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HTML化した人:
dos
★
ボクサー「僕が魔王退治ですか……」
1 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:00:14.49 ID:/YTcS2lAO
ボクサー「ここはどこだ?」
ボクサー(ロードワーク中、車に轢かれそうな猫を助けようとして、代わりに車に轢かれて死んだはずなんだが……)
ボクサー(見たことの無い場所。これがあの世なのかな?でもなんか死んだ感じがしない)
ボクサー「仕方ない。身体は普通に動かせるようだし歩いてみるか」
――――
――
―
ボクサー「おっ、民家発見。ってことはあの世ではないのかな……」
ボクサー「迷っても仕方ない。すみません。誰かいませんかー」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1367596814
2 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:04:00.20 ID:/YTcS2lAO
「どなたですか?」
ボクサー「えっと……道に迷ったといいますか」
「貴方、魔力を感じないから、ただの人間のようですね」
ボクサー「はい?人間ですけど……」
「危険ではないと判断したので扉を開きます」
ガラッ
ボクサー「……?」
ボクサー(あっ、やっぱりここはあの世みたいだ。だって)
「どうしました?猫は珍しいですか?」
ボクサー「猫が……猫が……喋ったぁぁ!?」
3 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:05:22.65 ID:/YTcS2lAO
猫「そりゃ喋りますよ、猫ですから。それより早く入ってください。また結界張らないといけないんですから」
ボクサー「えっ……あっ、はい」
――――
――家の中――
ボクサー「……」
猫「なんで正座なんですか?楽にどうぞ。あとお茶です」
ボクサー「あっ、ありがとう」
猫「貴方……変な格好してますね」
ボクサー「えっ?普通のトレーニングウェアだけど」
猫「魔力も感じないし、見たとこ武器もない。よく魔物に襲われなかったですね」
ボクサー「……?」
ボクサー(夢か?頬っぺた痛いっ!!夢じゃない!?)
4 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:08:35.58 ID:/YTcS2lAO
猫「まぁ、お茶をどうぞ」
ボクサー「そうだね!ちょっとお茶飲んで落ち着こうかな」
グビッ
猫「……」
ボクサー「あの……顔に何か付いてる?」
猫「いえ、用心の為にそれ、魔物が飲むと麻痺するお茶なんですよ」
ボクサー「!!さらっとなに飲ませてんの!?」
猫「人間には害が無いですから安心してください」
ボクサー「そういう問題!?意外に腹黒いね君!」
猫「この世界では図太くなきゃ生きて行けませんから」
5 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:09:32.03 ID:/YTcS2lAO
ボクサー「……少しは落ち着いたから訊くけど、ここはあの世なのかな?」
猫「あの世とは?」
ボクサー「死んだ魂とかが行く世界とか」
猫「失礼な。私は生きてますよ。元気です」
ボクサー「じゃあここはどこなの……」
猫「ここは、魔王と魔女の二大巨悪が支配する世界です」
ボクサー「……ゲームの世界?」
猫「ゲームとやらが何かは知りませんが。貴方は、違う世界から迷い込んだ方なのですね」
ボクサー「たぶん、そうかな……」
6 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:12:04.91 ID:/YTcS2lAO
猫「なるほど。だから不思議な格好をしているわけですね」
ボクサー「僕からしたら、猫が普通に喋ってるほうが不思議なんだけど」
猫「貴方の世界の猫は喋れないんですか?可哀想に」
ボクサー「けど猫好きな人も多いから、可愛がられてる存在ではあると思うよ」
猫「可愛がる?」
ボクサー「肉きゅうぷにぷにしたり頭とか喉元撫でたりとか?」
猫「な、なんとハレンチな!!まさか奴隷なのですか……」
ボクサー「えーっと……奴隷とは違うけど」
猫「私は絶対そのようなことはさせませんよ!?」
ボクサー「そんな後退りしないでも嫌なことはしないよ……」
7 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:14:38.53 ID:/YTcS2lAO
ボクサー「それより、ゲームの魔王とか魔女って、まぁ、かなりの確率で酷い奴だったりするんだけど。ここの魔王とか魔女は?」
猫「悪いやつですよ。人間を奴隷にしたり、魔女はこの世界に呪いをかけたり」
ボクサー「あっ、やっぱり」
猫「今の時期は、人間や他の種族狩りが盛んな時期ですから、家に結界を張ってたわけです」
ボクサー「なるほど。ということは違う世界から来たような人間も?」
