのでお気をつけて」

「ありがとうございます」

「僕が助けたのは、状況的にその選択が最良だと感じたからです。無茶をしたつもりはありませんよ」

「この子はまた……」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 14:39:04.60 ID:t4gX8QUH0<> ユキは伊奈帆を諭そうと口を開く。が、

「いえ、本当にありがとうございました。実は、地球のことを教えて欲しいというのは口実でして、一度改めてお二人にお礼をしなければと……」

そう言って、彼女は深々と頭を下げた。
ユキはお茶を溢しそうになる。

「もし、あなた方と出会わず地球の他の兵士の方と会ってしまっていたら……なんてことを考えておりました。もしかすると、このような待遇を受けられなかったかもしれないのです。極端な話し、もう死んでいたのではとさえ思います」

「そんな、大げさな」

「そうですね。しかし、一度・二度は死んだ身と考えております。それを思うと、やはり感謝せずにはいられないのです。あなた方が、私という人間を助けてくださったことに」

少女の目にはうっすらと涙さえ浮かんでいた。
そして、伊奈帆の手を握って、

「ありがとう」

震える声で微笑んだ。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 14:53:57.20 ID:t4gX8QUH0<> 「アセイラム姫……」

伊奈帆は黙って、その手を小さく握り返す。

「だから、お礼をさせて欲しいのです」

「え、いいですって、そんな恐れ多いこと……ねえ、なお君?」

「まあ、こちらが勝手にやったことですし」

「今は身分のことはお忘れください、それに今や肩書きなど飾りに過ぎません。私は一介の少女」

「アセイラム姫……」

「界塚少尉、姫ではありません……セラムと呼んでください」

ユキが困ったように、苦笑いする。

「セラムさん」

伊奈帆は特に気にした風もない。

「ちょ、ちょっとなお君」

「いいんじゃない、本人がそうしてと言ってるんだから」

「柔軟過ぎるわよ……」

不敬な弟に、ユキはため息を吐く。

「あの、界塚少尉……不服でしたら」

「いーえ、とんでもないですよ……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 15:13:21.75 ID:t4gX8QUH0<> 「そうですか、では……」

最後まで言い切らず、セラムは着ていた上着を脱ぎ始める。

「……あ、あのセラムさん」

「なんですか、界塚少尉」

「どうして脱ぐんですか」

ユキが伊奈帆の方にぎこちなく視線を送る。
伊奈帆も、多少驚いていた。

「お礼をさせて頂きたくて」

と、伊奈帆が口を開く。

「ちなみに、何をするんですか?」

「御奉仕ですが」

「奉仕?」

ユキはますます頭上に疑問符を浮かべていた。

「セラムさん、もう少し具体的に」

「えっと、お二人の心身を癒そうと思いまして。少しでも気持ちよくなって頂けるように、頑張りますね」

姉弟は顔を見合わせた。
少女は一体、何を。

「お二人は、じっとしておいてくださいね。火星では、これが主流なんですが、地球はまた違ったお礼の仕方があるのですか?」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 15:26:05.36 ID:t4gX8QUH0<> 多少恥じらいを残しつつ、セラムは上半身一糸纏わぬ姿となっていた。
伊奈帆は以前に見たシャワールームでの彼女の裸体を思い出していた。
と、いきなり視界が真っ暗になる。

「な、なお君は見ちゃダメ!」

「ユキ姉、でもどうするの」

「ど、どうするって」

セラムからすれば、これが普通なのだろう。
姉の動揺する様子は、少し笑えた。
伊奈帆は姉以外に興味はない。

「あ、あの……やはりご迷惑だったのでしょうか」

ユキは伊奈帆を反対側へ向かせる。

「あ、違うのよ。価値観の相違というか……ちょ、ちょっと待ってもらっていいですか?」

「?」

ユキは伊奈帆に耳打ちする。

「な、なお君……ど、どうしよう」

「どうするのって、聞いたじゃない」

「分からないよぉ……」

「臨機応変に対応して」

「うわーん……ッ」

「されてみないと、実際何をどうするのか不明だよ。僕がまず受けてみるからだめそうなら止めて」

伊奈帆は振り向く。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 15:38:49.53 ID:t4gX8QUH0<> 「え、ちょッ……あ」

