◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:18:36.42 ID:JCavatmx0<>*このスレはだいぶ前に建ってた奴隷スレのリメイクです*
*いろいろな作品の影響を受けています*
*文章力低いです、ご指摘アドバイスしていただきたいです*
ゴウン・・・ゴウン・・・
武装した男を乗せたエレベーターが昇っていく。
手にした刀を見つめながら男は闘志を高めている。
(勝つ…必ず俺は勝つ…!)
エレベーターが男を運んでいる場所は闘技場。
これから男は自由を得るために戦うのである。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363018716
<>男「古代遺跡?」
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:19:00.11 ID:JCavatmx0<> ―――時間は2週間前まで遡る。
「なぁ、お前剣闘士に志望したってマジなのか?」
上下縞模様の囚人服を来た青年が、芋を食べている男に声をかける。
「ああ、それが一番手っ取り早いからな。」
芋を食べる手を休めることなく、男は返事を返した。
男が身に着けている物もまた、縞模様の囚人服だ。
「素直に解放されるとは到底思えんけどなぁ。俺たちの命なんてあいつらからすりゃ
ゴミみたいなもんだろうし。」
おどけた調子で青年が呟く。
「そうだとしても、俺はこんなところにいたくない。」
男は断固たる口調でそう言う。
「そうかよ、ならもう止めないぜ。」
二人の会話に出ているのは二週間後に行われる、囚人同士の殺し合い。
通称"コロシアム"。
それの選手に男は志願したのである。 <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:19:30.48 ID:JCavatmx0<> 空腹に負けて窃盗を行い逮捕され、10年間の強制労働を言い渡されたのが一月前。
10年間も捕まってられるかと焦っていた時に都合よく"コロシアム"の話を耳にすることが出来たのだ。
看守達がわざとらしく噂していた時点で裏があって当然、ほとんど罠のようなものだったが、男はそれを好機と捕えたのだ。
"コロシアム"への参加は本当にあっさりと決まった。
昨日看守にそれとなく聞いたところ、向こうのほうで手続きやら届出やらを勝手に行ってくれそうで、男の苦手な書きものを一切する必要がなかった。
まぁ、男に知られると都合が悪いことが多かっただけなのだが。
ともかく男は"剣闘士"として2週間後に行われるコロシアムへの参加が決まった。
これからの二週間は強制労働が免除され、"剣闘士"達が各々自由に時間を使うことが出来る。
男も芋を食い終わったら訓練を行う予定である。
「まぁがんばってくれよ。俺はこの後また労働だからさ。」
青年は冷たく笑って男の元を去って行った。その胸中には男への侮蔑と羨望が両立していた。
<>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:20:05.53 ID:JCavatmx0<> (さて…俺も始めるとするか。)
空になった器を台の上にもどし、席を立つ。
そして昨日指示された場所に向かい、必要なものを注文する。
"剣闘士"達は牢獄に収められている武具の中から好きなものを試合で使うことを許可されている。
ほとんどが押収品なので、愛用の得物を取られまいと明朝からこの場所に立っていた囚人も中にはいた。
しかし乞食同然の男の持ち物には戦いに使えそうなものなどなかったので、食事を済ませてからのんびりやって来たのだった。
戦いの経験など数えるほどしかない男にとって武具など何でもよかった。
相手も自分同様の乞食やチンピラだろうし、負けて死ぬならそれも仕方ないと割り切っていた。
「じゃあ、この剣をくれ。」
「剣だけだと!?盾や鎧は!?」
男の判断に動揺しながら看守は返答した。
囚人とはいえつまらない死に方をされて上の不況を買うのは困る。
「いいんだ、やられる前にやるから。そのためには早く動けないとな。」
無邪気に見える笑みを浮かべて男は看守の元を去る。
看守は笑う気にもなれなかった。 <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:20:43.86 ID:JCavatmx0<> ――――男の選択した武器は、"刀"と呼ばれる片刃の剣だ。