猫「珍しいでしょうから真っ先に捕まると思いますよ」
ボクサー「嫌な世界だね……」
8 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:18:59.55 ID:/YTcS2lAO
ボクサー「死んでないなら、元の世界に戻りたいんだけど……。アパートの家賃あるし、バイトにも、ジムにも行かないといけないから」
猫「私には貴方を戻す手段はありませんよ」
ボクサー「ハッキリ言うね」
猫「ですが、ここから南にある神殿の精霊なら、貴方を元の世界へ戻せるかも知れません」
ボクサー「精霊って綺麗な女神とか!?」
猫「それは知りませんけど。人間には見えるそうなんで行ってみてわ?」
ボクサー「今から行ってもすぐ着く?」
猫「夜になりますね。ちょっと危ないかもなんで、朝から行ったほうが良いですよ」
9 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:20:20.10 ID:/YTcS2lAO
――翌日・早朝――
ボクサー「泊めてくれてありがとう。じゃあ行ってくるよ」
猫「待ちなさい。私も行きます」
ボクサー「なんで?たしかこの道をひたすら進めば神殿でしょ?迷わないよ」
猫「途中で魔物に遭遇して食べられたら、なんか私のせいみたいで嫌ですから」
ボクサー「食べられる前提ですか……」
猫「とりあえずこれを背負って」
ボクサー「あれ?なんでリュックサック??」
猫「前に、市場で見つけて珍しかったから買いました。これに私を入れて背負って走りなさい」
ボクサー「いいけど。護衛なのに並走しないんだね」
猫「走るのめんどくさいです」
ボクサー「……」
10 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:23:43.40 ID:/YTcS2lAO
ボクサー「思ったより猫って軽いのな」
猫「失敬な!私は、隣のおデブ猫とは違いますよ!むしろスリムです」
ボクサー「あっごめん」
ボクサー「じゃあ走るから」
猫「どうぞ。私は魔物を警戒してますから」
――――
ボクサー「神殿まで何キロくらい?」
猫「私の歩みで1日かかります」
ボクサー「猫の歩幅で1日ならそんなに遠くないかな」
――――
スライム「スラーーーイム(待てー食ってやる)」
ボクサー「……」タッタッタッ
スライム「スラー!?(無視!?ちょっ速い!)」
ボクサー「……」タッタッ
スライム「……スラッ(無視しないでよ)」
11 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:25:10.08 ID:/YTcS2lAO
猫「なんか今、魔物の気配がした気がするんですが」
ボクサー「えっ!?なに襲われちゃうの!?」
猫「今はしないから大丈夫ですよ。それにしても人間は走るの速いですね」
ボクサー「そうなのかな?いつもこのくらいで走ってるけど」
猫「体格差とはこれほどまで違いが出るものですかね」
ボクサー「しかし、この世界は不思議だね。空気が濃いというか身体が軽いというか」
猫「それは、魔力が漂ってるからだと思いますよ。善くも悪くも、潜在能力を高めてくれますから」
ボクサー「おおっ、それは凄い」
12 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:27:40.43 ID:/YTcS2lAO
――神殿――
ボクサー「というわけで到着しました」
猫「早い……」
ボクサー「いてっ!なんで頭叩くの!?」
猫「気にしないでください。なんとなくですから」
ボクサー「なんとなくって……意外に痛かったし」
猫「それより、魔物の気配もしないですし早く進んでくださいよ」
ボクサー「君、良い性格してるね」
猫「ふふん」
――――
――
―
ボクサー「誰もいない。寂しい神殿だね」
猫「今時、見えもしない精霊に危険冒してまで祈りに来ませんよ」
13 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:28:15.35 ID:/YTcS2lAO
――神殿・最奥――
ボクサー「ここで終わりか。祭壇もなんかボロボロだね」
猫「信仰心が失われた建造物の成れの果てですね」
ボクサー「あのー精霊さん、いたら姿を見せてくださいー」
猫「シュールな光景ですね」
ボクサー「黙っててよ」
――――
ボクサー「……なんも現れないや」
猫「残念でしたね」
ボクサー「帰ろうか」
猫「はい」
「待ってーちょっと待ってー」
ボクサー「なんと!精霊の声か?美人な精霊さんか!?」
14 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:30:38.18 ID:/YTcS2lAO
精霊「すまんな。待たせて。いやーちょっと腹下っててな」
ボクサー「……」
精霊「どうかしたのかい?僕ちゃん」
猫「精霊現れたんですか?」
ボクサー「うん。現れた……現れたけど……オッサンて!!」
精霊「おい、僕ちゃん。オッサンじゃないぜ。せめてお兄さんと呼びな」
ボクサー「精霊は綺麗なお姉さんって相場が決まってるんでしょ!!」
