◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:19:18.66 ID:CKruBT1j0<>このSSは一応大覇星祭が終わったらへんの物語にしています。
また注意事項としまして
○設定がちょっと無茶

○キャラ崩壊してしまうかも

○たまにご都合主義

○人によっては不快な表現が入ります。

となります。
あとスレタイ通り、一応上琴話しです。

ではがんばって書いていきますので、よろしくお願い致します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1354195158
<>美琴「……私、どうすれば……」上条「俺が守る」
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:20:00.69 ID:CKruBT1j0<> それは突然起こった。
なんの変哲もない朝、いつもと変わらない街。なにもかもがこれまでと同じように回っている。
でも唐突に、私は変わった。
私は、能力を失ってしまった。

__________________


ー常盤台 学生寮ー
7:00

美琴「ん〜!」


いつもと同じ、午前7時に起床。
目を覚ますと同時に、美琴はベッドの中で小さく伸びをした。
体を半分起こし、隣のベッドを見るとルームメイトの白井黒子の姿が見当たらない。
奥の浴室からシャワーの音が聞こえる。どうやらすでに起きて先にシャワーを浴びていたみたいだ。
とりあえずベッドから起き上がり、携帯を手に取る。あいつからの返信は来ていない。
少し不機嫌になりながら浴室の方に併設されている洗面台へ向かい、歯を磨く。すると黒子がシャワーを浴び終えたのか、美琴が起きたのに気付いたからなのか、突然浴室から出てきた。


黒子「あらお姉様、おはようございますですの」


黒子はあられもない姿のまま礼儀正しくお辞儀をした。その姿には恥じらいを微塵にも感じず、むしろ見せようとしている気さえする。


美琴「ファフファホフふらいふぁへふぉのふぁふぁ!」

黒子「お姉様、喋る前にそのお口に入れた歯ブラシをとってからにしていただけませんこと?」


黒子に指摘されてとりあえず口をゆすぐ。朝起きたあの口の中の嫌な感じが消えて、少しすっきりする美琴。
美琴が口をゆすいでいる間に黒子は下着をつけていたが、また新しい下着を着けていた。しかも上下紫ではあるが、それは下着の効果を果たしているのか? と疑問を投げかけたくなるほど透けていた。


美琴「あんたまたそんな下着買って!」

黒子「あら、いいではないですかこのくらい。それよりもお姉様の下着の方が、少々問題がおありでは? いくら少女趣味といえど、さすがにあのカエルのマークが入ってるやつは」

美琴「ゲコ太をバカにするなー!!」


自分の趣味、ゲコ太の両方をバカにされ美琴は憤怒する。電撃でも食らわせてやろうかと思ったが、寮内は能力使用禁止を思い出し、思いとどまった。先日罰をくらったばかりであまり騒ぎは起こしたくないのだ。
その代わり、殴ることにした。

黒子「おおおお姉様!? その硬く握られた拳をお納めになられて下さいまし!」


カツ、カツ、カツ
廊下から聞こえる音を二人は聞き漏らさなかった。この音は、紛れもなく……


ガチャ
寮監「なにか騒がしいが、問題でも?」


扉を開けて早々に寮監トレードマークであるインテリメガネの奥から二人を睨みつける。
二人はまるで蛇に睨まれた蛙のように身をすくめた。


寮監「……もう朝食の時間だ。早くしろ」


フーと二人で息を漏らす。
今日もなにも変わらない、なんの変哲もない1日が始まると、この時は思ってた。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:21:22.97 ID:CKruBT1j0<> ー常盤台中学校ー

黒子「全く、抜き打ち能力測定だなんて聞いていませんわ。まっ、だから抜き打ちなんですけども」

「記録、74メートル53センチ。指定距離との誤差21センチ、総合評価【5】」

黒子「ふん、まあそんなもんですわね」


今日は抜き打ちでの能力測定。なんでも、いついかなる時に能力を使う場面に出くわすかわからない対策として、たまに行うらしい。


黒子「さて、わたくしの測定も終わった事ですし、お姉様の測定でも見学に参りましょうか。そろそろ測定が始まってプールの水が吹き出る……ってあら? なかなか始まりませんのね」


ー常盤台中学 プールー

「御坂美琴さん、これより能力測定を始めます」


プール場のふちで、少し不機嫌な美琴がやる気なしに返事をする。
この測定でもっても、彼女は力をセーブしなければならず、あまり当てにならないからだ。


「それでは、開始してください」


研究員のアナウンスが飛ぶ。
美琴は一つため息をもらし、力を入れてプールを壊さないよう集中した。


美琴「はあ。ま、じゃあいきます。……ん!!」ビリ


……
何も起きない。プールの水は来た時と変わらず風に吹かれて水面が揺れているだけだった。


美琴「? 加減しすぎたかな」

「御坂さん? どうしました? 始めてください」


研究員のアナウンスが飛ぶ。催促されているみたいで少しムカついたが、早く終わらせるために今度はさっきより集中して力を込めた。


美琴「そーれ!!」


……
何も起きない。
いや、正確には能力が使えていない。


美琴「あ、あれ? おかしいな? えい! やあ! ちぇいさー!」


なんども試みるが、一向に電撃は出ない。
徐々に美琴の顔色が悪くなっていくのが見て取れる。
なんでなんでと連呼する美琴を様子がおかしいと気付いた研究員が止めに入り、抵抗する美琴を研究施設へと連れて行った。

__________________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:22:18.93 ID:CKruBT1j0<> 放課後

午後の授業に出席しなかった美琴を探す黒子の姿があった。
能力測定は中止、その知らせだけ聞いた黒子は美琴になにかあったのではないかと心配になり、躍起になって探していた。
探し始めること30分。この学園都市でたった30分時間を労せばお目当ての人を見つけられるのは黒子の能力による賜物だろう。
美琴は第七学区の「金を呑む自販機」として有名なあの公園にいた。


シュン
黒子「お姉様、探しましたわよ。いったい今日はどうなされたのですか?」

美琴「……」


返事が返ってこない。まるで黒子の存在に気付いていないかの様に目は地面の一点を見つめていた。


黒子「お姉様!? どうなされたのですの!? お姉様」


様子がおかしいとわかり、黒子は美琴の肩を揺する。
ようやく美琴も黒子に気付いたのか、力のない声で返事をした。


美琴「あ、ああ。黒子か……別にどうも……してないわ……」


しかし依然目は地面に向いていた。まるで黒子を見ないかの様に。いや、他のことを考える余裕がないかのように黒子には見えた。
黒子が心配そうにおろおろしていると、美琴は衝撃に事実を話した。


美琴「黒子、私……どうやら無能力者になっちゃったみたい……」 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:23:35.17 ID:CKruBT1j0<> 無能力者、レベル0、この学園都市では能力こそ全て、逆に能力を持たない者は落ちこぼれとして扱われてしまう。
黒子は美琴の言っていることが理解できなかった。それもその筈、御坂美琴はこの学園都市で7人しかいないレベル5、第3位の超電磁砲なのだから。
つい先日だってセクハラをした黒子自身に電撃を浴びせ、寮監に怒られたばかりなのだから。
黒子の目が泳ぐ。なんでそんなことに? と思っていると、察したのか美琴が説明してくれた。


美琴「私、元々はレベル1だったのは知ってるでしょ?」


黒子がゆっくり頷く。
美琴が元々レベル1だったのは有名な話しだ。数々のカリキュラムを経て、それこそ血の滲む様な努力の末、彼女はレベル5なる力を手に入れたのだ。
それ故、その話しは落ちこぼれの生徒たちに言い聞かせる場面が多々広げられる程、有名な話しだった。


美琴「私は、数々のカリキュラムを経て、無理矢理この力を手に入れたわ。……でも、それは結局後天性のもの……先天性のレベル5とは脳の作りが違うんだって。この意味わかる?」


美琴が落ちていた目を黒子に向ける。その目には深い闇と、絶望の色が加わっていた。


美琴「無理矢理にレベル5にしたせいで、脳がオーバーヒート起こしたみたいなの……許容範囲を超えていたみたい。まあ、こうゆうことは前例がないからただの仮説らしいけど、実際今の私には能力が使えない。しかも、後遺症で身体能力も並の女子中学生くらいらしいわ」


美琴が力なく笑う。なにがおかしいのか黒子にはわからない。そして美琴にもわからない。


美琴「それで、さっき理事長から直々に話しがきたわ。なんだと思う?」


黒子は首を左右にフルフル振るう。声を出す余裕もない。


美琴「退学……だってさ。そりゃあそうよね。常盤台中学はレベル3以上が条件。しかもどっかの大富豪お嬢様すら落とす実力主義。当然の結果だわ」


美琴はカバンからなにかを取り出すと、それには「転入届」と書いてあった。


美琴「だから私、明日には寮をでなくちゃ行けないの。黒子、あんたとあの部屋で過ごすのも今日が最後よ。明日は朝から引っ越しをして、明後日からレベル0か1しかいない中学に通うの」


美琴の目がうっすら赤くなる。でも決して涙は見せない。それは今まで慕って来てくれた後輩に最後まで強い姿を見せたかったからなのかは、黒子にはわからなかった。


美琴「……ま、そんなことだからさっさと帰りましょ! あ〜あお腹減った。今日で常盤台のご飯も最後だからお腹いっぱい食べなきゃね〜!」


無理して明るく振る舞ってる。それだけは黒子にもわかった。
自分を心配させまいとしている憧れの人の気遣いを無駄にしたくないのか、黒子も元気を取り繕った。


黒子「……ま、まあまあお姉様、そんな食い意地張ってましたらお姉様のそのプロポーションも崩れるのが時間の問題ですわね!」


うるさい!と頭を殴られ、いつもの感覚になれて少しうれしかったが、美琴のその拳に全く力が入っていなかったことに、黒子は人知れずショックを受けていた。



_______________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:24:42.39 ID:CKruBT1j0<> ー常盤台 学生寮ー

美琴「さっ! 荷物の整理はしたし、お風呂には入ったし! 後は寝るだけね!」

結局、あれから美琴は元気なままだった。いや、元気なふりをしていた。
目の前にいる後輩が常に悲しそうな顔をしていたので、美琴の性格上そうしてしまう。


黒子「お姉様……」


黒子が俯きながら呼んだ。


美琴「なによ。てゆーかなんであんたがそんなに落ち込んでるのよ」

黒子「だって、今日がお姉様との最後の日になると考えたら、黒子は……黒子は……」


黒子が肩を震えさせている。
きっと、今までずっと我慢してきたんだなと思わせるに十分な光景だった。


美琴「ば、ばっかね〜。学校や部屋が違うからって、今生の別れではないんだし……」

黒子「黒子は……黒子は……今日こそお姉様の純血を奪わせていただきますわー!!」グワー

美琴「やっぱりそれかー!!」グワシャ


襲いかかって来た黒子に美琴の渾身の右拳がカウンターで入る。


黒子「グフッ……さすがお姉様……能力がなくったってわたくしのことはお見通しですのね……ガクッ」

黒子が床にずり落ち、美琴はベッドの中へ入った。


黒子「お姉……様……お……姉……様」

美琴「……」

黒子「お姉……」

美琴「だーもう!! 今日だけよ!? 今日だけは一緒に寝てあげるわよ」

黒子が先ほどのダメージは無いかの様にむくりと起き上がるが、頭には「?」が浮いていた。


美琴「だから、今日だけは一緒に寝るの許すって言ってんの。ほら、おいで黒子」


美琴が掛け布団をめくり、黒子にきて良いよとジェスチャーする。


黒子「……そそそ、それでは失礼致しますわ」 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:25:38.80 ID:CKruBT1j0<> 二人とも布団に入ると、美琴は電気を消し、黒子には背中を向けて寝る態勢に入った。
それから何時間経ったのだろうか。二人は一言も話さず、ただただ目だけは開けていた。


美琴「……黒子、起きてる?」

ずっと沈黙だった美琴が話しかけた。
当然起きていた黒子は、背中を向けている美琴に返事をした。

黒子「はい……起きていますわ」

美琴「……ごめんね」

黒子「……なんで謝るんですの?」

美琴「私、もうあんたの憧れているレベル5の御坂美琴じゃなくなっちゃった。今は、ただの無能力者、レベル0」

黒子「……」


黒子は返事をせず、ただ聞いていた。


美琴「自分で言うのもなんだけど、あんたの憧れを私自身が壊しちゃった。……もう、これまでの様にお姉様なんて呼ばなくて良いのよ……」

黒子「……フフ」

美琴「なっ! なにがおかしいのよ!」


美琴がガバッと体を黒子の方へ向ける。
黒子の方を見ると、彼女は泣いていた。


黒子「フフ……グス。なんでわたくしがお姉様のことをお姉様以外で呼ばなくてはいけませんの?」

美琴「……」

黒子「お姉様が……グス、例え無能力者になろうとも……グス、黒子のお姉様はお姉様だけですわ」

美琴「……」

黒子「お姉様には……これまでたくさん助けて頂きました……グス、だから……今度はわたくしがお姉様を助けるんですの……」

美琴「……」

黒子「お姉様が危険な目にあったら……ヒッ、黒子が助けに参りますの……グス、それが、お姉様のパートナーとしての『露払い』ですわ……グス」

美琴「……黒子」

黒子「だから……ウグッ、だからお姉様……グス……そんなこと、そんなこと言わないでくださいまし……うううぐ、ヒグ、うっ」


言い終わると黒子は顔を涙でぐしゃぐしゃになりながら私に抱きついてきた。
その鳴き声は部屋の外まで聞こえているかはわからない。それくらい大きな声で泣いていた。だからちょっと、ちょっとだけ、私も泣いて良いかな? 今日くらい、良いよね?
……ありがとう、黒子……______。