「セラムさん、僕からお願いします」

「はい、喜んで」

セラムは胸を隠していた両腕を離す。容姿の割に、盛り上がった乳房だった。
西洋人に近いのか、捲れたスカートから覗く長い手足や、むっちりとした太ももが彼女の女性を演出していた。

「とても綺麗ですね」

お世辞ではなく、伊奈帆は心からそう思った。
ユキが隣で息を飲む音が聞こえた。

「ありがとう。では、失礼いたします」

セラムは慣れた手つきで、伊奈帆の下半身に手を伸ばして、チャックを一気に引き下げる。

「ま、待って、それは」

ユキが止めるまもなく、伊奈帆のぐてりと頭を垂れた男根を少女は口に含んだ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 16:41:44.08 ID:t4gX8QUH0<> ここまで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/10/05(日) 18:06:32.41 ID:IXWSnrp/O<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 21:35:03.13 ID:t4gX8QUH0<> かに思えたが、ユキが伊奈帆の身体を両手で押し倒した。

「……」

少年は声も上げずに沈黙する。

「か、界塚少尉?」

セラムは何事かと目を丸くしている。

「はッ、ご、ごめんなさい」

伊奈帆は首だけを上げる。

「ユキ姉、痛い」

「ごめんねッ、なお君、つい……セラムさん」

「は、はい」

ぎこちなく、セラムの身体に上着を被せる。
ユキの方を見上げながら少女は肩をびくつかせる。

「その、なんて言ったらいいのか……地球ではそういうことは愛し合ってる者同士で行う……風潮……?……がありまして」

「あ、そうなのですか……」

少女は意を得たと頷く。

「あなた方は愛し合っているのですね」

そして、慈愛に満ちた視線を彼らへ交互に送った。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 21:42:04.80 ID:t4gX8QUH0<> 「ち、違います違います! 私たちは別にそういうのでは」

「そうです」

「なお君?!」

必死に首を振るユキに横で、伊奈帆は簡潔に伝えた。

「それは、申し訳ないことをしてしまいました」

「ちょ、違うんですって」

「ユキ姉、ちょっとうるさい」

「仲の良い兄妹がいなかったもので、羨ましいです」

セラムは上着を着始める。

「では、また別の形でお礼をさせて頂きますね」

嫌な顔一つ見せず、彼女はそう言って部屋を後にした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 21:54:30.62 ID:t4gX8QUH0<> セラムが去ってから、ユキはこめかみを抑えて、肺から絞り出すようなため息を吐いた。

「どうするのよ……変な誤解されちゃったじゃない」

「どうして? 何か間違ったことを言った?」

伊奈帆はきょとんと姉を見た。
彼女は弟の真っ直ぐすぎる視線に思わず赤面する。
彼の顔を曇らせなくて、ユキはとっさに、

「言ってない…けど、言ってない……とかそういうことではなくて」

「じゃあ、いいじゃない。セラムさんは人に話したりしない。まあ、できないと思うけど」

「なお君……私、これ以上引き返せない所に行く前に、はっきりさせとかないといけないと思うの」

「何を?」

「私たちの関係に決まってるでしょ」

ユキは向き直って伊奈帆の両肩に手を置いた。
ふと、下を見ると彼の怒張が目に入る。

「……ひゃっ?!」

彼女はそれを見て力が抜けたように軽い尻餅をつく。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 22:10:29.53 ID:t4gX8QUH0<> ユキははっとしてすぐに顔を背けた。

「な、なんでそうなっちゃうの……っ……もうっ……もう!」

「今さっき、ユキ姉が、間違っていないって言ってくれた時に。嬉しかったのかもね」

「ばかっばかっ! 恥ずかしいから、しまってよ!」

「僕らの関係をはっきりさせるんじゃないの?」

「そんなもの出さなくてもいいでしょ!?」

恥ずかしげもなく勃起させたそれを、ユキは指差す。

「初めて見るわけでもないのに。セラムさんの方が、よっぽど大人だね」

「火星とは違うんだからっ……」

「ねえ、なぜセラムさんの行動を止めたの? まず、それを説明して欲しい」

「それは……」

「分からないの?」

「わ、分かるわよ……分かってるけど……」

「ユキ姉、僕は何度か忠告したはずだよ」

ユキは手のひらがじんわりと汗ばんでくるのを感じていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 22:21:19.68 ID:t4gX8QUH0<> 「おかしいなら、おかしいと言ってくれないと」