男はその呼び名を知らず、見たのも初めてだったが、その造形に惹かれてしまったのだ。
現在主流となっている剣とは大きくかけ離れた造形をしているが、ずっと早く斬れそうな気がして。
―――それからの二週間はひたすら刀を振り続けた。
食べて、振って、寝てを14日間ひたすら繰り返したことで、男独自の剣技が生まれ始めていた。
「おい時間だぞ!さっさと出て控室に向かえ!」
看守の怒鳴り声を涼しい顔で聞き流し、刀を手に指定の控室に向かう。
赤く染められた鉄の扉を抜けると、中には既に3人の剣闘士がいた。
皆ギラついた殺気を隠そうともしない。
奥に座っていた監督者から話を聞くと自分たちのいる場所の反対側の控室にも4人の剣闘士が控えているらしい。
これから順番に一人ずつ闘技場に向かうのだそうだ。 <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:21:11.82 ID:JCavatmx0<> 他の剣闘士たちと同じように自分も席に座り刀を眺めていると、徐々に上が騒がしくなってきた。
地下の控室に聞こえるほどの喧騒を不審に思っていると、監督者から観客が入ってきていることを告げられる。
自分たちの勝敗に金を賭けたり、殺し合い自体を楽しむためにわざわざ金を払って大勢の人が来るらしい。
「この"コロシアム"は頻繁に行われていたりするのか?」
監督者は冷淡な調子で
「ああそうだ。そういえばお前は最近この町に来たと言っていたな。それなら知らんのも仕方ないか。定期的の行われているよ、"コロシアム"は。ただし、通常のものは一般参加枠があり、囚人は専ら殺され役だがね。」
"殺され役"という言葉に不快感と不安を覚えた男が続けて問いを投げる。
「殺され役?通常のもの?どういうことなんだ?これから行われるものは何か違うのか?」
「ああ、時期も違うし、囚人に武具を与えることもなかったよ。それ以上は答えられん。」
「わかった、ありがとう。」
(やっぱり何か裏があるんだな、俺には関係ないけど。) <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:21:37.77 ID:JCavatmx0<> ブオオオオォォォォ〜〜〜〜〜〜ン!!
「今の音が聞こえたな?これから"コロシアム"が始まるのだ。まずはお前からだ、エレベーターのところまで行け。そこで最後の説明がある。」
「了解したよ。」
(まさか俺が一番とは・・・。)
最後に来たから最後だろうとのんきに思っていた男も自分が1番というのには少し驚いた。
だが、それだけだ。
あっというまに心は平静さを取り戻し、ゆったりとした動作で部屋を出てエレベーターへと向かった。
(戦うこと自体に不安はない…何故だろうか)
この二週間、刀を振り続けたことが男に自信を与えていた。
この刀があれば絶対に負けないという確信が男の心にはあった。
それくらい刀は男の手に馴染む武器だったのだ。
武器など何でもいいと考えていたが、もし違うものを選んでいたらどうなっていたか。
不安でビクビクと歩いていたかもしれない。
(見た目に惹かれて選んでしまったけど、結果的にはそれが俺にとって最良だったな。)
そうこうしているうちにエレベーターの前についた。
男が看守から言い渡されたルールは一つ。
"どちらかが死ぬまで戦い、生き残ったほうを勝者とする"
(単純だがわかりやすいな。俺にはいい。)
看守に軽く礼を言って男はエレベーターに乗り込んだ。
――――そして場面は冒頭へと戻るのである。 <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 01:22:14.55 ID:JCavatmx0<> 本日分はこれで終わりです。
不定期投稿となりますが、できるだけ短い間隔で投下していきたいと思っています。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/12(火) 01:25:22.17 ID:SY93Mg8Xo<> 乙 タイトルとどうつながるのか期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/12(火) 01:26:37.17 ID:VfEKxZg80<> 乙 文章力はあるほうだと思うぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/12(火) 01:49:14.77 ID:KUij75lDo<> 乙!