二人は泣き疲れると、そのまま寝てしまった。
起きたとき二人とも目が腫れ上がっているもんだから大笑いした。
急いで寮を出る準備をして、門を出ると、黒子が先に待っていてくれた。


美琴「……行ってくるね」

黒子「行ってらっしゃいませ、お姉様」


風が冷たくなってきた。
そろそろ衣替えの季節かなと感じながら、美琴はこれからの生活に一歩踏み出す。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:27:30.38 ID:CKruBT1j0<> 本日分の投下は以上です。
遅くとも明後日までにはまた投下します。

皆様、今後ともよろしくお願い致します。
では。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/11/29(木) 22:30:18.61 ID:HVOjsvcT0<> 人によっては不快な表現って何  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/29(木) 22:34:24.74 ID:dMA9/ELa0<> 乙

今まで自分よりも上にいた人間がいきなり落ちこぼれたんだ
いろんな人間がいろんな反応するさ
ってことかな? <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/29(木) 22:35:12.39 ID:CKruBT1j0<> >>9
骨が折れるとか、そういう痛いのとかではないです。
あっ、あとエロとかでもないです。
ただ、それ言うとネタバレになってしまうので……
言うとすれば別にそんな過激なものは書きません。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/11/29(木) 22:36:09.05 ID:HVOjsvcT0<> とりあえず安心した <> アセロラ<>sage<>2012/11/29(木) 22:48:55.50 ID:P01jlh5Q0<> とある高校に来てほし〜
とか思っててたけどみこっちゃん中2じゃん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/11/29(木) 23:18:19.16 ID:vQ4JQLJqo<> 乙

過剰なキャラsageとかしない限りは問題ないと思うよ。
あと「こうゆう」じゃなくて「こういう」な。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/29(木) 23:44:27.17 ID:G/gqY4C/0<> 乙  
ひょっとしてダッシュ「―」は打てないのかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/29(木) 23:46:26.86 ID:wCcgy3z2o<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>Sage<>2012/11/30(金) 00:30:59.28 ID:TuGNEBLm0<> Wwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/11/30(金) 00:32:20.35 ID:D63DCE4T0<> >>17

笑えると思ってんの?sageもちゃんと出来ないくせに <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/30(金) 01:07:45.90 ID:5I4wpJnB0<> スレ立て乙です
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/30(金) 01:36:16.39 ID:HlfuBIFp0<> 乙だけど、
ぶっちゃけ、このパターンは、
鬱にせよ、そうじゃないにせよ、で尽くしてんのよね。。

途中で終わったの含めると20ぐらいあると思うよ。
難しいシチュだわな。。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/30(金) 16:13:57.46 ID:avR1pdyf0<> 打ち止めが気になるところ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:06:39.06 ID:iesIlStx0<> こんばんわ。

今日の分を投下しようと思います。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:08:50.69 ID:iesIlStx0<> 常盤台の寮を出た美琴は、新たに住む学生寮の前にいた。


美琴「……ぼろ」


それは学園都市にして珍しい木造アパートだった。
近代化しているこの都市でも、時たまこういった昭和の産物の様なものが混じっている。
2階へ上がるにはアパートの側面に取り付けられた、いつ底が抜けるかわからない錆びた階段がある。階段を登ると「トンテンカン」とこれまた如何にも昭和っぽい雰囲気をかもし出していた。

自分の部屋は階段を登ってすぐの部屋、云わいる角部屋ってやつだ。
最新式とは程遠いドアノブの鍵穴へ大家から預かった鍵をさす。鍵穴が錆び付いているのか、なかなか回ってくれない。5分程その場で苦戦すると、今までの苦戦が嘘だったかのように回った。どうやらなにかコツがあるようだが、それを掴むまで毎度この苦戦を強いられると思うとため息が漏れる。
部屋の中に入ると、玄関すぐに2畳程のフローリングキッチンがある。靴を脱ぎ、部屋へあがると床がギシギシと音がたつ。下の住人から苦情がきそうだなと思いつつ、奥の部屋へ入る。
奥の部屋は6畳一間の小さな部屋、収納する押し入れもなく、タンスを買わなくてはなにもしまえない構造だった。畳は所々にシミがあり、少しカビ臭い感じがした。
お風呂の方へ行くと、トイレも一緒に設置されていた。ユニットバスかと肩を落とす。

そうこうしているうちに、ドアの方から声がした。どうやら引越し屋さんが来たみたいだ。
元々荷物は少なかったので、運び終わるのにそう時間はかからなかった。強いて言えば、ベッドが中々入らず苦戦していたくらいだ。
気付けばすでに日は落ち、辺りはすっかり暗くなっていた。


美琴「明日から、学校か……どんな感じなんだろ……」


コンビニで買ってきたお弁当を食べ終えると、少し早いが美琴は眠りにつくことにした。


美琴「……畳にベッドってやっぱ変かも……」 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:10:00.21 ID:iesIlStx0<> AM 6:00

昨日の夜は早く寝たからか、常盤台の寮にいる時よりも早く目が覚めた。
のろのろとベッドから起き上がり、昨日コンビニで買ってあった菓子パンにかぶりつく。
ふと、これから自分が行く中学校はどこだったかと考える。なにせ一昨日と昨日は色々な衝撃やドタバタであまり細かいことは記憶にないのだ。
菓子パンを口に加えながら、カバンの中から転入届を探す。少しクシャクシャになっていた転入届のシワを伸ばしながら学校名を読む。


美琴「柵川……中学校?」


はて、何か聞いたことある中学校だなと考えると、重大なことを思い出す。


美琴「あっ!! 初春さんや佐天さんが通っている中学じゃない!!」


初春と佐天が同じ中学ということに、安心感と不安感が同時に押し寄せてくる。
これから行く未知の領域に、自分の知り合いがいる安心感。
今まで能力を失ってしまった自分へどんな反応をするのかの不安感。
なんとも言えない気持ちになり、口に加えている菓子パンを袋に戻し、とりあえず制服を着ることにした。
柵川中学の制服はセーラー服。今までのブレザーとの違いに少し戸惑いつつ、スカートの丈をまた短く調節する。
そして、例え能力を失っても変わらず、スカートの中に短パンを履く。
ふと時計に目をやると、いつの間にか出なくてはいけない時間になり、急いで準備をして家を出た。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:12:59.44 ID:iesIlStx0<> ー柵川中学校ー

AM 8:40

2年C組

ザワザワザワ……
男子A「おい聞いたか? 今日転校生が来るみたいだぜ?」

男子B「知ってるけどよ、なんでも元レベル5みたいだぞ」

男子A「うえ!? なんで元レベル5なんかがうちの学校に来るんだよ!? ……元?」

男子C「なんでも能力が使えなくなったんだとよ、んで今はレベル0の無能力者。」

男子B「でも元レベル5ってことは、どうせお高くとまってんだろうぜ」

男子C「高レベル者に、俺らの気持ちはわからないもんな〜」

男子A「あいつら、いつも俺らのこと見下してるもんな」

男子C「俺らにだって能力があれば……」

女子一同「……」


どこから拾ってきたのか、クラスは転校生の話でもちきりだった。
男子が白熱し女子が冷めた目線でそれを見ていると、いつの間にかHRの時間になっており先生が教室のドアを静かに開けて入ってきた。


女担任「はい、みなさん席に着いてください。今日はみなさんにお知らせがあります。我がクラスに転校生が来ることになりました」


男子たちがまたザワザワしだしたのを止めて、担任が廊下に待機しているであろう転入生を呼んだ。


女担任「はい。それじゃあ入ってきて下さい」


扉のガラガラと開く音がクラスに響き渡る程、クラス生徒は転校生を見つめていた。
入ってきたのは見目麗しく、化粧のいらない程度に整った顔立ち、そして肩まで届く短めの茶髪。身長は約160センチ前後と思われる女の子がいた。

女担任「じゃあ、自己紹介して」

女担任が言うと、少女はぺこりと頭を下げ、できるだけ明るく自己紹介を始めた。


美琴「初めまして。常盤台中学から来ました御坂美琴と申します! 能力は……レベル0です。よろしくお願いします!」

言い終わるとまたぺこりと頭を下げた。
クラスの生徒たちが美琴を見ながらヒソヒソと話しだす。実に嫌な雰囲気だ。


女担任「はいはい静かに!! じゃあ御坂さん、窓際の一番後ろの席が空いてるから、そこに座って」

美琴「はい」

美琴が教壇の隣から窓側に席に移動する際も、なにやらヒソヒソと話している。居心地が悪い。


女子A「……ウザ」ボソッ

美琴「(!?)」バッ

女子A「……」

美琴「(……? 気の、せいかな?)」

ガタっと席につく。窓からは外で体育をしているクラスがいる。
その中には佐天涙子と初春飾利の姿が見られた。


美琴「(あっ、初春さんと佐天さんだ……後で話しにでも行こうかな……それにしても、なんか居心地悪いな。なにをそんなヒソヒソ話してるんだろ……)」

女担任「はい、それじゃあこのクラスの1限目は私が担当だから、このまま授業に入ります。御坂さんにはいきなりで悪いけど、これから抜き打ちテストをします」

クラスから「え〜」っと大ブーイング。
もっとも、お陰でヒソヒソ話はなくなったので、美琴としては全く構わないだが。

____________ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage saga<>2012/11/30(金) 23:13:44.80 ID:gYqN4OVOo<> けどまだ、頭脳だけなら第三位だよな <> ◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:14:29.43 ID:iesIlStx0<> お昼休み

美琴は自分の席で1人ポツンと座っていた。


美琴「……結局、誰からも話しかけられなかったな……常盤台にいた時は必ず誰かしらには話しかけられてたのに」


席で菓子パンを頬張る。
というのも、学校の情報を全く聞いていなかったので、この学校に学食があるのか、売店があるのかわからなかったため、今日は持参したのだった。


美琴「……放課後は、私から声かけてみようかな……」


今まで常盤台からエースとして称されてきた彼女には、みんなから憧れの目で見られ、常に輪の中心にいた。
しかし今はただの無能力者、レベル0。自分から行かなくちゃいけないんだなと思い込んだ。


____________


最後のHRが終わり、それはこれから放課後を示している。
あるものはそのまま帰宅し、あるものは部活に取り組む。またあるものは能力開発に取り組むなど人それぞれの時間を過ごす。
美琴は立ち上がり近くにいた女子Aに、勇気を出して話しかけてみた。


美琴「あっ、あの女子Aさん? もしこのあと暇だったらちょっと校内を案内してもらえないかな? 私まだ来たばっかでよくわからなくて」

女子A「……あっ、女子B〜一緒に帰ろう〜!」


女子Aはこちらの声に気付いていなのか、顔をこちらにも向けず、ガタッっと席から立ち上がると教室のドアの方へ行ってしまった。


美琴「え? あっ、ちょ!」


女子Aは相変わらずこちらを向かず行ってしまった。


美琴「……気付かなかったのかな?」


自分の声が小さかったのか、気付いてないと思い込み、気を取り直した。


美琴「あの女子Cさ」

女子C「男子A〜一緒に帰ろう?」

男子A「え!? なななんで? ……あっ。……あ〜うん。じゃあ一緒に帰ろう」


あれ? また気付いてもらえなかった? 話しかけ方が悪いのかな? 
さすがに2回連続で気付いてもらえないと、少し違和感を感じ始める。
なんだろう、胸のあたりがザワザワする。
しかしその原因がわからず悩んでいると、ドアの方から「御坂さん」と呼ぶ声が聞こえた。


美琴「あ、初春さん! 佐天さん!」

佐天「御坂さん、ほんとにうちの中学に来てたんですね!」

初春「よかったらこれから一緒に帰りませんか? せっかく同じ学校になったことですし」

美琴「……うん! 一緒に帰ろ!」


美琴がこの教室にいるって知っているということは、なんで転校してきたか知っているということになる。
でも、美琴に対する初春と佐天の対応は、今までと同じものだったので、美琴は胸を撫で下ろした。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:15:43.44 ID:iesIlStx0<> 帰りの途中、屋台のクレープ屋があったので、美琴の柵川中学歓迎祝いということで初春と佐天が奢り、近くのベンチに座りながら雑談をしていた。


佐天「御坂さん、もう学校には慣れました?」

美琴「さすがにまだ慣れないかな〜まあ今日来たばっかだしね」

初春「そーですよ佐天さん! 御坂さんはなんたってあの常盤台中学から来たんですよ!? うちの中学みたいな凡人学校に慣れるわけありませんよ!」

美琴「……クス、別にそんなわけじゃないよ」


今日一日、いや昨日も合わせると丸二日、ほとんど人と会話していなかった美琴にとっては、このタイミングでの佐天と初春にはとても助けられた気分になる。


佐天「まぁそうですよね〜。あっ、じゃあ友達は? 友達はできました?」


美琴の肩がピクッと動く。
今日一日思い出してもちゃんと会話したのは佐天と初春だけ、ほとんど1人でいたのでそんなものできるわけなかった。


美琴「……友達は、まだできていないかな……ハハ。なんか避けられている様な気がして……」


美琴の話を聞いて佐天の顔つきが変わる。


佐天「それじゃあ、あの噂、本当に」

美琴「……え? うわさ」

初春「佐天さん!!」


美琴が聞き返すと同時くらいに、佐天の隣に座っていた初春が叫んだ。
すぐに佐天の耳にヒソヒソ話していたが、美琴にはその内容が聞こえなかった。
ヒソヒソ話が終わり、美琴に凝視されていることに気付いた佐天と初春は苦笑いを浮かべていた。


初春「いっ、いや〜なんでもないんですよ?」

佐天「そそそうです! なんでもないんですよ!」

美琴「でも私に関係のあることなんじゃあ」

美琴が言いかけたが、二人が自分に隠すってことは何かしらの理由があるのだろうと察し、それ以上言及するのはやめた。
それから沈黙が続き、三人はもぐもぐとクレープを食べ終えると、そのまま解散しようということになった。
帰り際、佐天さんがこっちに振り向き「何かあったら相談して下さい」と一言だけ言って、その日は帰宅した。