伊奈帆の指が、ユキの頬を撫でる。

「っ……」

息が漏れる。

「僕はいつか、その綺麗な身体を汚してしまうんじゃないかな」

緩慢な動作で伊奈帆は顔を近づけて、ユキの首筋に鼻頭を押し付ける。

「か、嗅がないでよっ……」

刺激に耐えるように、ユキは目を細めた。
犬のようだ。

「止めてみなよ」

その言葉は、ユキの気持ちを掻き乱す。
ささくれ立つように、下腹部の肉がざわつく。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 22:40:23.27 ID:t4gX8QUH0<> 伊奈帆は服の上から、乳房にむしゃぶりついた。

「やだっ……やっ!?」

ユキの両腕を、床に押し付ける。
天井を背にする伊奈帆を見ると、息が荒い。
興奮していた。
この間の夜のように、また頭が真っ白になるようなことをされるのか。
獣のように吠えさせられて、淫らに身体を揺さぶられるあの夜のような。

「怯えているのも可愛い」

「そ、そんなこと……」

頬がかっと火照る。

「そういう反応が僕の興奮を掻き立てていることに気がついた方がいいよ」

言い終わるが早いか、ユキの唇の先に自分の唇をすり当てる。
ちろちろと舐めて、舌先で歯列をなぞった。

「んっはぁ……」

呼吸を忘れたように貪られて、どちらともつかない涎が、ユキの顎を滴り落ちた。
ユキの滑らかな太ももをぱっくりと「ハ」の字にしつつ、彼の指が熱気を放つ女性器をこする。
絶頂への階段を登り始め、ユキははたと弟の手を掴んだ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 22:56:21.88 ID:t4gX8QUH0<> 左手だった。
伊奈帆は、ぴたりと動きを止める。

「なに?」

その質問に、ユキは返答を言いあぐねる。
このまま快楽に従っていいのか。
薄々、自分が敏感で快感に弱いのはわかっていた。

だから、今度こそ流されれば最後まで行き着いてしまう。
自らの変化にユキは漸く気づく。
弟に弄られるのが、好きになってきてしまっている。
彼から与えられる気持ちよさにいつかきっと溺れてしまう。

だから、

「や、やっぱりだめ……ごめんね、ごめんね、なお君」

下半身にとろりと蜜が溢れた。
彼女は太ももを擦り合わせる。

「……」

彼女は伊奈帆の状態を見て、自分が酷なことを言っているのは分かっていた。
一度も経験のない自分からしても、彼のいきり勃つモノが、納る場所を求めているのが分かった。
ユキもまたキュウキュウと締め付ける自身の昂ぶりを感じていた。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 23:01:59.16 ID:t4gX8QUH0<> 彼は身体を離して、無言で勃起した男根を収めた。
そして、耐えるように息を吐き、呼吸を整える。

「抱きしめたい」

と、ぽつりと言った。

「うん……いいよ」

ユキは目を瞑った。
鼻の奥がつんと痛む。

「ありがとう」

これが彼の初恋だったのだろうか。
ユキは怖くて聞けなかった。

彼は時間を忘れたように、いつまでもいつまでもユキを抱きしめ続けていた。







終わり <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)<>saga<>2014/10/05(日) 23:12:29.65 ID:t4gX8QUH0<> 読んでくれてありがとう。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/10/05(日) 23:37:46.03 ID:az4ih+qp0<> ユキ姉かわいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/10/06(月) 00:16:13.94 ID:8BSrQ1gfo<> この設定で最終回後のユキ姉お願いします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/10/06(月) 13:57:42.33 ID:wi4l6kXKO<> 乙 <>