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HTML化した人:lain.
雨と姉妹
1 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:10:52.72 ID:MKmTEbcy0
百合SSです。
よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371478246
2 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:13:42.84 ID:MKmTEbcy0
学校が終わると雨が降っていた。朝は晴れてたのに。

「あーあ…服濡れちゃうなぁ…」

鞄の中に折り畳み傘が入ってるなんてことはなくて、暑いから汗を拭こうと思って持ってきたタオルを頭にかぶせて
走って駅まで向かう。

傘を持ってきていた子たちは私が走って追い抜かして行くのを迷惑そうにしていたと思う。
まぁそんなこと気にしてられないけど。

駅に着いて、とりあえず頭を拭いて電車を待つ。肩を少し通り過ぎるまで伸ばした茶髪が顔に張り付いて少し気持ち悪い。

ほんの少し待つと、電車がやってきた。



いつもは涼しくて心地いいけど、今は電車の中の冷房が憎い。

タオルをショールみたいに肩にかけてたけど、冷房で冷たくなってもっと冷えてる気がする。



地元の駅に着いた。こっちも雨が降ってて、帰るのが辛い…

「あれ?妹ちゃんどうしたの?」

後ろから声をかけられる

妹「え?お姉ちゃん?」
3 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:16:07.44 ID:MKmTEbcy0
違う高校に通う姉がいた。ほんとは同じ学校が良かったけど、お姉ちゃんの頭が良すぎて私には無理だった。

姉「あーあ…こんなにびちゃびちゃになって…ちょっと待ってね。」

お姉ちゃんのタオルで頭と服を拭いてくれた

妹「ありがと…」

姉「もう…天気予報はちゃんと見ないとだめだよ?」

妹「見たけどまぁ大丈夫かなって、朝は綺麗に晴れてたし」

姉「それで大丈夫じゃないからそうなってるんでしょ?」

妹「まぁ…それはそうだけど…」

姉「ほら、帰るんでしょ?傘一緒に入ろ?」

妹「うん…ヘクシッ」

姉「くしゃみなんてして…おうち着いたらシャワー浴びないとね」

妹「うぅ…」

姉「ほら、行くよ?」

妹「…うんっ」

姉の隣を歩いて帰る。いつもは違う時間に帰ってくるから並んで帰ることなんてほとんどない。
傘に入るために近くを歩いてはいるけど、姉の服まで濡れたらいけないから密着はしないようにしてる。
4 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:17:48.04 ID:MKmTEbcy0
姉「こら、ちゃんと入らないとだめでしょ?」

妹「わっ」

気づかれて近づかれた。姉の匂いと雨の匂いがする。

妹「お姉ちゃんの服濡れちゃうよ?」

姉「いいの。ちゃんと入らないと風邪引いちゃうでしょ?」

妹「もうだいぶ濡れてるからそこまで変わらないと思うけど…」

姉「だいぶ濡れたから傘に入って帰ってるの。ほんとに風邪引いちゃうからね」

姉は昔から私に甘い。今だって私の方にちょっと傾けてるから姉の肩に雨がかかっていると思う。

妹「もっとお姉ちゃんの方にしないとお姉ちゃんが濡れちゃうじゃない」

姉「大丈夫、濡れてないよ」

妹「嘘ばっかり」

姉「嘘ついてないもん」

妹「…ていっ」

あんまり強情だから、姉の腕に抱きついてやった

妹「これでお姉ちゃんも傘に入れるでしょ?」
5 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:19:25.75 ID:MKmTEbcy0
姉「…はぁ…そうだね」

妹「ほら、やっぱりちょっと入ってなかったんだ」

姉「妹ちゃんに風邪引いてほしくないからねえ」

妹「…そんなことじゃ誤魔化されないもん」

姉「ほんとの事なんだけどなー」

妹「はいはい…ありがと…」

やっぱり甘い。そんなだから、勘違いしてしまう。

姉「あぁ、そのピアスまだ開いてたんだ。痛くないの?」

妹「全然痛くないよ?これ、かわいいでしょ」

姉「確かにかわいいけど…妹ちゃんがずっとケガしてるみたいで…」

妹「ケガなんかじゃないよ?」

少し引っ張って見せる

姉「わ…そんなことしちゃダメ」

妹「はいはい…ごめんね」

姉がちょっと怒ってるみたい。あんまりしたらほんとに怒られるかも。
6 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:21:18.09 ID:MKmTEbcy0
…ねえ、お姉ちゃん。この小さいハートのピアス、昔二人で遊びに行った時にお姉ちゃんがかわいいって言ってた奴なんだよ?
その時に実は買ってて、最近付けてるの。お姉ちゃんがかわいいって言ってくれるかもしれないから。
茶髪だってそう。お姉ちゃんがこの髪の色綺麗だなって言ってたからその色探して染めてみた。
学校の友達から不良だってからかわれたけどお姉ちゃんが好きな色なんだからいいじゃない。