____________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:17:19.88 ID:iesIlStx0<> 翌日


美琴「(今日こそ誰かに話しかけなきゃ!)」


美琴は登校途中に昨日の事を思い出していたが、転校初日なんだから仕方がないと踏ん切りをつけていた。

学校に付き、自分の下駄箱を開け、上履きを取ろうとする。
がっ、そこには自分の上履きが入っていなかった。
昨日学校から出る時、ちゃんと入れたハズ。なんでなくなっているんだ?
一度下駄箱を閉じ、自分のところか確認する。しかしそこは間違いなく自分の所だった。


「クスクス」

「フフ」

美琴「(!?)」バッ

今、こちらを見て誰か笑っている気がしたが、見た方向には誰もいなかった。
その後、少し探したが結局どこにも見つからなかったので来客用のスリッパを勝手に拝借し、教室へ向かった。

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:18:18.92 ID:iesIlStx0<> ー2年C組ー

男児A「でさ〜あいつさ」

男子B「え〜まじかよ!」

女子C「アハハ〜ウケる!」

ガヤガヤガヤ

クラスに近寄ると、何を話しているのかまではわからないが色々な人の声がするので、もうクラスのほとんどがきていることがわかった。
上履きを探していたために、HR直前の時間になってしまったので美琴はクラスでも遅い方の登校になってしまったのだろう。


ガラガラ
美琴がドアを開けた瞬間、クラスのほぼ全員が美琴を見て静まり返った。
突然の静寂に美琴はびっくりしてしまい、その場で固まってしまった。


美琴「……おっ、おはよう」


なんとか美琴は言葉を発したが、その瞬間クラスの活気は戻ってしまった。


男子A「……でよ〜こいつがな!」

美琴「あっ……」

男子F「ちょ、お前その話はナシだってwwwwww」

女子D「あ〜女子Eもしかして前髪切った〜?」

女子E「え? わかる〜?」

美琴「……お」

女担任「そんな所に立っていないで中に入ってくれないか?」


美琴が教室の入口でもう一度挨拶をしようとした時、女担任がいつの間にか背後にいた。
時計を見ると8:40、もう朝のHRの時間だった。


女担任「ん? ところで御坂さん、なんで上履きじゃなくてスリッパなんだ?」

美琴「あ……それは……その」

「クスクス」

「フフフフ」

女担任「忘れたのか? ったく、明日はちゃんと持ってくるんだぞ? それに来客用のスリッパを使う時は一言伝えるように」

美琴「忘れたわけでは!! ……すいませんでした」

忘れたわけではないのだが、来客用スリッパを勝手に借りたことは申し訳なかったので、その場は素直に謝り、すぐ席につくことにした。


女担任「〜で、今日の連絡は以上になります。では、昨日に引き続いて今日もこれから私の授業なのでこのまま授業に入ります。あと昨日の抜き打ちテストも返しますので、名前を呼ばれた方は取りに来て下さい」


うわ〜という声が教室中から溢れる。
美琴は外を眺め、体育の授業を見ながら考えた。
みんなの態度が明らかにおかしい。でも、自分からは何もしていないのだから、その理由もわからない。
そうこう考えているといつの間にか名前を呼ばれていので、前へ行きテストを返された。
常盤台中学で勉強していたのだから、こんな中学のテストくらい美琴には容易く、当然の様に100点をとっていた。


女担任「はい、じゃあこれで全員分返したわね。それで今回のテストは平均点が57点とだいぶ低かったですよ。抜き打ちだからってあんまりです。」

男子B「でも先生〜抜き打ちで高得点を取ることの方が無理だよ〜!」

女担任「お黙り男子B! 今回の抜き打ちテストでは御坂さんが転校初日にも関わらず100点をとってるのよ!! そんなの言い訳にはなりません!!」


男子Bが舌打ちをする。
でもその舌打ちは女担任に向けられたものでなく、なんとなく自分に向けられた気がした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/11/30(金) 23:19:25.06 ID:83CmyiMWo<> サテンさんの裏切りはよ <> ◆kJm4mDjM06<><>2012/11/30(金) 23:19:31.64 ID:iesIlStx0<> 今日の投下は以上となります。

またよろしくお願いします。
では。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/11/30(金) 23:20:49.08 ID:JJguM/fH0<> 佐天さんと初春悪役かよふざけんな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/30(金) 23:29:52.71 ID:wjkzOaAy0<> 乙
さてはるが悪役って決めつけんのは早計やろ
実際、先輩にあまりよくない噂を先輩の前で言うなんてかなり勇気のいることだろうし

しかし、この美琴はもう学園都市から離れて美鈴さんと暮らした方がいろいろと幸せになれそう。
妹達や上条の事が無けりゃの話だが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage saga<>2012/11/30(金) 23:31:26.06 ID:gYqN4OVOo<> >>34
美鈴さん俺と暮らしてるから無理 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/30(金) 23:32:14.38 ID:qX0O3dWU0<> 乙  じっくり書いていってください  期待してます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/01(土) 00:04:18.68 ID:0A0Sy6E80<> 上条さんはよ来てあげて… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/12/01(土) 00:54:53.01 ID:t2b4JEoR0<> \(^o^)/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/12/01(土) 03:52:49.70 ID:Z1DJ2Lzpo<> 昔絡まれてるところを助けられた女子とか多そうだけどな
女子からモテる理由はレベル5だからってだけじゃないし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/01(土) 21:21:07.69 ID:gNFr9gVIO<> 木造って…佐天さんとこの寮とは違うとこあてがわれたんかね
レベル5の奨学金あれば高級マンションにだって住めるような気もするが <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:22:07.51 ID:/riNweD/0<> こんにちわ。
今日の分を投下します。

あと補足として
寮に関しては、佐天さんと違うとこです。
急な転校だったので、学校側が急遽用意したのがそこでした。
美琴は突然だったのと、寮を選ぶ気力がなかった

ってことで脳内保管お願いします(苦しい設定とか言わないで……)。

では投下していきます。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:22:58.78 ID:/riNweD/0<> お昼休み
美琴はまた1人で昼食をとっていた。
初春と佐天を誘ったが、初春はジャッジメントの仕事があり、佐天はクラスの子と食べる約束をしていた。
なのでもう一度クラスの子を誘うが、ことごとく無視。
理由はわからないが、もう自分は避けられているんだと確信していた。


美琴「(なんで避けられるんだろう……。……あっ、上履き探しに行かないと)」


上履きがないことを思い出し、探しに行く事にした。
しかしどこにも見つからず、半ば諦めかけていた。


美琴「もう、どこにあるのよ……」


もうお昼休みが終わる時間が近づいてきたので、最後に自分の下駄箱をもう一度覗いてみ事にした。


ガチャ
美琴「……あれ?


上履きは入っていた。


美琴「? 朝はなかったのに…」


不思議に思ったが、まぁ見つかったんだから問題ないかと思い、美琴はそのまま教室に戻った。



放課後
女担任「〜じゃあこれで帰りのHRは終わります。」


ワイワイガヤガヤ
男子A「おい今日帰りカラオケ行こうぜ」

男子B「この間言ったばっかじゃん」

女子H「ねえ今日これからプリ取りにいかない?」

女子C「ごめ〜ん今日彼氏とデートなんだ〜」


相変わらず誰も私に話しかけてこない。こっちから話しかけても全部無視。
なんでなんだろう。


美琴「」ムズッ

美琴「(……トイレ行ってから帰ろう)」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/01(土) 23:23:18.00 ID:KCPcCz+Z0<> こんばんは だと思います時間的に <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:23:59.58 ID:/riNweD/0<> ー2年女子トイレー

ガコン・ジャー
美琴「(初春さんと佐天さんまだいるかな? 一緒に帰りたいな)」


ガチャン
美琴「?」


用をたし、短パンを上げると、自分の個室ドアの向かいから何か音がした。
不思議に思い出ようとすると、ドアが開かない。


美琴「え!?」


ガチャガチャといくらドアノブを動かしても開かない。


美琴「ねえ! そこに誰かいるの!? 開けてよ! ねえ!」バンバンバン


ドアを何度も叩くと、ドアの向こうから笑い声が聞こえた。


「クスクス、それはちょっと多くない?」

「これくらい平気だって! キャハハ」


何の話しをしているんだろうと思いながら、それでもドアを叩く。
すると……


バシャン
美琴「……え?」ポタポタ


上からバケツ1杯分の水が降ってきた。続けてもう1杯、さらにもう1杯と計3杯降ってきて、美琴の全身は滝に打たれたかのように水が滴っていた。


美琴「……え? なに? なんで?」


美琴が混乱していると、ドアの向こうにいる生徒が大声で笑い出した。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:25:00.44 ID:/riNweD/0<> 女子A「キャハハハハ! なんか混乱してんだけどこいつ!」

女子B「『え? なに? なんで?』だって〜アーッハハハハ!」

女子H「ねえもっとかけようよ〜プククク!」


美琴は手をプルプルさせながらその会話を聞いていた。
だが怒っているのではない。
元々能力がなくなってしまい、精神が不安定だったためか、悲しみが美琴を襲っていた。


美琴「……なんで?」

女子A「キャハハハ……は?」

美琴「なんで……こんなことするの? ……私……あなたたちに何もしていないじゃない……」


美琴は震えた声で、必死に声を出した。


美琴「なんで……なんで」

女子A「ウザイからだよ」

美琴「え?」

女子A「ウザイからだって言ってんだよ!! この落ちこぼれ!!」ガンッ

美琴「ヒッ!?」


ドアを思い切り蹴られたのと、いきなり怒鳴られたショックで美琴はすっかり怯えてしまった。
普段の彼女ならそんなこともないハズなのだが、ここ数日のことで精神がズタボロになっていたのだ。


女子A「お前がレベル5だった。それだけで理由は充分なんだよ」

女子B「うちらがどんなにがんばってもがんばっても能力なんて一切発動せず、それでいてあんたらみたいなやつに比較されてきた気持ちがあんたにわかる?」

女子H「ってかさ〜今まで無能力者の私たち散々コケにしといて、いざ能力がなくなったらよくのうのうとこういう学校くるよね」


そう、彼女たちは美琴本人に恨みはない。
この学園都市に置いて能力を持たない事をコンプレックスにしている学生は多い。レベルアッパー事件がそれを物語っていた。
嫉妬。能力者たちへの嫉妬。ただそれだけ。このイジメにそれ以上の意味はなかった。
レベル5からレベル0になったやつを虐めてもなにも解決しないのは百も承知。それでも、レベル5だったという過去の事実だけあれば彼女たちの導火線に火をつけるには充分だった。
矛盾。しかしそんなものは虐める側にとってどうでも良いことであった。
当てようのない怒りを、嫉妬心を、学園の頂点だったやつにぶつけられる。ただそれだけ。


美琴「……私はそんな!」

女子A「アンタなんか存在しなくてもいいんだよ。頼むからもう死んでくれない?」

美琴「……」

女子H「お前なんかもう誰も必要としてねーんだよ。[ピーーー]」

女子B「[ピーーー]よ」


言葉の暴力が美琴を襲う。拳で全力で殴られるより、全力で蹴られるより、ずっと痛い。


カツカツカツ
女子A「あっ、やべ誰かきたよ! 行こ!」

女子B「言っとくけど、クラス全員徒党組んでるから誰も助けてくれないよ!」

女子H「プククク、ねえ帰りにプリとって行こ♪」

タタタタタ……

「あれは……?」 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:26:40.28 ID:/riNweD/0<> 美琴「……」


美琴はそのままふたのしてある様式の便器に力なく座り込むと、我慢の限界を迎え目から大量の涙が流れて来た。


美琴「……うっ……ヒグ……グスっ……なんで……私が……」


すると、ガチャン と何か倒れる音がした。
ドアを押してみると、すんなり開き、足下には扉を固定していたであろう棒が落ちていた


美琴「……うっ……?……ヒグ」


勝手に倒れたのであろうか、今は正常な思考をしていない美琴にはわからずトイレを後にした。

水が体から滴り落ちながら、美琴は廊下を歩いていた。
頭の中には先ほどのトイレのことが離れない。
存在しなくていい、必要ない
頭の中で駆け巡る。自分は必要とされていない人間なのかと納得しかける。
すると、前方の曲がり角から聞き覚えのある声がする。初春と佐天の声だ。
美琴は助けを求めようと駆け寄る。しかし、曲がり角付近になると会話内容が聞こえ、美琴は驚愕した。


佐天「でもあたし、御坂さんを虐める人たちの気持ち、わかるな」

美琴「(え?)」

美琴の胸が ドクン! と大きな音をたてる。


佐天「能力がないって、この学園都市ではある意味存在を否定されるようなことだからね」

美琴「(……)」

佐天「だから、虐めに加勢しないにしても、見てみぬフリはしちゃうかも」

美琴「(!?)」


美琴は佐天の言葉が信じられなかった。いや、正確には信じたくなかった。
脚から力が抜けて行く。今にもその場から崩れ落ちそうなほど。


佐天「それがレベル5なら、なおさらね」

美琴「……」

ダッ!
と美琴はその場から逃げた。今にも崩れ落ちそうな脚をふらふらとさせながら。
そのまま昇降口へ行き、靴を乱暴に履き替え全力で離れる様に走った。

美琴「(信じてたのに……信じてたのに……!!)」

走りながら涙がこぼれる。その涙のせいで視界がぼやけ、今自分はどこを走っているのか理解していないが、ただひたすらに走った。

____________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:27:50.99 ID:/riNweD/0<> 佐天「それが、あたしが御坂さんと知り合う前の考え方かな」

初春「ふむふむ、なるほど。佐天さんはそれだけコンプレックスを持っていたから、御坂さんと知り合った当初は距離を作ってたり、レベルアッパーに手を出したりしたんですね」