精霊「そいつは信仰心が高くて綺麗な神殿の場合だ。俺みたいに左遷され……」
ボクサー「あっ、ごめん。やめてオッサンが泣かないで」
15 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:32:03.12 ID:/YTcS2lAO
――――
――
―
精霊「あー、話はわかった。元の世界に帰りたいんだ?」
ボクサー「死んでないなら帰りたいです」
精霊「んー出来なくもないけど条件がある」
ボクサー「なんですか?」
精霊「力を貸したるから、魔王倒してきて」
ボクサー「僕が魔王退治ですか……」
精霊「うん。俺の力借りて僕ちゃんが魔王倒せば、俺への信仰心も戻ってエリート街道にまた戻れるからさ」
ボクサー「そこはオブラートに包んでほしいな……」
精霊「けっ!綺麗事なんか左遷された時に捨てちまったよ!あっ、また泣きそう」
ボクサー「やめて!!」
16 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:34:18.41 ID:/YTcS2lAO
精霊「まぁ、だからさ俺の為に働いてよ」
ボクサー「……帰る手段が別にあるなら頼りたくない顔だ」
精霊「さて、なんの力がいい?腐ってもエリート精霊だったから大概のことは出来るが」
ボクサー「うーん……平和的なのはないですか?」
精霊「あるよ!周囲5kmの魔物を重力で圧殺する魔法とか」
ボクサー「平和要素皆無か!!」
精霊「魔物だしいいじゃん?」
ボクサー「殺しはしたくないです」
精霊「えー無理っしょ。アイツらも一部の人間も躊躇いなく殺し合いしてるし」
ボクサー「……」
17 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:35:35.92 ID:/YTcS2lAO
精霊「それにさー僕ちゃんの世界とここは根本が違うから」
ボクサー「僕の世界を知ってるんですか?」
精霊「うん。精霊だからね。なんかルールばかりで生きにくい世界だよね」
精霊「ここはね。凄いシンプルなんだよ。ルールなんか一個“強い者は何をしてもいい”それだけ」
ボクサー「何をしてもって?」
精霊「殺しも強奪も、いわゆる僕ちゃんの世界で禁止になってたり、処罰されることが全部、強者には問題無しなわけだ」
ボクサー「そんな……」
18 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:38:29.41 ID:/YTcS2lAO
精霊「最初は甘い考えだった人間も、その半数が魔物に駆逐された頃に考えを改めたけど。時既に遅し」
精霊「今じゃ、魔物が世界の大半を占めてる世界だからさ」
ボクサー「……それでも殺しはしなくていい力が欲しいです」
精霊「僕ちゃん死んじゃうよ?」
ボクサー「変えません」
精霊「やれやれ……なら“強制力”と“創造”を与えるよ」
ボクサー「なんですかそれ?」
精霊「一番、限りなく平和で殺すこともない能力かな」
19 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:40:11.23 ID:/YTcS2lAO
精霊「そろそろニコチン切れてイライラして来たから手短に話すわ」
ボクサー(やさぐれ街道まっしぐらじゃないか)
精霊「まず“強制力”だが、これは如何なる場合も、僕ちゃんが強制したことからは絶対に相手は抗えない」
ボクサー「強すぎません?」
精霊「もちろん。制約はある。相手に触れていること。相手が言語を理解できる存在であること」
ボクサー「戦場で魔物に触れて、なおかつ言葉も通じないといけないとか……」
精霊「だから万能、完全無欠ではないな。あーっ、ちょっと一本いい?」
ボクサー「……どうぞ」
20 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:42:26.38 ID:/YTcS2lAO
精霊「あーうめぇ。俺の枯れたハートに染み渡るニコチン」
猫「まだ話し中?」
ボクサー「なんか精霊のオッサンがタバコ吸ってるから待ってる」
猫「なにそれ……」
ボクサー「僕にもわからないよ。夢がぶっ壊されたのだけは確かだけど……」
――――
精霊「わりぃ待たせちまったな。次は“創造”の説明だ」
精霊「簡単に言えば、自分の得意な武器をイメージするだけで造り出すものだな。僕ちゃんの場合はボクシングのリングとか」
ボクサー「リング造ってなんになるんですか?」
精霊「魔物とか敵対する人間と殴り合う」
ボクサー「はい?」
21 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:45:23.51 ID:/YTcS2lAO
精霊「殴り合って勝ったら、相手の悪意が消え去る仕様にしてるから」
ボクサー「……簡単に言うけど」
精霊「殺し合いは嫌なんだろ?むしろ俺からすれば、殺し合いのが楽に思うけど」
ボクサー「……」
精霊「これ以外で僕ちゃんの特性が活かせるのはないから。まぁ、頑張って」
ボクサー「いきなり撃たれたり、魔法とか使われた場合は?」