妹「ねえお姉ちゃん、私かわいくなった?」

姉「え?いつと比べて?」

妹「いつでもいいよ。かわいくなってるかな?」

姉「そうだねえ…うん、かわいくなってると思うなぁ」

妹「そっか…ありがと」

姉「でもびちゃびちゃになったらかわいいとは言えないし、今度から傘くらい持ってくんだよ?」

妹「…はーい」

一言多い。せっかくかわいいって言ってくれたのにちょっと拗ねてしまう
7 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:24:15.84 ID:MKmTEbcy0
姉「あぁ、髪の毛くくった方がいいかな?ちょっと待ってね…はい、できた。」

姉は鞄からヘアゴムを取り出して後ろで結んでくれた。顔に張り付いてた髪がなくなって少しすっきりした。

姉「あ、この方がかわいいかも。髪結んでるの似合うね」

妹「ん…ありがとっ」

思わずにやける。ばれないように、ちょっとうつむいた。

姉「今度の休みに折り畳み傘買いにいこっか。そしたら濡れないでしょ?」

妹「うんっ」

こうやって2人で1つの傘に入る機会が減るのは捨てがたいけど、姉との思い出が増えるのは良いことだ。

だから、買い物でもなんでも行くよ。

この雨は降り続いているけど、ずっとこうしていたいから降っててもいいの。


妹編 おわり
8 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:26:42.61 ID:MKmTEbcy0
姉編

教室から外を見ると雨が降ってる。

傘持ってきてるからいいけど、朝ばたばたと出て行った妹は持って行っていないんじゃないかな。

「仕方ない、待っててあげよ」

学校が妹より家に近いからちょっとだけ早く駅に着く。

少し待てば妹も駅に来るはず。学校から駅までに雨に濡れて無ければいいけど…

テクテクと歩いて駅に向かう。

隣を学校の男子が傘もささずにパタパタと走って行って、傘に付けた小さいハートのアクセサリーが揺れる。

妹もそんなことになってるかもしれないなと思うと、少し急ぎ足になってしまう。

早く着いても妹はすぐやってくるわけじゃないのに。



地元の駅に着いた。

広告の貼ってある柱によりかかって妹が出てくるはずの改札口をぼーっと眺める。

少し蒸し暑くなってきたから制服のシャツの襟元をつまんでパタパタと空気を送ると、
シャツで隠した小さいハートのネックレスがしゃらしゃらと微かに音を立てた。

この小さいハートは妹のピアスと同じデザインのもの。

ピアスのまま付けたら妹にばれちゃうから、ネックレスと傘のアクセサリーにしてみた。

見つけるのが大変だったけどお揃いみたいで気に入っている。
9 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:28:28.38 ID:MKmTEbcy0
あ、妹が改札から出てきた。

姉「あれ?妹ちゃんどうしたの?」

不自然にならないように、後ろから声をかける

妹「え?お姉ちゃん?」

振り向いた妹は雨に打たれた後のようで茶髪が濡れて顔に張り付いていた

姉「あーあ…こんなにびちゃびちゃになって…ちょっと待ってね。」

鞄からタオルを出して拭いてあげる

妹「ありがと…」

姉「もう…天気予報はちゃんと見ないとだめだよ?」

妹「見たけどまぁ大丈夫かなって、朝は綺麗に晴れてたし」

姉「それで大丈夫じゃないからそうなってるんでしょ?」

妹「まぁ…それはそうだけど…」

今度からちゃんと持ち物チェックしてあげないとだめかもしれない。

姉「ほら、帰るんでしょ?傘一緒に入ろ?」

妹「うん…ヘクシッ」

姉「くしゃみなんてして…おうち着いたらシャワー浴びないとね」

妹「うぅ…」

姉「ほら、行くよ?」

妹「…うんっ」

妹と一緒に帰ることなんてまずない。

たまにどうしても一緒に帰りたくなって今日みたいに待ってるけど、偶然だと思ってるんじゃないかな。
10 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:30:10.97 ID:MKmTEbcy0
あれ?この子少し遠くを歩いて服が当たらないようにしてる気がする…ちゃんと入るようにしてあげないと。