佐天は苦笑いをしながら初春の言葉に頷く。


初春「これで何か対策を練れそうですね! 明日にでも御坂さんに相談しましょう!」

佐天「本当はこれから話しに行きたいんだけどね。さっき電話かけたら繋がらなかったししょうがないか」

__________



カンカンカンカン! ガチャガチャ バタン!
家につくと扉を乱暴に閉め、カバンをそこら変に投げ捨て、濡れている体にも関わらずベッドへ倒れ込んだ。
部屋の中は相変わらずカビ臭かったが、そんなのはもう気にならなくなっていた。


美琴「ヒグ……佐天さんも……初春さんも……ウグ……私……嫌われてた……ヒンっ」


今日一日でいったいなにがあったんだろう。それすら思い出せないほど混乱していた。
ただ、自分は本当に誰からも必要とされていない、いらないんだと、友達だと思っていた人たちにもそう思われていると思うと、涙が止まらなかった。


美琴「グス……私って……必要ないんだ……能力がなくなったから……存在価値がないんだ……」

思考回路がまともじゃない。でも、そうとしか考えられない。
今まで自分を支えてきた物が急になくなり、周りの態度が激変すると、人はこんなにも脆くなる。


美琴「誰か……助け……」

ふと、脳裏にあの夜を思い出す。
『今度はわたくしがお姉様を助けるんですの』

美琴「……黒……子……黒子!!」


美琴が急いで携帯を出す。
しかし先ほどの水で携帯が浸水し、使い物にならなかった。
では直接と思い、玄関のドアノブに手をかけると、またあの夜を思い出す。

『だから……ウグッ、だからお姉様……グス……そんなこと、そんなこと言わないでくださいまし……うううぐ、ヒグ、うっ』

美琴はドアノブから手を放し、その場にへたり込む。


美琴「ダメ……これ以上……黒子には心配かけられない……」


信頼している黒子だからこそ、そして、一番に慕ってくれた後輩だからこそ、これ以上の心配はかけたくなかった。
美琴はその夜、一睡もできずに朝を迎えた。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:29:07.81 ID:/riNweD/0<> 次の日
登校中、美琴は何度も寮へ帰ろうとした。
学校に行きたくなかった。また辛い思いするだけ。
しかし心のどこかで、今日はもしかしたら違うかもと期待をしてしまう。
あんなのは昨日だけ。変な夢だった。
一睡もせず、悲しみに暮れた美琴の脳は現実逃避をし、結局学校へ行く事を選んだ。
そして、教室に入ると昨日の事が現実だったと思い知る。


美琴「な……に……これ」


そこには、美琴の机にひたすら罵詈雑言が刃物で削られ書かれていた。
消えろ、帰れ、迷惑……様々な事が書かれており、美琴も全てを読む事ができなかった。
足下には紙切れがたくさん落ちている。よく見ると教科書だ。そして、その一枚に「御坂美琴」と自分で書いた字があった。
その場で立ちすくんでいると、誰かが「帰れ」と一言言った。
その言葉を皮切りに、クラス中が一斉に合唱しだす。

「帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰レカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレカエレ」


美琴は状況が理解できず、ただそのクラス全員の言葉は自分に向けられた物だとわかると、その場から逃げ出す様に学校を出た。


美琴「ハァハァ……なによあれ……」


カンカンカンカン! ガチャガチャガチャ バン!
美琴「なんなのあれ……怖い……よ」

美琴「……なんなのよ……なんで……なんで……なんでなンデナンデ!!!!!」


そして美琴は、寮からでなくなった……――。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/01(土) 23:30:40.19 ID:/riNweD/0<> はい
ということで今日は以上です。

では皆さん、またよろしくお願いします。
では。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/01(土) 23:31:43.76 ID:KCPcCz+Z0<> 不快な描写っていじめ描写かよ不快だわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/01(土) 23:49:44.46 ID:75Gs9ZS7o<> 俺「やめるんだ君達(キリッ)」
美琴「素敵!抱いて!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 00:03:46.51 ID:M7xFxlbF0<> 縺雁燕縺後d繧√>wwwwwwwwwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 00:06:30.54 ID:M7xFxlbF0<> 縺雁燕縺後d繧√>wwwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 00:19:50.92 ID:c/d+9wiDO<> >>49



こいつら(クラスメイト等)全員上条さんのそげぶ刑決定だな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 00:23:11.01 ID:BSgsbEwY0<> 乙
佐天さんが悪い子じゃなくてよかった
>>50
その分カタルシスが期待できるって訳よ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 01:21:50.97 ID:oymZglEk0<> このパターンか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 02:12:55.70 ID:iR7K36Ago<> レイプはよ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 03:22:53.63 ID:6HNZXTy80<> 皆殺しパターンは久々だなー(ちらっ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/02(日) 09:37:38.33 ID:XqxsFUMR0<> 乙ー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage <>2012/12/03(月) 17:15:23.03 ID:NRqkn37W0<> >>51 上条さんそこはゲンコロだろww とりあえず上条さんはよ来い <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/04(火) 18:41:39.12 ID:ZO/i1Lf40<> お久しぶりです。
最近忙しくて投下できませんでした。

今日も書き溜め少ないですが投下します。
よろしくお願いします。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/04(火) 18:42:57.26 ID:ZO/i1Lf40<> 5日後

初春と佐天は美琴がいつもいる壊れた自販機の公園にいた。ここにいれば、美琴に会えるかもと思っていたからだ。
しかし、美琴は現れない。
二人は4日前から放課後になると、ここに来るようにしていた。

__________________

最後に会ったのは美琴が転校してきた初日。
転校2日目は、美琴と連絡が取れず会えなかった。これから美琴の身に何が起きるであろうか知らせようとしていたのだが、連絡が取れず、次の日にしようと楽観視してしまった。
そして転校3日目、相変わらず美琴と連絡が取れなかった二人は、さすがに心配になり放課後に美琴の教室へ迎えに行く。
御坂さんいますかと尋ねた瞬間、上級生たちが一斉にこちらを向き、その目は鋭く、まるで親の仇を見るような目つきで睨めつけた。二人は一瞬なにがあってそんな睨まれてるのか理解できず、教室の入り口で立ち往生している。そして数秒経つと1人を皮切りに笑い出し、女の先輩が二人を美琴の机の方へ案内した。

そして、知った。

美琴がすでに虐められていることに。転校してそんな早々に動くと思っていなかった。
前日の、「次の日に相談しよう」という楽観視が恨めしい。
二人の知らないところで、ことは始まっていた。
机の前でただ俯いていると、周りから「女子A」と呼ばれている人が近寄ってきた。
女は鋭い目つきで、ダルそうに髪を掻きあげながら言った。


女子A「あいつ、今日来てないのよね〜。あんたたち、なんでかわかる? クスクス これ以上この件に深入りすると、あんたたちも巻き添えくらうかもしれないわよ?」


周りを見ると、まるでこれから食べられてしまうのではないかと錯覚するほどの目線が自分たちに集まっていたことに気がつく。
初春はスカートのポケットからゴソゴソと腕章を取り出し、それを腕に巻いた。


初春「あなたたち! 私はジャッジメントですよ! こんなこと、ただで見逃すと思ってんですか!?」


言いながら、佐天の前にグイッと出てきた初春の目に力が入る。
しかし、それでもクラスの態度は依然としていた。


女子A「ハッ。証拠でもあるのかい? あたしたちがやったっていう証拠がさぁ!」


初春がたじろぐ。確かに現行犯で見たわけでもないし、まだ恐喝や脅しをされたわけでもない。
今ここで捕まえるには証拠不十分すぎる。
佐天が後ろで歯噛みしているのを感じる。


女子A「あんたみたいな落ちこぼれジャッジメントが調子に乗るんじゃねぇよ。わかったら二度とこの件には関わるな。あたしたちが頑張って見つけてあげるから。御坂美琴ちゃんのた・め・に・も♪」


クラスから再び笑いが起きる。
あるものは「俺も協力するぜ〜」
またあるものは「私も私も〜プククク」
その言葉にはまるで苛立ちを起こさせる言霊を乗せたかのように、初春と佐天の心に深く突き刺さる。
二人は上級生たちを押しのけるようにクラスから飛び出し、全力で美琴の現在住んでいる寮へと向かった。
<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/04(火) 18:44:19.80 ID:ZO/i1Lf40<> 美琴の寮の前について、初春と佐天は目を合わせ、一度深呼吸した。
そして如何にも昔ながらのチャイムを押す。
……
しかし反応しない。いないのか?
もう一度押す。
……
また反応しない。
しかし、二人は確かに聞いた。ドアの向こうで「ミシ」っと床が鳴る音を。
美琴は中にいる。
二人はドアを叩きながら美琴の名前を呼んだ。


佐天「御坂さん! あたしです! 佐天涙子です!」ドンドン

初春「私も! 私もいます御坂さん! ここを開けてください!」ドンドン


周りの住民が扉を開けてこちらを見てきた。
しかしそんなのはお構いなしに、いや気付かず二人は美琴を呼ぶ。
すると、ドアの向こう側で誰かがドアに寄りかかった感じがした。


佐天「みっ、御坂さん!」

美琴「……でよ」

初春「え?」

美琴「来ないでって言ってんのよ! 信じてたのに……。もう私に関わらないで!」


ドアの向こうで、美琴が部屋の奥へ走っていき、微かにすすり泣く声が聞こえた。

__________________

それから、二人は放課後になると毎日この壊れた自販機のある公園により、何かを待っていた。
美琴が外に出るのを待つように、なにかないかと、希望はないかと待ち続けていた。
夕焼けが二人を染め、初春の目からはオレンジ色の雫が垂れ始めた。


初春「私が……私がクレープを食べている時、佐天さんを止めなかったら……きっと……」

初春はあの時佐天を止めたことを後悔していた。
もしあの時止めずにいたら、美琴はなんとかなったんじゃないかと思っていた。


佐天「初春のせいじゃないよ! あの時は初春の言うとおり、まだ確証はなかった。単なる噂で、御坂さんをいたずらに怖がらせるだけだと、あたしも納得した。……だから、初春だけのせいじゃないよ」

初春「……でも、寮の前まで行っても御坂さんは全く相手をしてくれない。返事すら……」


初春は言葉を詰まらせ、佐天も黙ってしまった。
二人の気持ちとは裏腹に、夕日はどんどん燃えていく。とても紅く、とても眩しく。


初春「佐天さん…グス……御坂さん……、もしかして……もう……ヒグッ」

佐天「初春!! 御坂さんに限ってそんなこと……そんなことな」

「御坂って、御坂美琴のことか? 常盤台の」

佐天「え?」


そこには、いつの間にいたのか。いや、自分たちが話しに夢中で気付かなかっただけなのか。
ツンツン頭の高校生と思われる少年がいた。身長は160センチ後半、ダルそうにカバンを持ち、もう片方の手は制服のズボンのポケットに突っ込んでいる。夕日をバックに立つその少年は、影でハッキリとは見えないが、真剣な顔つきでもう一度聞いてきた。


上条「御坂って、常盤台の御坂美琴か? ……あいつに、何かあったのか?」

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/04(火) 18:46:27.05 ID:ZO/i1Lf40<> はい。
申し訳ないですが、今日はここまでです。

明日か明後日にまた書きに来ます。
その時にはだいぶ進展させるつもりですので、よろしくお願いします。
では。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/04(火) 18:46:55.64 ID:2Kgo9qN+0<> やっときたか上条!
さっさと御坂救え <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/04(火) 18:47:23.45 ID:2Kgo9qN+0<> >>57

死にさらせカスが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/04(火) 19:20:08.27 ID:pcWerD2IO<> >>66
あん?やんのか?お? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/04(火) 21:36:55.98 ID:eW6PYi6DO<> >>64
乙!