精霊「それは、そこの猫ちゃんに力与えてやるから、コンビで頑張りな」
ボクサー「……わかりました」
22 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:47:07.67 ID:/YTcS2lAO
――――
猫「どんよりした表情だけど、戻れる手がかり無かったんですか?」
ボクサー「うーん……。手がかりというかなんかおかしな話になった」
猫「おかしな話?」
ボクサー「魔王倒せってさ」
猫「ああ、魔王倒せば平和になりますねーってアホですか?」
ボクサー「精霊に頼まれたんだよ」
猫「絶対に無理ですよ。途方もない数の人間が殺されたんですよ?貴方一人で何が出来ますか」
ボクサー「えっと……一人ではなくて、君にも手伝ってもらえだってさ」
猫「はいぃ!?」
23 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:49:46.29 ID:/YTcS2lAO
ボクサー「精霊のオッサンが言うには、君の力も強化したらしいけど」
猫「強化って言われても、私が使える魔法なんて、精々、何かを防御したり小規模の結界くらいですよ」
ボクサー「あれ!?なんか攻撃魔法的なのあるから護衛じゃなかったの?」
猫「そんなことは一言も言ってませんけど」
ボクサー「なんてこった……限りなく攻撃力がないコンビじゃないか」
猫「一緒に行くとは行ってないですけど」
ボクサー「ああ……」
猫「まぁ、危なくなったら逃げますが案内はしてあげますよ」
ボクサー「おお、ありがとう!」
24 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:50:46.98 ID:/YTcS2lAO
――神殿・入口――
猫「とりあえず、一回家に戻って旅支度をしましょうか」
ボクサー「そうだね。じゃあ、また走るか」
猫「頑張ってください」
――――
――
―
スライム「スラッ!(あっ、また居やがった」
ボクサー「……」タタタッ
スライム「スラッスラッ!?(気づけや!!)」
ボクサー「……」タタッ
猫(後ろからスライムが追って来てるけど、追い付けなさそうだからいいですね)
猫(しかし楽チンだなー適度な揺れが眠くなる)
25 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:52:32.29 ID:/YTcS2lAO
――村・入口――
ボクサー「なんか焦げ臭くないか?」
猫「確かに……まさか」
ボクサー「おっ、おい?飛び出してどうした」
――――
猫「……やっぱり」
ボクサー「おいって!ん?」
魔物「……」
ボクサー「……」
ボクサー(なんでいきなり魔物いるんですか?しかも……)
ボクサー「でけぇ……」
猫「……魔族の狩人ですよ」
ボクサー「いきなりピンチ?」
猫「家が燃やされました!倒してください!!」
ボクサー「ええっ!?」
26 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:53:50.76 ID:/YTcS2lAO
猫「私が、長い時間かけて苦労して建てた家燃やされたんですよ!?」
ボクサー「家なんか建てればいいじゃん!僕手伝うよ!」
猫「うるさいです!あれくらい倒せないで、何が魔王退治ですか」
ボクサー「あんな3、4メートルあるようなゴツいのは反則でしょ!」
猫「貴方だって私から見たらでっかいですよ!」
魔物「……無視か。よし殺す」ブンッ
ボクサー「あぶね!いきなり斧とかダメですよ!?」
魔物「避けるとは生意気な奴だな」ブンッブンッブンッ
ボクサー「くそっ!わりと速い!」
27 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:56:07.44 ID:/YTcS2lAO
猫「おおー凄い凄い!貴方避けるの上手いですね」
ボクサー「褒めてないでなんか助けてよ!」
魔物「早く斬られろ」ブンッ
ボクサー「絶対に嫌だ!」
魔物「オラァァ!!」ドスンッ
ボクサー「しめた!地面に刺さらせやがった」ガシッ
猫「んにゃ!?」
ボクサー「逃げるが勝ち!!」
ダダダダダダッ
猫「ちょっと!?なに逃げてるんですか!」
ボクサー「無理無理!あんな斧振り回されて戦えるかよ」
28 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:57:16.56 ID:/YTcS2lAO
――村の外――
猫「逃げてどうするんですか!?」
ボクサー「怖いに決まってるだろ!?そりゃ、試合で怪我したりしたことはあるけど……」
ボクサー「それはルールがあるリングの上で、相手を倒す為で殺す為じゃなかったんだから」
猫「ここでは、殺されるか奴隷になるかの2択なんですよ」
猫「私達は、逃げれば助かるかもしれませんが、村の皆はどうなるんですか」
猫「貴方を頼った私がどうかしてました。勝手に逃げてください」
タタタッ
ボクサー「……なんだよ」
29 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:59:04.30 ID:/YTcS2lAO