姉「こら、ちゃんと入らないとだめでしょ?」

妹「わっ」

妹「お姉ちゃんの服濡れちゃうよ?」

姉「いいの。ちゃんと入らないと風邪引いちゃうでしょ?」

妹「もうだいぶ濡れてるからそこまで変わらないと思うけど…」

姉「だいぶ濡れたから傘に入って帰ってるの。ほんとに風邪引いちゃうからね」

妹「もっとお姉ちゃんの方にしないとお姉ちゃんが濡れちゃうじゃない」

そんな事、気にしなくていいのに。妹が濡れる方が私にとっては問題。

姉「大丈夫、濡れてないよ」

妹「嘘ばっかり」

姉「嘘ついてないもん」

妹「…ていっ」

妹が腕に抱きついてきた。しっかり密着して、妹の匂いと雨の匂いがする。

妹「これでお姉ちゃんも傘に入れるでしょ?」
11 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:32:40.61 ID:MKmTEbcy0
姉「…はぁ…そうだね」

妹「ほら、やっぱりちょっと入ってなかったんだ」

姉「妹ちゃんに風邪引いてほしくないからねえ」

妹「…そんなことじゃ誤魔化されないもん」

姉「ほんとの事なんだけどなー」

妹「はいはい…ありがと…」

姉「あぁ、そのピアスまだ開いてたんだ。痛くないの?」

ちょっと照れ隠し。

もしこの話で傘に付いてるハートのアクセサリーが同じものだって気づいてくれたらいいなって、少しだけ思う。

でも気づかれたらどうしよう、偶然って言えば大丈夫かな?

妹「全然痛くないよ?これ、かわいいでしょ」

姉「確かにかわいいけど…妹ちゃんがずっとケガしてるみたいで…」

妹「ケガなんかじゃないよ?」

少し引っ張って見せてきた。妹の耳たぶが伸びてしまっている

姉「わ…そんなことしちゃダメ」

妹「はいはい…ごめんね」

妹「……」
12 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:33:47.19 ID:MKmTEbcy0
妹「ねえお姉ちゃん、私かわいくなった?」

姉「え?いつと比べて?」

妹「いつでもいいよ。かわいくなってるかな?」

姉「そうだねえ…うん、かわいくなってると思うなぁ」

お茶を濁す。すごくかわいくなってるし、おしゃれも上手になっていってる。

今はしてないけど化粧だってそう。

休みの日に薄く化粧をした妹を見てドキドキしたのはもう数えるのをやめたくらい。

妹「そっか…ありがと」

姉「でもびちゃびちゃになったらかわいいとは言えないし、今度から傘くらい持ってくんだよ?」

妹「…はーい」

悔しいから、憎まれ口。誰のためにこんなに綺麗になってるんだろ?妹にこんなに思われてる人が本当にうらやましい。
13 : ◆62Ua0DQm7dp3[saga]:2013/06/17(月) 23:35:06.19 ID:MKmTEbcy0
姉「あぁ、髪の毛くくった方がいいかな?ちょっと待ってね…はい、できた。」

姉「あ、この方がかわいいかも。髪結んでるの似合うね」

妹「ん…ありがとっ」

風邪引いちゃいけないからと思って結んであげたんだけど、あんまり似合ってて思わず口に出してしまった。

恥ずかしくて顔が赤くなってしまった気がする。

妹は顔を伏せてしまってどんな表情なのかわからない。

姉「今度の休みに折り畳み傘買いにいこっか。そしたら濡れないでしょ?」

妹「うんっ」

妹はぱっと顔を上げて満面の笑みで答えてくれた。

相合傘は好きだけど、いつも一緒に帰れるわけじゃない。

それなら、濡れないようにしてあげたい。妹と買い物に行きたいだけとも言うかもしれないけどね。

この雨が止む気配はない。ゆっくり歩いているから家に着くのはもう少しかかるだろう。

それでいいの。妹と一緒にくっついて歩いてたいから。


おわり
14 : ◆62Ua0DQm7dp3[sage]:2013/06/17(月) 23:37:12.01 ID:MKmTEbcy0
百合画像を見ていてなんとなく書きたくなったので書いてみました
ただ歩いているだけでしたが楽しんでいただけたら幸いです
ありがとうございました。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/06/18(火) 01:03:37.96 ID:O4yVg29rO
おつ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/06/18(火) 04:34:09.44 ID:Kng6tfc6o

短いのに上手いなぁ
嬉しくってうつむいちゃう妹。妹のピアスと同じ柄のネックレス。本当いいところ突く
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/06/18(火) 06:42:51.67 ID:g40vJYSro
乙!
終わりかあもったいない



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