ついに幻想殺しと超電磁砲が交差するのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 00:23:34.67 ID:Zq+P6Pus0<> やっときたよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 00:40:38.12 ID:rzSmC4Puo<> 乙でした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 11:13:31.21 ID:7rygkLNmo<> 縦に並んでもらって一人ずつ順番にそげぶや! <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/05(水) 21:27:57.65 ID:ftE3juqM0<> こんばんわ。

それでは今日の分を投下します。

よろしくお願いします。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/05(水) 21:29:32.00 ID:ftE3juqM0<> 上条は全力で走っていた。
それは野良犬に追い掛け回されているからでも、スキルアウトに追いかけられてるからでもない。
先ほど公園で会った、佐天涙子と初春飾利という女の子たちから御坂美琴のこれまでの経緯・現状を聞いたからだ。


上条「(あいつが、能力を無くした!? そんなことがあるのか?)」ダダダダッ


夕方の学園都市は、放課後ということもあり、人で溢れかえっている。それこそ街中を全力で走れば曲がり角などで人に当たったりする。
不幸体質の上条は曲がり角の度に誰かと当たったり、赤信号にぶつかったりしてしまう。


上条「(……いや、今はそんなことより重要なのが、御坂がもう5日間も家から出ていないってことだ。しかも呼びかけても返事がない……まさか御坂に限って……そんな訳あるか! あいつは今きっと誰も信用できない状態でいる)」ダダダダッ


最後の角を曲がり、美琴の現在の寮が見えてきた。
これまでの常盤台学生寮とは正反対の、ボロボロの寮。上条より厳しい生活を強いられそうなその家に、御坂美琴は1人でいる。


上条「(だったら、救いだせば良い。闇の中から、あいつを引っ張り出せば良い!……御坂の……一人ぼっちの世界なんて幻想は、俺がぶち壊す!!)」 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/05(水) 21:30:50.25 ID:ftE3juqM0<> カンカンカンカン
と古びた階段を登って一番手前の部屋、彼女はそこにいる。
切れた息を整え、上条はまずチャイムを押す。
……
話しに聞いていた通り、やはり反応がない。
軽くノックをし、上条はドアに向けて喋った。


上条「……御坂。俺だ、上条当麻だ」


ガタン
とドアの向こうの部屋で何か物音がした。
その音で、美琴はまだ生きていると感じ取った上条は安堵の息を漏らすが、再度気を張る。


上条「なぁ御坂。話しは聞い」

美琴「来ないで!!」


上条がドア越しに話しかけようとした途端、ドアの向こうから悲鳴にも似た叫びが返ってきた。


美琴「なにしにきたの? あんたも私をバカに、虐めにきたの? 私がレベル5じゃなくなったからって、みんなして態度変えて!!」

上条「みっ、みさ」

美琴「ほっといてよ!! どうせアンタも私のこと見捨てに来たんでしょ! ならいいわよ!! もうわかってるから!! 私は誰にも必要とされていない!! レベル5の御坂美琴はもういないの!!」

上条「おっ、俺は」

美琴「もう!!……楽にさせて……。どうせ私なんか誰からも必要とされない……学園都市からも、同じレベル0の人たちからも……だから……もう」


チキ……チキキキ
美琴が言い終わると、中から何かの音がする。
なにか、元々ストッパーのついてた金属を出すような……ストッパー、金属。
上条の脳裏に嫌な予感が走る。
その瞬間、上条は美琴の部屋のドアを蹴り飛ばした。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/05(水) 21:33:44.07 ID:ftE3juqM0<> ガンガン……バタン!
上条「御坂!!」ドタドタ


部屋の中は暗く、フローリングキッチンの奥に美琴の影が見えた。
玄関入ってすぐのところで、ミシミシと床がなる。
カーテンも閉められ、電気もつけていない。夕日はすっかり落ちて、外からの電灯の光がカーテン越しにうっすら入っている。

急いで奥の部屋に行くと、上条は絶句する。そこには確かに御坂美琴がいた。
右手にはカッターを持っている、そしてその刃は左手首に当てられており、いつでも動脈を切断できる状況だった。
しかし、上条驚いたのはそこではない。もちろんそれも驚いた要因の一つではあるが、それよりも衝撃を受けたのは美琴の変わり様だった。
美琴の特徴でもある肩までかかる短い茶髪の髪はボサボサに放置され、傍目からでも髪が傷んでいるのがわかる。力なく瞼を上げているその目の下には、一体何日寝ていないのかわからない程の大きなクマ。肌はみずみずしさが感じられず、唇は割れている。元々細身だったその体は、更に細くなっている、いや正確に言うと細くなったというプラスの観点ではなく、痩せこけている。
たった5日間でこんなにも人は変わるものなのか?

美琴の虚ろな目がこちらに向いている。
その目には全ての物が敵に見えているのか、体をガタガタと震わせ、口はガチガチと歯が連続で当たる音がする。
怯えている。


上条「み……さか?」

美琴「嫌!」


上条が一歩近寄ると美琴は咄嗟に叫んだ。


美琴「アンタも! アンタも私を裏切るんでしょ! いらないんでしょ! 今、今いなくなってやるから黙ってて!」

上条「!?」

美琴「どうせ私は必要のない人間! せっかく努力してレベル5までなったのにそれも全部パア。もうこのままいても辛いだけ。もう……良いでしょ……?」


美琴の右手に力が入ってるのがわかる。ちょっと動かすだけで美琴はもう動かなくなるのだということが容易に想像できる。
上条は咄嗟に美琴のもとへ走り、彼の右手が美琴の右手を掴んだ。


上条「……なにしてんだよ」


美琴が驚いた表情で、焦点の合っていない瞳が動く。


美琴「……」

上条「なにしてんだって言ってんだよ!」


上条の怒気を帯びた声に、美琴は身体を硬直させる。
次第に、その目には涙が溜まり始め、上条から視線を外した。


美琴「……なの」

上条「え?」

美琴「アンタだけには、嫌われたくないの!!」


言い放つと同時に、美琴の目に溜まっていた涙が溢れてきた。


美琴「もう……いや……。能力が使えなくなって……学校を追い出されて……転校先では恨まれて……友達だと思ってた人たちからは裏切られて……」

上条「……」


美琴の声がだんだん弱くなる。必死に絞りだすかのように、震えた声は続いた。


美琴「誰からも必要とされなくなった……。私のこれまでやってきた努力は、水の泡となった……。その上、もしアンタにまで見捨てられたら……もう私……私……」

上条「……俺は見捨てねぇ」

美琴「……え?」
<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/05(水) 21:36:26.39 ID:ftE3juqM0<> 美琴はゆっくりと上条の方へ目を向ける。
少年の目は、真っ直ぐに美琴の瞳を見ている。逸らす事なく、バカ正直に、真っ直ぐと。


上条「俺は、お前を絶対に見捨てたりなんかしねぇ!」

美琴「……」

上条「俺が今までお前をレベル5だからって、能力者だからって特別扱いしてきたか?」


美琴は黙ったまま首を横にふる。


上条「違うだろ。俺はお前を、1人の人間として、1人の女の子として、そして御坂美琴として接してきた……そこに嘘偽りはねぇ!」

美琴「(……あぁ、そうだ)」

上条「お前の周りがどう変わったか、俺は見てねえからなにも言えない」

美琴「(こいつだけは、ずっと私を……)」

上条「だけど、俺にとっての御坂は、なにがあっても御坂だ!」

美琴「(こいつだけは、対等に……)」

美琴「……でも……」


微かな光を胸に、最後の力を振り絞って、光に手を伸ばすように、美琴は言った。


美琴「……私、どうすれば……」

上条「俺が守る」


能力がなくなり、学校を追い出され、転校した先では妬み恨み嫉妬の対象とされ、友達だと思ってた人からは信じられない会話を聞き……


美琴「……ヒグッ…………グスッ」


心がボロボロになり、誰も信用出来ない。
誰もいない暗闇に堕ちていく。


上条「何があっても俺が、俺だけは御坂を守る! 絶対に!!」

美琴「……グスッ……う……ん……ヒグッ……ウッ……」


けど、また救いに来てくれた。
彼が、この右手で、暗闇の中から私を救ってくれた。
あの時みたいに……暗い暗い絶望の淵から、私を引っ張ってくれた。


美琴「……ウッ……ヒグッ……来るのが遅いのよ……バカ……グスッ」


ふわり、と上条の両手が美琴を正面から包みこむ様に抱きしめる。
まるで母親が赤子を抱きしめるように、それ程までの優しさで美琴を包みこむ。
もう枯れたと思っていた涙も、止めどなく流れる。
美琴は、彼の腕の中でただひたすらに泣いた。
自分の気持ちを確かめる様に。
そして、押し寄せているこの気持ちを整理するかのように、顔を彼の胸に押し当てて……。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/05(水) 21:38:51.47 ID:ftE3juqM0<> はい。
ってことで今日は以上です。
一回目の山場でした。

また書きためられたらすぐにきます。

あと皆さん。レスありがとうございます!
読んでくれている人がいてとてもうれしいです!

では。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 21:40:10.73 ID:+ChQSZ8d0<> まだ山場あるのか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 21:41:07.74 ID:bRMdZftk0<> 乙

最近の中学生のことはよくわからんけど虐め方が子供のそれと言うより会社でのそれな気がしてきた
そしてさすがに頼りになるね当麻兄さん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 21:53:35.13 ID:PYB/Sfiqo<> 乙

元とはいえ、レベル5時代の人脈というか知り合い考えたら、リスクの高すぎるイジメだなぁ

ヤクザの息子イジメるみたいなもんで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 23:15:08.07 ID:+StoCGaG0<> 御坂は風紀委員にも暗部にも関わってないから
ぶっちゃけ佐天グループと上条だけじゃない? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/05(水) 23:16:48.46 ID:ZwmSTv34o<> >>40
こんごーさんがおるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/05(水) 23:17:18.50 ID:ZwmSTv34o<> >>82
ワケのわからん安価してしまった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 23:20:29.15 ID:yIEkqu9AO<> >>79
その人脈もみんな途切れた(と思ってた)んだからつらくね
ヤクザの娘ってのは納得だが。旅掛さん的に考えて。あとお粥あたりがいじめっ子を解体してそうでこわい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/05(水) 23:20:38.97 ID:PYB/Sfiqo<> >>81
黒子はジャッジメントとしては有名でなかったっけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/06(木) 01:25:26.85 ID:W3Hpji+Mo<> 美琴の世話になった常盤台生も多いだろうし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/06(木) 11:54:30.21 ID:DFkcdH6to<> 乙でした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/06(木) 12:30:57.64 ID:Vd0OSY9Eo<> 金のパワー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/08(土) 07:44:00.83 ID:D2XdomwK0<> あれ、おかしいな……目から汗が……
>>1乙です
続き楽しみに待ってます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/12/11(火) 20:44:57.15 ID:kAUIU80E0<> これは悲しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/15(土) 22:24:49.96 ID:Sbo9g3VJ0<> いつまでも待ってますよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 06:03:44.79 ID:KYMwYpQQo<> おい第一位なんとかしてやれ(無責任) <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:16:49.75 ID:R692kgUR0<> こんばんわ。
お久しぶりです。

最近忙しくてなかなか来れませんでした…すみません…
少し書き溜められたので、久しぶりの投下をしようと思います。

それでは、よろしくお願いします。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:18:40.25 ID:R692kgUR0<> 御坂の部屋に来てから、何時間が経っただろう。
いや、実際はまだ1時間も経っていないかもしれない。
外の電灯の明かりだけが部屋を灯し、彼女は今も俺の腕の中で泣いている。
どれほど寂しかったのだろう。
どれほど悔しかったのだろう。
あんな気が強くて、俺に会うといつも電撃を飛ばして、でも同年代の女の子には優しくて、みんなに慕われて、そんな御坂美琴がこんなにもボロボロになっている。
妹達の時とは違う。今回はきっと最初から助けを求めてた。でも、誰も助けなかった。
そして御坂は、心を閉ざし、1人でいることを望んだんだ。

上条はそんなことを考えていると、自然に腕に力が入る。
ギュッと抱きしめると、それに反応してか、美琴も抱きしめ返す。


上条「(……こいつ、こんな素直だったっけ?)」


以前の美琴にこんなことしたら、迷わず電撃が飛んでくるだろうと、本当に能力が使えなくなったんだなと客観的に感じる。


美琴「……」


少し嗚咽がおさまってきたみたいだ。
しかし依然として美琴は上条の胸に顔を埋めたまま動かない。
まだ少し泣いているのか?
上条が美琴の頭の方へ顔を近づけ、覗き込もうとすると

バッ!!

と美琴が突然顔を上げた。

美琴「……」

上条「……」


美琴も上条がこんなに顔を近付けていると気付かなかったらしく、二人の顔面距離およそ10cm。
相手の顔が認識できない距離。身体が誤作動を起こせば唇同士が当たる距離。
二人は固まる。


上条「……」

美琴「……」

上条・美琴「「………………」」ボンッ


不意な接近に二人の顔が真っ赤になる。
しかし近すぎてお互い真っ赤になっていることは見えていない。
がっ、美琴の目が高速に泳いでいるのはよくわかる。


上条「みっ……御坂……」

御坂「……ななななに!?」


上条の目が真剣になる。
この至近距離からそんな真剣な目をされて、いったいなにが起きるの!?
と脳内で軽くパニックになりつつゴクッと生唾を飲み込む。
話したら唇が当ってしまいそうな距離で、上条は言った。


上条「お前……ちゃんと風呂入ってるか?」


ゴン!! っと上条の顔から鈍い音が木造の部屋に響くと、美琴はすぐ様ユニットバスへ直行した。
部屋の奥、キッチンの隣からシャアーーーとシャワーの音が響く。


上条「ふ……不幸だ」

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:20:19.77 ID:R692kgUR0<> 服をスルスルと脱ぎ、隣に置いてある洗濯機へ投げ込む。
丸裸の状態でキッチンの間に立っているといつ奴がくるかわからない。洗剤の分量など気にせず急いで洗濯機を動かす。
シャワーから流れ出るお湯の温度を確かめつつ、頭から受け止める。
実に4日ぶりのシャワー。なぜ今まで浴びていなかったのか不思議なくらい気持ち良く感じる。


美琴「ったくあのバカ! なんであのタイミングでそんなこと言うかな! 確かに今までもうどうでもよくなって2〜3日シャワー浴びてなかったけど……」


美琴は1回目のシャンプーでは泡立たなかった髪を一度洗い流し、もう一度シャンプーで洗う。


美琴「……でも、また助けてもらっちゃったな……」


顔を洗い、歯を磨き、身体を洗う。


美琴「どう御礼しよう……」


身体を全て洗い、清潔になった身体。
そして美琴は一つ思い出す。


美琴「あっ!……バスタオル……持ってくるの忘れた……着替えも……下着も……全部あっちの部屋だ」


現在着替えやタオルを置いている向こうの部屋には奴がいる。つまり……取りに行けない。


美琴「(どどどど〜しよ〜!)」


必死に考えるが頭がうまく回らない。
どうするどうするとばかり頭の中で呼応する。


美琴「(どうする!? あいつに持ってきてもらう!? いいいいやそれだと下着を見られることに!! じゃあさっきまで着てた服は!? あぁ洗濯機もうかけちゃってる!!)」


シャワーの音が止んだのに、なかなか中から出てこない美琴に、何かあったのかと少し不安を持つ上条。
ユニットバスの扉の前まで行き、スモークガラスになっているその扉には、うっすら誰かがいることがわかる。そして、それが裸であるということもうっすらと見える肌色から感じ取れる。