魔物「逃げられたか。まぁ魔女の所望品は何匹か手に入ったからいいか」
デブ猫「くそっ!魔物の馬鹿野郎!」
老猫「おお……殺されてしまうのか」
魔物「安心しろ。魔女が魔力持ちの猫を儀式用に欲しがってたからな。価値ある死になるさ」
猫「その猫達を放しなさい!」
魔物「なんだ、戻ってきたのか」
猫「放さないと酷いですよ!」
魔物「ほう?やってみな」
猫(……正直どうしよう。無策だった……どうしよう)
30 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 01:59:37.34 ID:/YTcS2lAO
魔物「どうした?早く攻撃してこいよ」
デブ猫「あいつ……攻撃魔法なんか使えないよな」
魔物「なんだ。口だけなのか?」
猫「い、今すごい魔法を練ってるんですよ!!」
猫(あんのメタボ猫めぇぇ!そういうことは口にチャックしてなさいよ」
魔物「……やれやれ」ブンッ
猫「にゃ!!」
魔物「的が小さいとめんどくさいな」ブンッブンッ
猫「にゃにゃにゃ!!」
猫(やられてしまいます……)
ボクサー「まてーい!」
31 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 02:01:44.33 ID:/YTcS2lAO
猫「貴方逃げたんじゃ……」
ボクサー「あんな言われて逃げるかよ。こっちだって男に生まれてんだから」
魔物「おっ、臆病者が現れたな」
ボクサー「……うっさい」
魔物「なら聞かなくてよくしてやるよ」ブンッ
ボクサー「……」ダッ
魔物「わざわざ突っ込んでくるとわな」
ボクサー「……よし、触れられた」
魔物「?」
ボクサー「リングに上がりやがれ」
魔物「なんだ?いきなり四角い足場が現れた?」
32 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 02:02:48.37 ID:/YTcS2lAO
精霊「はーい!レフェリーを務める精霊だよん」
ボクサー(……シリアスだったのに)
魔物「なんだこれは」
精霊「HEY!デカブツ魔物君。これはボクシングのリングだ。3分間で僕ちゃんをぶっ倒せれば魔物君の勝ち」
精霊「3分間僕ちゃんが立ってられるか、勝てば魔物君の悪意は消滅するぜ!」
魔物「ふざけたことを!……斧がないな」
精霊「ボックス!!」
カーン!
ボクサー「始まるタイミングは選ばせて!?」
精霊「レフェリーは絶対!ニコチン切れるだろうが」
ボクサー「……ちくしょう!」
33 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 02:05:01.62 ID:/YTcS2lAO
魔物「ボクシングってのがわからんが殴り殺せばいいんだろ」ブンッブンッ
精霊「おーっと魔物ちゃんの剛腕が火を噴くぜー!」
ボクサー「うっせ!あぶね!」
ボクサー(けど、大振り!脇腹いける!)
ボクサー(そこっ!!)」
シュッ ゴッ!
魔物「がっ……こいつ……」
ボクサー(もう一発いけるか!いや)
魔物「死ねぇぇ!!)ボッ
ボクサー(危なかった……この体格差でまともに当たればヤバい)
精霊「1分30秒経過ーー!ニコチンが尽きるのが先か、どちらが勝つのか!」
34 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 02:05:52.33 ID:/YTcS2lAO
猫「頑張って!負けないで!!」
デブ猫「人間頑張れー!」
老猫「出来れば今のうちに網を……」
――――
ボクサー(このリーチと体格差で避けれるのは、この世界で身体能力が格段に上がってるからか)
魔物「なんで狭い空間なのに当たらんのだ……ハァハァ……」
ボクサー(息があがってる。鍛える必要なんか無かったんだろうな)
ボクサー(だけど、こっちは真面目にずっとやってきたんだよ)
ボクサー(ここだっ!!)
ドンッ!
魔物「ごげ……」ドサッ
精霊「ダウン!僕ちゃんコーナーへ!カウント1……5……10!ゴング!!勝者僕ちゃん!」
カンカンカーン!
35 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 02:07:27.05 ID:/YTcS2lAO
――――
――
―
デブ猫「助かったぜ!人間ありがとうな」
老猫「助けて頂きまことにありがとうございました」
ボクサー「いえ、助けられて良かったです」
猫「……」
ボクサー「ところで君はなぜにそんな離れてるの?」
猫「えっと……その……」
ボクサー「別に気にしてないよ。さっきは確かに情けなかったから」
猫「……助けてくれてありがとう」
ボクサー「いえいえ。じゃあ僕は行くよ」スタスタ
猫「ちょっと!私も行きますよ」
ボクサー「良かった。正直見捨てられたかと」
猫「けど、背負ってくださいね」
ボクサー「はいはい、仕方ないなー」
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/04(土) 02:08:45.35 ID:H2d1IuBF0
僕さー、ボクサー!