超期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/12(火) 13:47:55.19 ID:ViLTPrE6o<> 厨二全開だな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/12(火) 14:04:36.32 ID:JzItHpxRo<> だがそれがいい <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:25:17.45 ID:JCavatmx0<>
ゴウン・・・ゴウン・・・ガタタアン。
(どうやら着いたみたいだな。)
エレベーターの扉が開いた先には乾いた地面と、人で満ちた客席。そして槍を持った男が立っていた。
(扉をくぐるといきなり闘技場の中とは・・・。ビックリだ。)
観客の多さに驚きはしたが、相変わらず恐怖はなかった。
刀を手にしたまま構えもせず、男は歩いていく。
男の余りの無防備さに勝利を確信したのか、槍を持った男がニヤリと笑って穂先を向ける。
("一突きにしてやるぜェ〜"ってな顔だな。まぁ舐めてもらったほうがやりやすいけど。)
観客のほうもだいぶ静かになっていた。選手の優劣が明らかに思えたからである。
(槍男に皆賭けてるんだろうな。)
男は刀を持った手をダラリと持ち上げ、槍男に向けて軽く揺らしてみせる。
なるべく派手に勝つために相手を挑発しているのだ。
こう見えて自己顕示欲の強い男なのかもしれない。 <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:25:55.81 ID:JCavatmx0<> そんなことをしているうちに、どんどん客席は静かになっていきそして
バァアアアン!!
試合開始を告げる音が響き渡る。
「ゼリャアアアアア!!」
槍男が自分に向かって突進してくる。
しかし男はその動きになんの脅威も感じなかった。
むしろ高翌揚していた。
命のやり取りをするのも、"刀"で誰かと戦うのも男には初めての経験だった。
それを楽しいと感じていた。
「――シッ!」
槍の一撃を体をそらすことで回避し、そのまま槍の穂先に向けて刀を一振り。
「ヒッ!?――しまっ」
動揺し、思わず身をすくませた槍男に向けて返す刃の一閃。
槍男の胴体を槍と腕ごと袈裟斬りに斬り飛ばした。
ボチャッ!―ベチャッ!―ガチャン!
男の体、そして槍の破片が地面に飛び散って転がった。
<>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:27:43.74 ID:JCavatmx0<> ――――ワアァァァァァァァ!!!
一瞬の静寂の後に歓声が訪れる。
(皆予想外に盛り上がってるな。実は俺に賭けてたってこと?)
首を傾げているとエレベーターの扉が開く音がして、それが自分の乗ってきたものだと気づく。
青いエレベーターの扉は閉じたままだ、次の選手が来るまで開くことはないのだろう。
エレベーターに乗ると、同席していた看守が布を手渡してきた。
これで刀を拭けとのことらしい。
彼の顔もまた、興奮を隠しきれていない。
エレベーターを降りてから、赤の控室に戻るまで、先ほどの看守と同じような表情の人達の傍を通りすぎ
る中で、男の高翌揚感はより強まっていた。
<>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:28:22.84 ID:JCavatmx0<> 控室に戻ると、3人の剣闘士たちがいっせいにこちらを見た。
その眼には明らかな警戒が宿っている。
(見られていたのか…?でもどうやって?)
三人を睨み返した後、監督者のほうを向き問う。
監督者は何も言わずにテーブルを指差した。
水の張られた盆が乗っている。
「―これは…」
盆の中の水に、先ほどまで自分がいた闘技場が映っていた。
槍男の死体はきれいに片づけられ、乾いた地面と観客だけが見える。
これを通して三名は自分の試合を見ていたようだ。
(―――――フン。)
それきり盆には目もくれず、看守が持ってきたであろう芋皿を手元に引き寄せ
食べ始めた。
<>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:29:34.74 ID:JCavatmx0<> ムシャ、ムシャ、ハグッ、ハグッ。
「―うまかった、ゲフッ。監督さん、どっか横に慣れる場所ないかな?」
「・・・、ほかの者の試合は見なくていいのか?」
監督者の問いに男は無言で返す。
「・・・そこの扉の奥に簡易ベッドがあるから使え。だが時間になっても起こしたりはしないぞ。時間ま
でに闘技場にいなければ当然不戦敗となり処刑されるからな。」
「了解したよ。」
ボリボリと頭を掻きながら仮眠室へと向かっていく、その背中には三人分の刺すような視線が注いでいた
。
Zzz Zzzz zzzzZ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「――――――――んあ?」
男は目を覚ました。
(口の中がベタついて気持ち悪い。水が欲しいな。)
フラフラと歩いて控室に向かう。
「監督さん、水貰えないかな。」
男に気づいて監督者が顔を上げる。
「いい時間に起きてきたなまったく。」
呆れ顔で言いながらもちゃんと水を用意して男に手渡す。
「ありがとう。」
―ゴキュゴキュゴキュ―
すぐに飲み干してコップを監督者に返した。
「ちょうど今、一回戦最後の試合があっている。見てみたらどうだ?」
盆の中の水が怪しく光っていた。魔術にてんで疎い男でも、それが魔術によるものだと分かった。
「こいつはアンタが?」
「ああ。で、見るのか?見ないのか?見ないんなら消すぞ。他に見る者がいないからな。」
そういわれて初めて男は自分と看守のほかに誰もいないことに気付いた。
<>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:30:10.56 ID:JCavatmx0<> 今戦ってるやつ以外は負けちゃったのか。こいつももうすぐ負けそうだけどなぁ。」
盆の中を指差しながら監督者に話す。
「そうなればお前はあと一回戦うだけでよくなる。まぁ、どの道そいつらは詰んでるのさ」
何の感慨もなさそうに監督者が呟く。
・
(そういえば…、そんなルールだったな。でも、そいつら?)