上条「(ブッ!! みみみ御坂の裸がなんとなく映しだされてる!?)」


外からうっすらと見えるということは、当然中からも外の様子がうっすらとだがわかる。
つまり、美琴も上条に気付く。

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:21:27.31 ID:R692kgUR0<> 美琴「!?……ななななんでアンタがそこにいるの?」

上条「!? いいいやけして覗こうとかそんなのはなく!! 上条さんはただ中々出てこない美琴センセーになにかあったのかと!!」


扉越しに会話をしているが、今美琴は裸でいる。
そのことに、少なからずの興奮をしてしまうのは男子高校生としての悲しい性であるか。


美琴「と……とにかく早くあっち行きなさいよ!」

上条「おぉワリイワリイ……って! そんなことでなく、なんでお前は出てこないんだ? 具合でも悪くなったのかと思ってよ」


美琴は数秒黙り、ため息を一つ吐くと、言った。


美琴「あの、えっと、……バスタオルも着替えも……下着も……全部あっちの部屋に……ゴニョゴニョ」

上条「ハア? なんだって?」

美琴「だから! タオルも着替えも全部あっちの部屋にあって、ここから出られないの!!」


上条は頭をボリボリと掻きながら、呆れたようにため息を吐く。


上条「はぁ。そんなことか。 じゃあ俺が取ってきてやるから、どこにしまったか教えなさい」

美琴「と!? 取ってくるって!! アンタ女の子の下着をなんだと思ってるの!?」


下着は見られたらマズイ。もちろん女の子として当然の考えだが、それ以上に自分のファンシーな趣味全開の下着を見られたら絶対引かれるのは容易に考えついたからだ。


上条「しゃーねーな。じゃあタオルと服だけ持ってくるから、一旦下着なしで着て自分でとってくれ」


上条の代替案に、少し不服ながら、それが今のところ安全策なのだから仕方がない。
渋々了承することにした。


美琴「じゃ、じゃああっちの部屋の一番上の棚にTシャツと短パンが入ってるから……タオルは上から二番目……それ以外は開けないでね!?」

上条「へーへー。んじゃちょっと待ってろ」


扉の向こうでまだなにか言っていたが、面倒だったのでほっといて取りに行く。


上条「ったくちゃんと持ってから風呂入りに行けよっと。下から二番目の棚だよな」


タンスの取っ手に手をかけ勢い良く開けると、中には美琴の趣味全開の下着がズラリと綺麗にたたまれて入っていた。
リボンのついた可愛い下着から、様々な色の水玉がついた下着など、とても普段の美琴の気性からは考えられないものばかりだった。


上条「……」


上条は目を瞑りながらそっと閉じて、一番上の段と上から二番目のタンスを開け、着替えとバスタオルを取り出し美琴の元へと帰った。

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:24:23.39 ID:R692kgUR0<> 上条「……もってきたぞ」

美琴「……ありがと。ちょうだい」


スモークガラスの扉を少しだけ開け、腕を出し渡してもらった。
上条は部屋に戻り、やれやれと床に腰を落とすと、程なくして服を来た美琴がやってきた。
当然、今は上下下着を付けずに服を着ている。上条はぎょっとしてしまった。服のチョイスミス。
普通の安いTシャツより胸元が少しあいたTシャツ、且つ身体のラインに沿うかのようなタイトさ、そして目をよくこらして見てみれば、その効果が示すものは、両胸の先端と思われるところに小さい突起が2つ。
当の本人は気付いていないかもしれないが、スケベなことに対しての男子高校生のセンサーは過敏なのだ。


上条「」

美琴「え? なに?」

上条「……イヤナンデモナイデス」


上条は顔を真赤にしてクルッと後ろを向き、鼻の付け根を押さえて上を向く。


美琴「……!?」


上条の仕草に自分の状況に気付く美琴。以前だったら電撃を飛ばすところであるが、今はそれができない。
なのでそっぽ向いてるツンツン頭に照準を合わせた。


美琴「アアアンタってやつは、それが狙いだったのかーー!!」スパアアン

上条「おう!? まっ!? まま待て物理的な攻撃は!?」

美琴「電撃が来ないだけマシだと思いなさい!」


止まない平手を上条が抑えると美琴はバランスを崩したのか、元から足に力が入ってなかったのか、上条の元へ倒れ込んできた。
下側で上条がキャッチする様な、抱きしめる様な形になったが、この体勢は……


上条・美琴「「……」」


お互い顔が紅くなる。
つい数時間前にも似た様な状況だったが、さっきと今では気持ちの状態が違う。
二人の鼓動が重なる。
静寂の空気のハズなのに、心臓の音だけが鳴り響く。
しかし、さっきと気持ちの状態が違うということは、さっきまで気付かない所まで目がいくということ。
美琴を抱きしめる様な形になった上条は、あることに気がついた。


上条「なぁ、お前、飯ちゃんと食ってるか?」

美琴「……え?」


美琴の身体に腕を回しているからわかる。
普通なら骨の上に肉がのっている感触がある筈だが、その感覚が少ない。つまり、肉が削ぎ落とされ、骨で角張ってしまっているということ。


美琴「……食べられなくて……」

上条「食べられないって?」


美琴はそのまま上条に身体を任せる様に、今は体重が軽いと自覚してなのか、上条の胸に顔をおとし、体重を預ける様抱きついた。


美琴「なんか、ごはん食べても……吐いちゃって……お腹も空かないし」


ストレスによるものだろうか?
医学的なことはよくわからないが、テレビで聞いたことある様な気がする。
心の病というやつだ。
心というのは、時に身体のありとあらゆるところに影響を与える。それは人によって軽度のものから重度のものまで様々にある。
ただ、どこからが軽度でどこからが重度なんて基準を上条が知るはずもない。
恐らく相当な負担が美琴にかかっていることだけはわかった。

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:24:57.58 ID:R692kgUR0<> 上条「……じゃあ俺が飯作ってやるよ」

美琴「え?」


上条の胸に埋めてた顔を上げる。


上条「御坂は俺のこと、少しは信用してくれたんだろ?」

美琴「……うん」


また顔を少し埋め、上条の顔を見ないようにして、でも肯定はした。


上条「だったら、信用している奴が作った飯なら、もしかしたら食えるかもしれねぇ。ダメだったら、医者のとこに行こう。大丈夫だ、この貧乏学生上条さんの腕に任せなさい!」


そのまま美琴ごと起き上がると、財布だけ持って外に出かけようとした。


美琴「……あ、ま…待って!」

上条「ん? なんかリクエストでもあるのか?」

美琴「1人に……しないで……私も行く」

俯向きながら、精一杯自分の正直な気持ちを伝えた。
以前の美琴ではあり得ないこと。
しかし、上条に救われ、いつもの調子が戻り始めたと言っても、根本的なところは解決していない。
心の病の原因は他にあるのだから、上条がいなくなれば、数時間前に自分に戻ってしまうことを自覚していた。


上条「……でもお前、さすがに下着は付けた方が」

轟! と上条の背中にハイキックが決まった。

_________________


<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:26:46.14 ID:R692kgUR0<> 二人は近くのスーパーに向かっていた。

辺りはすっかり暗くなり、完全下校時刻はとっくに過ぎていた。
にしてはスーパー近くの大通りがやけに人がいるのは、きっとここら辺が無能力者たちの通う学校が固まっているからだろう。少し裏路地に入ればスキルアウトのたまり場が至る所にあるのもわかる。


上条「このスーパーの卵が今日は特売日なんですよ〜」

なにやら誇らしげに語り店に入る上条。
たった10円20円安くなったところで何が変わるのかと、未だ金銭感覚はお嬢様のまま抜け切れていない美琴。


上条「はっ!! でももうこんな時間ってことはすでに売り切れている可能性も……やっぱり!! だぁ〜〜遅かったかーーー!!」

今度は頭を抱えだす。
だから10円20円でなにがかわるってのさ。と美琴は思うが、それだけの差でも一喜一憂する上条を見て、美琴は笑みが溢れだす。
買い物に出かけ、たった数十円の差で悩み、食べたい物を食べるのではなくその日の安い食材によってごはんが決まる。
店を出て、半分づつ荷物を持とうとすると、美琴を気遣ってか全部持ってくれる。
そんな些細なことでも、その少年の事を知れる喜びを美琴は感じていた。


上条「……クソ……せっかくのタンパク源が……」

美琴「まだ言ってんの? それなら別に、値段なんて気にしないで他の……!?」


美琴が言いかけて、歩くのを止めた。
振り向くと、美琴は上条より10メートル先を見つめ、身体をガタガタと震わせている。
まるで蛙が蛇に睨まれている様に、足がすくみ、冷や汗をかき、震えている。
上条がその視線の先に目をやると、なにやら5〜6人の男女入り混ぜた中学生が歩いていた。
その中の女が、こちらの視線に気付いたのか、目が合うとなにやら笑みを浮かべ、ダルそうに髪を掻きあげながらこちらに寄ってきた。


女子A「あれれ〜? もしかして御坂さんですか〜? 久しぶり〜学校来てなかったから心配してたんだよぉ?」


何やら美琴に話しかけているみたいだった。
美琴の友達かと思い、振り向いたら美琴は依然、いや更に顔を青くしていた。



何やら美琴に話しかけているみたいだった。
美琴の友達かと思い、振り向いたら美琴は依然、いや更に顔を青くしていた。


上条「いい加減にしろって言ってんだ! よってたかって女の子をいじめて、情けなくないのかよお前ら!! お前らから受けた痛みで、御坂がどんなに苦しんだかわかってんのかよ!!」

キッ! と全体を睨みつけるかの様に見渡す。
さすがに高校生に意気込まれたら、いくらヤンチャな中学生といえどたじろいでしまう。
ましてや、この高校生は能力者かもしれない。情報がなさすぎる。
少し後ずさりしながら中学生たちは言う。
<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:29:43.64 ID:R692kgUR0<> すみません
>>90は誤爆です。

改めて貼ります。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:30:43.39 ID:R692kgUR0<> 二人は近くのスーパーに向かっていた。

辺りはすっかり暗くなり、完全下校時刻はとっくに過ぎていた。
にしてはスーパー近くの大通りがやけに人がいるのは、きっとここら辺が無能力者たちの通う学校が固まっているからだろう。少し裏路地に入ればスキルアウトのたまり場が至る所にあるのもわかる。


上条「このスーパーの卵が今日は特売日なんですよ〜」

なにやら誇らしげに語り店に入る上条。
たった10円20円安くなったところで何が変わるのかと、未だ金銭感覚はお嬢様のまま抜け切れていない美琴。


上条「はっ!! でももうこんな時間ってことはすでに売り切れている可能性も……やっぱり!! だぁ〜〜遅かったかーーー!!」

今度は頭を抱えだす。
だから10円20円でなにがかわるってのさ。と美琴は思うが、それだけの差でも一喜一憂する上条を見て、美琴は笑みが溢れだす。
買い物に出かけ、たった数十円の差で悩み、食べたい物を食べるのではなくその日の安い食材によってごはんが決まる。
店を出て、半分づつ荷物を持とうとすると、美琴を気遣ってか全部持ってくれる。
そんな些細なことでも、その少年の事を知れる喜びを美琴は感じていた。


上条「……クソ……せっかくのタンパク源が……」

美琴「まだ言ってんの? それなら別に、値段なんて気にしないで他の……!?」


美琴が言いかけて、歩くのを止めた。
振り向くと、美琴は上条より10メートル先を見つめ、身体をガタガタと震わせている。
まるで蛙が蛇に睨まれている様に、足がすくみ、冷や汗をかき、震えている。
上条がその視線の先に目をやると、なにやら5〜6人の男女入り混ぜた中学生が歩いていた。
その中の女が、こちらの視線に気付いたのか、目が合うとなにやら笑みを浮かべ、ダルそうに髪を掻きあげながらこちらに寄ってきた。


女子A「あれれ〜? もしかして御坂さんですか〜? 久しぶり〜学校来てなかったから心配してたんだよぉ?」


何やら美琴に話しかけているみたいだった。
美琴の友達かと思い、振り向いたら美琴は依然、いや更に顔を青くしていた。


女子B「もしかして今デート中〜? 御坂さん彼氏いたんだ〜学校にも来ないでデートするなんてラブラブだね〜♪」

美琴「ち……ちが」

男子A「そんなラブラブってことは、さぞ夜はお盛んなんだろうな〜。今度オレも混ぜてよ〜」

男子B「お前寝取りホント好きな〜wwwwww  っていうか御坂さん学校きなよ〜机またきれいにレイアウトしてあげるからさ」

美琴「……」


美琴の手がブルブル震えてる。
怒りではない。恐怖が蘇ってきたのだ。
深層心理でえぐられた傷を掘り返すかの様に。
しかし、少年は言った。


上条「……お前ら、いい加減にしろよ……」

男子A「……は?」


上条は左手に持ってた袋を右手に持ち替え、空いた左手で美琴の震えている手を優しく握った。
まるで、今は一人じゃないと言っているかのように。


上条「いい加減にしろって言ってんだ! よってたかって女の子をいじめて、情けなくないのかよお前ら!! お前らから受けた痛みで、御坂がどんなに苦しんだかわかってんのかよ!!」

キッ! と全体を睨みつけるかの様に見渡す。
さすがに高校生に意気込まれたら、いくらヤンチャな中学生といえどたじろいでしまう。
ましてや、この高校生は能力者かもしれない。情報がなさすぎる。
少し後ずさりしながら中学生たちは言う。


少年B「あ……あれれ〜そんな口聞いていいんですか? 僕らスキルアウトの先輩いるんすけど?」

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:32:07.97 ID:R692kgUR0<> 上条「関係ねぇよ」