うん、ツマンネーわ。
37 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 02:09:22.36 ID:/YTcS2lAO
――その後――
改心魔物「いやー心が清々しい。ということで、壊した家の修理と、この村の守りをするぜ」
デブ猫「……ほんとに大丈夫?」
改心魔物「大丈夫だ。この村を襲う魔物がいたらぶっ飛ばすから」
デブ猫「そういうことじゃ……」
老猫「改心したとはいえ……」
老猫(こんな厳つい顔が村に居座るのは複雑じゃなぁ)
デブ猫(老猫が考えてることが痛いくらいによくわかる)
改心魔物「あー清々しいな。こんな良い気持ちは初めてだ」
38 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/04(土) 02:10:13.23 ID:/YTcS2lAO
書き溜めおしまい。
読んでくれたら嬉しいです。
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/04(土) 03:29:30.88 ID:o3ryD5DIo
おもしろい
つづけて
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/04(土) 03:40:27.71 ID:c2rn09F5o
改心した魔物の、心が清清しいな発言がなぜかツボる
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/04(土) 05:05:07.02 ID:lQfS4eeC0
こういう設定だと合気道とか空手が多かった気がする
ボクサーはいいチョイスですわ
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/04(土) 19:59:25.98 ID:b8vpSYR0o
あ…ッそっかァ〜〜ボクシングって大地を蹴る格闘技なんだ
43 :
f
2013/05/05(日) 10:41:51.26 ID:VLNVT+ML0
チェーンメールですか??
♪サッチャンハネ、コウツウジコデ、ハネラレタ、ダカラ、カオガトレテ、
ドッカトオクヘ、トンデチャッタ♪悲しいね、さっちゃん♪
さっちゃんは即死で死んじゃったの。このレスを見た人は…
さっちゃんが0時に行ってあなたの首をかまで切り取っちゃうよ♪
いやなら、さっちゃんが行くまでに、9回違うスレにレスを送ってね♪
あ、さちゃんの顔は、こんな顔だから、
探してくれるのもイイよ♪オネガイネ…。
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これマジだよ!!このレスを見たら
7日後以内に死にます
無残な姿で死にます
回避する方法は1つ
このレスをコピペしてほかのスレに7つ貼る事です。
100%これをやってください
本当に死にます.
ごめんなさい。死にたくないんです
信じなかった私の友達は首を狩られて死んじゃったし
このレスを見たら
7日後以内に死にます
無残な姿で死にます
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100%これをやってください
本当に死にます.
ごめんなさい。死にたくないんです・・・
44 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:14:05.01 ID:UIGcK9XAO
投下
45 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:14:44.41 ID:UIGcK9XAO
――野道――
ボクサー「とりあえずどこを目指せば良い?」
猫「北の果てが魔族の本拠地、東に人間達の最後の都がありますよ」
ボクサー「……最後の都ってそこまで人間達は少ないの?」
猫「噂で聞いただけで正確な数はわかりませんよ。ただ、限りなく劣勢なのは確かです」
ボクサー「魔力ってのがある世界ならほら……勇者的な強い人間とかもいるんじゃないの?」
猫「勇者……?そんな存在がいたらもう少し生きてる人間もいたでしょうね」
46 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:15:33.77 ID:UIGcK9XAO
猫「魔族達のもとへは行こうと思えば、誰でもすぐ行けますよ。隠れ潜む必要なんか無いですから。堂々としたもんです」
ボクサー「いや、まぁ……旅の基本は仲間を捜してみたいな」
猫「怖いんですね。まぁ確かに、頭から丸飲みされたくはないですよね」
ボクサー「そりゃ昨日まで普通に細々と暮らして来ましたから……」
猫「じゃあ、人間達が住んでる場所まで行ってみましょう。もしかしたら、まぁほとんど無いけど。助けてくれる人がいるかも」
47 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:17:31.29 ID:UIGcK9XAO
――道中――
ボクサー「……」タッタッタッ
森の魔物「ギャアアォ」
ボクサー「……」ダダダッ
森の魔物「ギャォ!?ギャォ……」
――――
――
―
ボクサー「おっ、川発見。少し休憩しようか」
猫(かれこれ一時間以上走って、その間魔物に出くわすこと数回……全て無視か気付いても走り抜ける繰り返し)
ボクサー「どうかした?」
猫「なぜに魔物を倒さないんですか?」