一回戦で赤と青の勝者が均等になればそのままトーナメント形式で続行するが、
どちらかに偏ってしまった場合偏った側でバトルロワイヤルを行い強制的に数を減らす。
当然片側が全勝した場合は4人でバトルロワイヤルをすることになる。
仲間意識や剣闘士同士で徒党を組ませないための策か、あるいはただのパフォーマンスか。
(まぁ、どっちでもいいよ。)
男は頬杖をついて盆の中を見つめている。盆の中の戦いはやがて決着した。
男の予想通りに赤の剣闘士は敗北した。
だが青側も無傷では済まなかったようだ。
ところどころに血が滲み、顔は苦痛にゆがんでいる。勝利の余韻に浸る余裕はなさそうだ。
おぼつかない足取りで青のゲートに向かっていく。 <>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:30:48.45 ID:JCavatmx0<> ―突然。
戦士がたどり着く前に青のエレベーターの門が開き、中から剣闘士が二人姿を見せた。
動揺して動きを止めた戦士に二人が飛びかかった!
ザシュ!ドスッ!
放たれた斬撃と刺突が傷ついた戦士の体を抉る。
その光景を盆越しに見た男が監督者に問う。
「バトルロワイヤル・・・こんなすぐに始まるとは思わなかったな。」
「そのほうがギャラリーは喜ぶだろう?サプライズというやつだよ。」
「―フン。」
・
(さっきそいつらって言ったのはそういうことか。)
確かに言葉通り、観客は沸いていた。
当事者でないからこそ楽しめるのだろう。
先ほどまで戦っていた戦士はもう全身が真っ赤だ。
諦めることなく戦う姿は立派なものだが、二人係で攻められ続けてはもう時間の問題だろう。
<>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:31:16.44 ID:JCavatmx0<> 「グァ――――」
やがて戦士は倒れ、地面を赤く染めた。
おそらく初めに打ち合わせていたのだろう。
戦士を倒すと即座に向かい合い、戦い始める。
一進一退の攻防が続き、次第に男の気分は白けてきた。
(もうどっちが勝とうが興味ないや。)
あくびを一つして、テーブルにうつぶせになる。
試合まで二度寝をしようというのだ。
Zz Zzz zzzZ zzzzZ
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「―い、起きろ。おい!」
誰かが乱暴に自分の体を揺さぶるのに気付き、嫌々ながら男は目を開ける。
「なんだよ。まだ時間じゃないだろ!」
「予定が変わった、ついてこい。」
「なんなんだよまったく。」
立ちながら顔だけを盆に向けて、気づいた。
さきほど戦っていた二人は、仲良く地面に転がっていた。
剣と槍が互いの急所を貫いていた。
(そして誰もいなくなる・・・か。)
納得を得た男はそれ以上は考えず、監督者の後に続いて部屋を出た。
(ラッキーだったな。)
敗れた者たちのことを思うものは誰もいない。
<>
◆fPmR0yprvo<><>2013/03/12(火) 16:31:44.10 ID:JCavatmx0<> 今回分はこれで終了です。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/12(火) 23:49:58.17 ID:ZIgPuol2o<> 乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/13(水) 05:12:22.01 ID:TK9JlyjrO<> おつんつん <>