握る手に、少し力が入る。
それに呼応するかのように、美琴の震えも収まっていく。

上条「お前らがどんな大人数で攻めて来ても、それが御坂の世界を壊すってんなら、俺が守りぬくって決めたんだ! お前らの好きにはさせねぇ!」


周りがザワザワ見ている。
ケンカが起きたと思いアンチスキルに連絡している人もいる。


女子A「……チッ。おいみんな行くよ。これ以上ここにいても面倒なことにしかならなそうだしね」


女子Aが切り出し、ぞろぞろと動き出した。何人かはすれ違いざまに上条に舌打ちをしていた。


上条「大丈夫か、御坂?」

美琴「……うん」


手の震えはおさまっていた。しかしその顔は晴れない。
上条の前ではいつもの調子にもどれる美琴。
しかし、いざ心のトラウマを作った本人たちを目の前にすると、どうしても心に何かがひっかかり、自分が自分でなくなってしまう。
例えるなら、家族だけでいる自分のキャラや立ち位置と、学校での自分のキャラや立ち位置が違うかの様に、そういったケースで、家庭内暴力の様なケースに走ることも少なくはない。それと似たものだろう。


美琴「ごめんね、また助けてもらっちゃって……」


美琴は俯向きながら、申し訳なさそうな声でつぶやく。


美琴「私、またアンタに甘えちゃった。これじゃダメだって、わかってるんだけど……」

上条「大丈夫だ」


上条が右手を美琴の頭にポンっとのせる。
異能の力ならなんでも打ち消せるその右手で、その不安も消してやると言わんばかりに美琴の茶色い髪をワシャワシャと掻き回す。


上条「そんな時のために、俺がいるんだろ?」


繋がったままの手を、強く、でも優しく握る


上条「俺がお前を守るって約束したんだ。御坂は、俺を頼って良いんだよ。」

美琴「でも……」

上条「さっ、とっとと帰って飯にしようぜ。上条さんは腹が減って今にも倒れてしまいそうなんですよ」


美琴の手を少し強引にひっぱり、帰路に着く。
もう手を離してもいい筈なのに部屋につくまでずっとつないでいた。
それは上条が無意識で繋いでいるのか、それとも美琴がそうしていたいからなのか、二人にはよくわからなかった。

_______________

<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:34:34.31 ID:R692kgUR0<> 夕飯を済ませ、二人はお茶をすすっていた。

美琴「それにしてもアンタ、特売品を狙うは、多少の料理の心得はあるは、いったいどこの主婦を目指してるわけ?」

貧乏学生には必須スキルなんですよ、っと上条がぼやきながら時計に目をやると、時刻は21:30を指しており、大事な事を思い出した。

上条「(しまった! インデックスの飯!)」

あわわわと顔がドンドン真っ青になっていく上条に、美琴も変に焦った。

美琴「ど、どうしたの急に」

何でもないと告げると、そそくさと帰る準備を始める上条。
立ち上がると腕になにか引っ張られる感触を覚える。
気付いたらいつの間にか、美琴が上条の袖を掴んでいた。


美琴「帰っ……ちゃうの?」


泣きそうな顔で見つめてくる。
1人になるのが怖いのか不安なのか、袖をひっぱる美琴の手に力が入る。


美琴「今日は……帰らないで……1人になるのが……イヤ」


不覚にもドキッとしてしまった自分が嫌になる。
美琴は何もやましいことを考えていない。本当に1人になるのが嫌なのだ。
しかし、女の子と一晩同じ屋根の下で二人きり。しかも只今人生で最も旺盛な時期。
どうするどうすると考える。

とそこで携帯の着信が部屋に響いた。
美琴の携帯は依然壊れたままなので、必然的に上条の携帯が鳴っていることになる。
携帯を開くと、先程までの帰る理由たる人物からの電話だった。

上条「も、もしもし?」

インデックス『もしもしとうま? こんな時間までなにしてんの? 私はお腹が減って今にも倒れる寸前なんだよ』


電話の主はインデックスだった。
現在の時刻は21:30。普段なら夕飯を腹いっぱいまで食べ終えてゴロゴロしている時間だった。

インデックス『とうまはそんなに私を餓死させたいの? もう普通の夕食じゃ私の空腹は満たされないんだよ!』


電話の向こうでは不満たっぷりにしているインデックスが目に浮かぶ。
今すぐ帰って夕飯を食べさせないとまた噛み付かれてしまう……と脳裏をよぎったが、現状の美琴を放おって帰っても良いものなのか。
そもそも今までインデックスと二人で生活してきて、自分は何もしてこなかった功績を思い出した上条は、しばし考えて言った。

上条「インデックス、小萌先生に連絡しておくから、今日はそっちに行ってなさい。今日はちょっと帰るの遅くなりそうだから。いや、最悪帰らないパターンも……」


電話の向こうでインデックスは怪訝な声で聞いてきた。


インデックス『もしかして、また女の人関係?』


ギクウウウウ! っと擬音が口から出てしまうほど心臓がなったが、とりあえず言い聞かせて電話を後にする。
すぐに小萌先生に連絡を取り付け、なんとか部屋に戻ることができた上条。

美琴「……どうしたの疲れた顔して」

上条「いやなんでも……」


さてと。というと美琴の隣に座り、飲みかけのお茶をすすった。


上条「……今日は帰らなくても大丈夫になったけど、俺本当に泊まっても良いのか?」

美琴はコクっと頷いた。
上条は、それはある種のオーケーサインなのではないかと邪念を抱いたが、よくよく考えればまだ美琴は中学生。
そんなこと、あるわけなかった。

美琴「でも変なことしたらぶっ飛ばすからね」

上条「なんなんですかもぉ〜〜〜〜!!」 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:36:10.50 ID:R692kgUR0<> 食器洗いを終え、シャワーを浴びた上条はやることがなく、手持ち無沙汰になってしまい、おもむろにテレビをつけた。
美琴はというと、特になにかしているわけでもなく、ゲコ太のクッションを抱いてベッドの上に座っていた。


美琴「(……私……)」

テレビに目を向けている上条に目を向けると

美琴「(なんでこんな状況作ってしまったんだろう!!)」


ボン! っと顔が赤くなる。
今更になって事の重大さに気付く。
部屋に男を泊める。しかも誘ったのは自分。


美琴「(これじゃただの痴女じゃない!)」


一方、上条はというと


上条「(テレビなんにも面白いのやってないな)」


チャンネルをコロコロとかえている。
22時ら辺と言えば、ドラマやバラエティ、ニュースなど様々な番組が放送されているもんだが、この状況では何を見ても集中できなかった。


上条「(俺を泊めるってことは、きっとあいつが抱えている問題は山積みなんだろうな。俺ができること……はなんだろうな?)」

わざわざ自分を止めた理由、それは1人でいたくないってのはもちろんあるだろう。
しかしもっと他の理由があるのではないかと試行錯誤する。


上条「(あいつらへの仕返し方法? いやそんなことしても意味がないってのはあいつがよくわかってる筈だ。レベル5に戻る方法? そんなの俺にわかるわけないし……)」


一方美琴の脳内では葛藤が繰り広げられていた。


美琴「(なんでコイツはずっとテレビ見て黙ってるのよ! ……もしかしてホントは泊まるのとか嫌だったのかな? めんどくさいって思われてるのかな? どうしよう嫌われたら……どうしようコイツまでいなくなったら、どうしようどうしよう……)」


考えれば考えるほど泥沼にハマっていく。上条が裏切ることなんて絶対にない。それは美琴が一番良くわかっているハズ。わかっているハズなのに、つい不安になってしまう。
それもそのハズ。彼女はなんだかんだ言っても中学生だ。
今までは精神が成熟していたかの様に見えていたが、所々で中学生らしいところが垣間見えていた。しかし成熟している様に見えた部分は、レベル5としての誇り、パーソナルリアリティの構築のお陰であった。
それがない今、彼女はそこら辺の中学生、いや現状ではそれより低い精神状態なのかもしれない。

思わず泣きそうになってしまったが、なんで泣くほどなのか自分でもよくわからない。でも涙が出てきそうな微妙な感情の揺れが起きていた。

上条は考えても美琴が何を思って自分を泊めたのかわからなかったので、とりあえず話をしようと思い、テレビから目を離す。
その視界に入ってきたのは、なぜか泣きそうになっている美琴だった。
<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:36:48.55 ID:R692kgUR0<>
上条「!? 御坂さんなんで泣きそうになってるんでせう!? 上条さんなんか悪いことしました!?」


あまりに唐突な展開に上条は追いつけないでいた。
美琴自身も追いついていないのだから仕方がない。


美琴「……別に……、なんかあったわけじゃないから気にしないで」

夕方に散々泣き顔を見られているくせに、何故か今更になって泣き顔を隠すかのようにゲコ太のクッションに顔を埋める。

上条「気にしないでって言われましても……」

美琴「ほんとになんでもないの。ただ、アンタに嫌われたらって考えたら、なんか勝手に……」


どんな言葉をかけても、どんなに信頼しても、経験から「もしかしたら」が心に広がる。
それは人間として当然の動作の様に、傍は本能からくる心の保険防業反応のように考えてしまう。
そんなことを、その言葉から上条は感じ取れた。
それは人間として、しょうがないことなのだ。

上条はベッドに乗り、美琴の横に座る。


上条「まぁ、信用していくのはゆっくりで良い。御坂のペースで、やっていけば良い」

裸の電球が揺れている。寮の外でトラックが通ると、その振動だけで揺れてしまう。
そんなぼろいアパートでも、すきま風が寒いアパートでも、自分の隣に信用できる人、想い人がいるだけで暖かな空間に変わる。

美琴「(……全く、何にも気付かないんだから)」

涙を目の淵に溜めながら、クスっと笑ってしまう。

美琴「うん。ありがと。当麻」

上条「え? 今なんて」

美琴「おやすみ〜」


そのまま美琴はベッドにパタンと倒れてしまった。
美琴を確認すると、熟睡している。
まぁ目の下にあんな隈ができていたくらいだし、相当眠かったのだろうと上条は思った。
しかし、今まで美琴の口から一度も出たことのなかった単語が発せられた気がしたが、一度も言われたことがない単語なだけに気のせいだと理由づける。
そして気付く。


上条「って、俺はどこで寝よう……」


_________________


<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/17(月) 18:39:11.54 ID:R692kgUR0<> はい。
今回は以上です。

誤爆があったりして読みにくくなってしまいすみません…。

年末年始は少し忙しいので、投下が遅くなってしまいますが、今後ともよろしくお願いします。

では今回はこれにて… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/12/17(月) 18:40:35.96 ID:7jOryKDu0<> さっさとさてはるへの誤解解いて
まわりの男女子不幸に突き落とせよ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 18:45:26.11 ID:2Y5kwDyF0<> かわいそかわいそー
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 19:00:07.26 ID:A+dd9HkAo<> >>少年B「あ……あれれ〜そんな口聞いていいんですか? 僕らスキルアウトの先輩いるんすけど?」


美琴「あ、私の後輩と友達がレベル4だから。あと、レベル5に貸しがあるし、レベル2〜3なら二ケタ人数駆り出せるけど?」

少年B「」


これくらい強くなるんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 19:08:06.21 ID:gN7f2P+b0<> これはスキルアウトの先輩がボコされフラグで飯ウマ。もっぱらスキルアウトが絡むと貞操が危ないそげぶ
つーか最近の中学生怖すぎ

男子A「今度オレも混ぜてよ〜」
セクハラ親父かこいつは <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 23:16:40.86 ID:VUbB2NIv0<> ごく自然に下着が入ってる棚を開けちゃう上条さん流石です
ここまで弱ってる美琴が出てくるSSは久々な気がする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/17(月) 23:29:36.97 ID:UxDH8jWl0<> 待ってました
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/18(火) 01:15:16.50 ID:mqCbDbBVo<> 乙でした <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:05:03.07 ID:CZw8bHH30<> こんばんわ。

今回は少し早めにこれました。

前回の投下はちょっと期間が空いたのに、みなさんレスありがとうございます。

では、今回の分の投下いきます。 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:06:34.69 ID:CZw8bHH30<> その日、美琴は夢を見た。
自分が暗闇でもがき苦しみ、どんどん沈んでいく。だけど誰もいない。誰も助けにきてくれない。
もう考えることも辞め、人生に幕を下ろそうとしていた時、光が見えた。
光は美琴を包んでいく。それは優しく、そして力強く、暗闇から美琴を引っ張りだしてく。
そんな夢だった。


翌朝、目を覚ました美琴は部屋を見渡すと、そこに少年はいなかった。
久しぶりの安眠。その理由はとても簡単なもの。
あいつがいたからだ。
しかし、昨日のことは全部夢だったのか、あいつが助けに現れたハズなのに、見渡しても誰もいない。
ただの幻想だったのか、そうなったら良いなと思っていた、自分の夢だったのか。
もやもやとする映像を寝起きの頭で考えていると、キッチンの方から誰か入ってきた。


上条「よ、おはよう。御坂」

そこには、夢で見た光……とは到底思えないほど、目の下に大きな隈の出来たツンツン頭の少年が立っていた。
しかし、それでもホッと胸を撫で下ろす。


美琴「……うんおはよう。その隈どうしたの?」


美琴の質問に、上条はギクッとした。


上条「(言えねえ……御坂が寝た後、風呂あがりのあの映像が頭をよぎり、悶々としてしまったなんて上条さんにはとても口に出せません。いや上条さんでなくても誰も言えないので……)」


上条「……床が硬くて寝れなかったんだ」

美琴「え!? ごごめん! そっかアンタわざわざ床で寝てたの」


別に一緒に寝ても良かったのに……。っとボソっと口にだしてしまったが、自分で自分の言った言葉が信じられず1人で顔を紅くする美琴。
上条はバレないもんかとヒヤヒヤしていた。