ボクサー「逃げれる時は逃げたほうが良いでしょ。僕は戦闘狂じゃないよ?」
猫「そういうレベルを越えてるような……」
48 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:18:44.10 ID:UIGcK9XAO
――――
――
―
ボクサー「結構な距離走ったけど、都なんかどこにも見えないような」
猫「確かにありますよ。あの大きな尖った山が目印なはずですから」
ボクサー「麓にあるの?」
猫「いえ、頂上です」
ボクサー「頂上……なるほど。攻められにくく守りやすいってことなのかな」
猫「魔族に取り壊されてないだけってことだと」
ボクサー「そうなんだ……希望がないね」
猫「何言ってるんですか?貴方が希望になるんでしょ」
ボクサー「……希望、ね」
49 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:21:47.30 ID:UIGcK9XAO
――山道――
ボクサー「見張りとかいないんだね」
猫「魔物に真っ先に喰われる場所に居たいですか?それに、標高もあるから登っていけばいるかもですね」
ボクサー「……リュックサックから冷静に猫が解説する」
猫「なにか変ですか?」
ボクサー「変なことを数え上げたらきりがないよ」
猫「縄張りに入ったらボス猫に従えですよ」
ボクサー「……それは猫達のことわざ?」
猫「えっとなんでしょうね?なんか自然に浮かんだので」
ボクサー「あっそうなんだ……」
50 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:22:23.73 ID:UIGcK9XAO
――――
――
―
ボクサー「わりと登って来たけど」
猫「わー、高いですね。おっ!あれは私の村ですよ」
ボクサー(見渡しても近代的な建造物がない。むしろ大自然というか)
「止まれ!!」
ボクサー「ん?」
門番「お前見たことない服装に顔つきをしてるな!!」
ボクサー「……えっと」
ボクサー(あれ!?僕英語出来たっけ?目の前にいるの金髪の総合格闘家みたいな外人さんなんですが!?)
門番「言葉がわからないのか?確かにチビで黒髪だが」
51 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:22:54.41 ID:UIGcK9XAO
ボクサー「チビじゃないし!あんたがデカすぎなんじゃい!!」
門番「なんだ喋れるんじゃないか」
猫「あのー、私達は人間の都を訪ねて来たものです」
門番「なるほど。しかし得体の知れない存在を通すわけには行かん」
ボクサー(猫が喋っても驚かない、やっぱり別世界なんだ)
猫「私達は魔物ではありません」
門番「猫族だけなら判る。だがなぁ、そいつは見るからに怪しいだろ」
ボクサー(僕の世界じゃ、そんな鎧着て槍持ってるほうが怪しいですとは言えない)
52 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:23:31.39 ID:UIGcK9XAO
ボクサー「どうやったら通れますか?」
門番「とりあえず手荷物検査をさせてもらう」
猫「仕方ないですね」
――――
門番「特に危険な物はないな。というか、帯剣すらしてないとは逆に凄いなお前」
ボクサー「ははは……」
門番「最後にそれを飲め」
ボクサー「あの……これって魔族なら麻痺するとかの?」
門番「いや死ぬ」
ボクサー「死ぬ!?死ぬ言ったよこと門番!!」
門番「皆が飲んでるから大丈夫。さっさと飲め」
猫「早くしてくださいよ。私は飲みましたよ?不味いけど」
ボクサー「はやっ!!……えぇぃっ!」
53 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:28:39.09 ID:UIGcK9XAO
――都・入口付近――
ボクサー「うっぷ……」
猫「大丈夫ですか?」
ボクサー「青汁にコーラを混ぜたような気持ち悪さ、無駄に残る甘さ……無駄に弾ける炭酸……」
猫「あれは自分が嫌いな飲み物の風味になるんですよ」
ボクサー「悪意以外のなにものでもないな……」
――――
ボクサー「よし、立ち直った」
猫「さて、私もちょっと歩きますか」
ボクサー「あっ、やっと歩くんだ」
猫「まぁ、一応は安全ですから」
54 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:29:19.15 ID:UIGcK9XAO
――――
ボクサー「なんか人の視線が……」
猫「物珍しさでしょうね。魔物ではないのはわかってるでしょうから」
ボクサー「確かに、やっぱりここは昔の西洋の感じだしね。そりゃ浮いて見えるか」
猫「それより、お腹が空きました」
ボクサー「脈絡!」
猫「良い匂いがします。こっちかな」
ボクサー「食への行動力!」
ボクサー「あっ、待ってよ」
猫「こっちですね。あー近いです」
ボクサー「屋台?のわりにはあんまり活気がないな」
55 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:29:48.56 ID:UIGcK9XAO
「おい、なんか変な奴がいるぞ」
「なんだあの服装。初めて見るな」
ボクサー(なんかめちゃくちゃ視線を感じる……)
猫「おじさんお魚ありますかー?」
店主「すまねぇな。魚はここじゃ貴重品だからお偉方が買い占めてんだよ」
猫「……じゃあ何か二人分適当にお願いします」
店主「あいよ」
ボクサー「魚なくて残念だったね」
猫「これだけ高地で下には魔物が居ますから仕方ないですよ」
ボクサー「なるほどね」
56 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:30:19.81 ID:UIGcK9XAO
――――
猫「意外に美味しいです」
ボクサー「そうだね」
ボクサー(食べ物は質素だけど元の世界と大差ないな)
――――
――
―
ボクサー「ごちそうさま」
猫「満腹です。さてお金払って街見物に行きましょう」
ボクサー「あっ、お金……」
猫「異世界の人が払えるとは思ってませんよ。お財布がリュックサックに入ってるはずです」
ボクサー「すみません……えっと財布財布」
猫「黒い財布です」
ボクサー「……無いけど?」
猫「まさかー」
57 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:30:51.68 ID:UIGcK9XAO
――――
猫「……財布忘れちゃった」
ボクサー「……」
店主「お客さん……まさか無銭飲食かい?食料調達が困難な今じゃ厳罰だよ?」
ボクサー「厳罰!?」
店主「そうだよ」
猫「まずいですよ……これは非常にまずいです」
ボクサー「あのー、店のお手伝いしますのでそれではダメですか……?」
店主「あんた何年うちでタダ働きする気だよ」
ボクサー「何年!?そんなに僕たち食べました!?」
店主「ざっと20万ドン」
猫「に、20万ドン!?それはぼったくり過ぎですよ!普通の食事で沢山食べても5ドンくらいなのに」
58 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:35:04.57 ID:UIGcK9XAO
店主「うっせぇんだよ!クソ猫が!!」
猫「ぎにゃ!」
ボクサー「おい!蹴ることないだろうがふざけんなよ!」
店主「おうおう、胸ぐら掴んでさらに罪を重ねる気か」
猫「ダメです!私は大丈夫ですから」
ボクサー「……くそっ」
番兵「貴様らなんの騒ぎだこれは!」
店主「これはこれは兵士様。こいつらが無銭飲食をしようとしたもので」
猫「ふざけないでくださいよ!あんなぼったくりの値段、財布が在っても払えるわけないでしょ」
59 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:35:35.01 ID:UIGcK9XAO
番兵「なるほど。しかし、屋台は届けすら出せば好きな値段で出して良いことになっているからな」
ボクサー「そんなの詐欺じゃないですか!」
番兵「食糧難なのだから仕方ない。それに、この屋台は届けを出してある」
店主「そういうことなんだよ。わかったか」
ボクサー「ちなみに捕まるとどんな処罰に?」
番兵「人間ならば拷問のち禁固刑、もしくは人間も猫も奴隷行きだな」
ボクサー「そんな!?」
60 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:36:05.55 ID:UIGcK9XAO
ボクサー(やるしかない……)
精霊(ちょい待ち、僕ちゃんこの二人を倒しても余計立場悪くなるよ)
ボクサー(精霊!?なぜに!?)
精霊(精霊なめんな。最善策は逃げることやな。門に逃げるんじゃなく都の中央部が入り組んでるからオススメだ)
ボクサー(なるほど……)
精霊(あとは僕ちゃんの脚次第だぜ。頑張りな)
――――
ボクサー「あっ!空に魔物!!」
番兵「なんだと!?」
店主「まじかよ!」
猫「大変ですよ!って掴まれた!?」
ボクサー「逃げる!!」
61 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:36:32.38 ID:UIGcK9XAO
店主「あの野郎逃げやがった!」
番兵「逃がさん!」ダダダッ
ボクサー「……」ダダダダッ!
――――
番兵「ハァ……ハァ……待たんか……」
ボクサー(やっぱり、あんな鎧纏ってたら長くは走れないよね)
猫「い、いきなり何するんですか!」
ボクサー「ごめん……けど、捕まれないし」
猫「まぁ、あんなぼったくり払わなくて大丈夫ですよ。ありえません」
ボクサー「いや、食い逃げはダメだけど。今回は仕方ないかな……」
62 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:37:08.05 ID:UIGcK9XAO
――都・中央部――
ボクサー「やけに武装した兵士が多いね」
猫「ここよりさらに奥は、確か人間達のお偉いさん達が住むエリアですからね」
ボクサー「なるほど。どんな世界でも権力者の周りは護衛で一杯なのか」
猫「貴方の世界でも?」
ボクサー「そうだよ」
猫「貴方の世界にも魔物がいるんですか?」
ボクサー「そうじゃないけど」
猫「なら何から守ってるんですか?」
ボクサー「うーん……同じ人間からかな」
猫「変わった世界ですね」
ボクサー「まぁ、そうかも」
63 :
◆F6lbtBSr3A
[saga]:2013/05/26(日) 22:38:06.07 ID:UIGcK9XAO
ここまで。
読んでくれる人いたらありがとうございます。
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/27(月) 09:16:59.05 ID:8wBVBJgs0
乙
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