上条「ところで、御坂は学校どうする?」


あっ……。 っと言葉を漏らす美琴。最近学校には行っていないのは上条も知っているハズ。
それを踏まえて質問してきた。
当然といえば当然である。


上条「まぁ、昨日の様子を見る限り、まだ無理しなくても良いと思うけど」

美琴「……」


今までは味方が誰もいないから何もする気になれなかった。
しかし今は上条がいる。
学校にはいなくても、終わった後に会えばなんとか持ちこたえられそうな気がした。
首を横に振り、なんとか決意を固める。


上条「大丈夫か? 無理はするなよ? なにかあったら携帯に連絡……ってお前携帯壊れてるのか。しゃーねーな、今日は放課後迎えに行くから、そのまま携帯を買いに行くか」

美琴「迎えに!?」キュピーン

美琴「(ここここれはデート!? しかも放課後わざわざあいつから迎えに来てくれて!?)」

喜ばしいことなのか、情けないことなのか区別がつかなくなっている美琴を差し置いて、上条は朝食のトーストを口に頬張る。
<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:08:30.36 ID:CZw8bHH30<> 朝食を食べ終わり、そろそろ出発しないと遅刻してしまう時間まで美琴は準備していた。
身支度ではない。心の準備の方だ。
先ほどまでは上条との放課後のことを考えていたが、問題は目の前の学校の時間。
当然、虐めはやってくるし、そのことを考えると吐き気を催すほど、お腹の辺りがキリキリ鳴る。


玄関の扉を開け、外側で待機している上条が言った。

上条「……やっぱり明日からにするか?」

美琴「……」


足が動かない。靴は履き終えてるのに、立ち上がれない。
外、言わば家と外界の境界線、玄関を跨げないでいた。
心がすっかり引きこもってしまっている。
キッカケがない。
こいつがいる、支えがあるってのは、元気になるキッカケになったとしても学校に行くキッカケにはならない。

すると
カンカンカン
と寮の外側に付けられている古びた階段の音が鳴り、次第に大きくなる。
何かが近づいてくる。
美琴の位置からは見えないところに、上条は目線を置いた。


上条「おっ、来た来た。おはようさん」

美琴「?」


上条が誰かに挨拶している。
一体誰?
不安と疑問を同時に抱えた次の瞬間、美琴は目を見開いた。


「御……坂さん? 御坂さん!!」


ガバっと玄関に座り込んでた美琴に誰かが抱きついて来た。
美琴とは対照的に髪が黒くて長い、側頭部の髪には一輪の花を乗っけたヘアピンをしている。
活発そうな顔立ちのハズなのに、涙でクシャクシャに崩れてよくわからないことになっている。
その後ろには美琴よりショートカットの黒髪に、信じられない花束を乗っけている少女が立っていた。
こちらの少女も泣き崩れそうになるほど目から涙を零していた。


美琴「……佐……天さん? …初……春さん?」

佐天「グスッ 良かったぁやっと会えたぁぁ……ヒグッ 御坂さん心配したんですよぉウッ」

初春「良かったです……グスッ 御坂さん、……良かった……グスッ」


何が起きたかわからなかった。
ただ、裏切られたと思っていた人たちは、何故か自分に向けて涙を流していることだけはわかった。


美琴「……何……で?」


震えた声で、勝手に口が動いて声を発した。


美琴「だって……二人とも……わたしのこと」

初春「私たち、御坂さんに謝らなくてはいけないんです」 <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:10:21.52 ID:CZw8bHH30<> 初春が目から流れる雫を拭いながら真下の地面を見る。


初春「あのクレープを食べている時、私が佐天さんの言葉を遮ったのを覚えていますか?」


覚えている、鮮明な程に。
あの瞬間が、最後の楽しい時間だったと美琴は思っていたからだ。
返事はしなくても、美琴の瞳は覚えていると伝える。


初春「あの時から、御坂さんがこうなる事は予測できたハズなんです」


それはそのはず。
だってこの二人もいじめの加担者。
いや、直接的な加担はしていなくても、私のことを嫌って――


佐天「でも、あの時はまだこうなる確信が持てなくて、御坂さんをいたずらに不安にさせるだけだと思ってたんです」

美琴「え?」


話が噛み合わない。
どこか考えているところがズレている?


初春「次の日に、佐天さんと話し合って、結局言おうってことになったんですけど、それっきり御坂さんと会えなくて……」


話し合ったって、私が聞いたのはそんな内容じゃ……


美琴「……でも、二人とも私のこと……嫌ってるんでしょ?」


肯定されたらどうしよう
はい、そうです。なんて言われたらどうしよう。
ここ数日、嫌われてると自覚してても、直接本人たちからは言われていない。
もし直に言われたら、果たして心は正常を保てるのだろうか。

しかし、佐天、初春の顔には不可解な顔色が見られた。


佐天「御坂さん、なに言ってるんですか?」

初春「私たちが御坂さんを嫌いになるなんてありえないですよ」


予想と反した返事、思っていた事と、そうだと決めつけていた事と逆の事を言われると、人間って言葉を聞き漏らすんだなっと思う。


上条「俺が御坂の家に来たのも、御坂の状況を知ったのも、全部この子たちから聞いたんだ」


ピースが揃い始める。
先程からの咬み合わない会話。
どこかお互いで違うことを思い、思い込んでいた部分。


<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:11:08.78 ID:CZw8bHH30<> 美琴「でもクレープ屋の次の日の放課後、……二人とも『レベル5を恨む気持ちもわかる』って会話してたじゃない……それはどういう」


初春がその時の状況、会話の流れを思い出すと、あることに気付く。
その会話の直後、誰かが走り去る音がした事を。


初春「あれは……そうだったんですね」


全ての合点がいったように、初春がこのすれ違いの紐を解いていく。


初春「あれは佐天さんに、レベルアッパー事件の時の心境を聞いていたんです。御坂さんを陥れようとしている人たちの対策を練るために、参考にしていたんですよ」

佐天「なので、レベルアッパー事件の前のあたしだったら、本当にそう考えていたかもしれないのは確かです……でも、今はそんなことありません!」

初春「それからすぐ御坂さんに連絡したんですが、連絡が付かず、昨日までズルズルと後悔していました」


勘違い。
たったそれだけ。
間抜けな響きだ。
でもそんな物でも人の人生は簡単に狂う。人間関係は崩れる。壊れる。
あの時から、美琴と佐天・初春の間には無いはずの壁が生まれていた。
勘違いという壁。
しかし、そんな壁をぶち破ってくれた少年が言う。


上条「この二人は本当に心配してた。だから、今日来るよう連絡したんだ」

美琴「私の、勘違い……だったの?」


美琴の見開いた目から涙が溢れる。
裏切られてなかった。
安心や安堵とも違う。しかし体の底から込み上げてくるものが抑えられない。


美琴「……私、…グスッ嫌われてないの? ヒッグ」


美琴の身体を佐天と初春が覆う。


佐天「嫌いなわけ、ないじゃないですか」

初春「私たちは、友達です」


心が軽くなる。
これまで縛っていた物、暗闇が晴れていく。
もう遅刻確定の時間だ。
でも、気にしない。
そんなことより大事なことが、今目の前にあるんだから――。


_______________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:12:46.20 ID:CZw8bHH30<> 現在の時刻は8:50。
場所は美琴の寮の前。
遅刻確定な中学生の少女たちは歩いていた。


佐天「御坂さん、もう大丈夫ですか?」


美琴の顔を下から覗き込む様に喋る。


佐天「うわ! よく見たら御坂さんだいぶ痩せたんじゃないですか!? ただでさえ細かったあの身体が!」

初春「佐天さん! 茶化す所じゃないですよ!」

美琴「ハハっ」


頭に信じられない様な花束を乗っけている初春がフォローする。


初春「あっ! じゃあ今日帰りにパフェでも食べに行きません!?」

美琴「良いね! 行きた……しまった……ごめん今日は放課後用事が……」

初春「え、用事あったんですか……それは残念です……」


せっかく仲直りしたので、初春は遊びたかったらしく、しゅん……となってしまった。
心なしか花も枯れてる気がする。


美琴「あーー!! ごめんねそんな落ち込まないで! ただ携帯を買いに行かなくちゃで」

佐天「……」キュピーン!

初春「そうなんですか、確かに携帯壊れてるって言ってましたもんね。……でもじゃあ私たちもついてングッ!?」


佐天が咄嗟に初春の口を塞ぐ。
そう、佐天はあることが引っかかっていたのだ。


佐天「みーさーかーさん♪」


ニコッと笑って美琴の前へ躍り出る。


佐天「あの高校生の方とは〜、どんな関係なんですか♪」


ブフッ!? っと咳き込む美琴。
みるみるうちに赤くなるその様子を、佐天はニヤリとほくそ笑む。


佐天「もしかしてあれが、例のクッキーの人ですか〜?」

美琴「!?」ボンッ

初春「クッキー?」

美琴「ちちちちがう! あいつは別に私の彼氏とかそんなんじゃなくて別にあいつのことなんてこれっぽっちも気にしてないし大体あいつは私の事を気になんかかけてないし私もかけてないしでもいざって時は助けてくれるし今回も私のこと守るって言ってくれたしゴニョゴニョゴニョ……ふあーーーーー!!!」


頭を抱え込んで叫びだす。
最初は言い訳しだしたのに、いつの間にか彼のいいところを言い出している自分に恥ずかしくなり、正常な思考ができなくなっていた。


美琴「違う違う私はあいつのことなんて別に好きなわけじゃないしでも昨日は嬉しかったしでもそれはあいつがいつもの様に困ってる人を見過ごせなかっただけで助けてでも抱きしめられて嬉しくて恥ずかしくてでも安心してやっぱり私あいつのこと……ふにゃーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

佐天「(かわいいのう)」ホノボノ

初春「なんの話なんですか〜?」


結局それからその場に1時間程いたらしく、出席は2時間目からになりそうであった。

_________________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:14:24.65 ID:CZw8bHH30<> 美琴は教室の前にいた。
そう、あの悪夢を襲ったクラスメイトがいる教室だ。
先ほどまでの楽しい時間がウソの様だった。
もう美琴の心を覆っているのは、不安、恐怖、憎悪であった。
今朝食べたトーストが逆流してくる。
口を手で抑え、なんとか出ないように必死に抵抗する。
胃の中のものは出てこない様なったが、口の中に大量の唾液が分泌される。
吐き気を催したとき独特のすっぱい唾液だった。
目の前がグラングランする。扉に手をかけたまま力が入らない。 

(怖い怖い怖い。)

心の中でひたすらに叫ぶ。意図的にでなく、無意識に叫んでしまう。
足がガクガクと震えだし、口の中の歯はカチカチと鳴り出す。

その時、目の前の扉がガラっと開いた。


女子A「……は? 御坂美琴じゃん」

美琴「あっ………あッ……」

突然開いた扉には、あのトイレでのことを思い出させる女子が立っていた。
ドクン っと大きな音を立てた心臓が一瞬とまる。
勝手に足が後ろに下がりだす。

女子A「なにアンタ、まだ学校来る気があったの? てっきりもう来ないもんかと思ってたのに、そんな足りないの? アンタ、見かけによらずドMね〜」

扉の前に立って話し続ける違和感に、クラスの誰かが気付いて騒ぎ出す。

女子C「ねえ御坂美琴が来てるよ」

男子B「はっ、なんだよまだ虐めてほしいのかよ」

男子A「そろそろ俺は我慢の限界なんだが? もういいですか? いいですね?」

全員の目が美琴に集中する。
悪意のある眼差し、それらが大群となって美琴の心に襲いかかる。

美琴「あっ……うぅ………」

教室の前から動けない。足がすくみ、言葉もロクに出てこない。
すると、目の前の女子Aは自分の後ろに目線を配っている。

「何してんだお前ら、授業始まるから席に付け」

後ろを振り向くと、そこにいたのは2時間目の授業に来た男の先生だった。

男先生「ん? お〜御坂じゃないか。学校に来ないもんだから心配してたんだぞ。ほら、入って入って」

男先生が美琴の肩を押す。
おもわず女子Aの胸に倒れこむ形で支えられてしまう。
ヤバい! っと思ったが、予想に反して信じられない言葉が耳に入ってきた。

女子A「キャッ☆ 御坂さん大丈夫〜? ちょっと男先生! 女の子は繊細なんですからもっとデリケートに扱って下さい! 特に御坂さんは今日まで休んでたんですから! 御坂さんがケガしたら女子全員で怒りますよ!」

はっ? 美琴の心にはそれしか出て来なかった。
なにがあったらそんなこと言えるんだ?
背筋に悪寒が走る。

男先生「おぉう……それは悪かった、すまん御坂。それにしても、御坂はみんなに心配されて人気者だなぁ。さすがは元レベル5だ。ハッハッハ! さ、席について〜授業を始めるぞ!」

違う。
そんなことある筈がない。
これは……まさか。

すると寄りかかってる美琴の耳元に、囁きかける様に女子Aは言った。

女子A「ボソボソ(逃げ場があるなんて、思うんじゃないわよ?)」

美琴「……」

窓際の自分の席に向い、椅子に座る。
机にはあの時の陰険な文字が……ない?
消えてる、というか新しい机になっている。
なぜ新しい机になっているのか、疑問が残るが、あの不快な文字がない分には全く構わない。

カバンから教科書を取り出し、できるだけ目立たない様に授業を受けた。

_______________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:15:21.19 ID:CZw8bHH30<> 昼休み
このタイミングで必ずなにかされると思っていたが、予想に反して何もこない。
なにかされて普通と思ってしまう自分に嫌気がさしながら、とりあえず席を立った。

すると、教室の入り口から美琴の名を呼ぶのが聞こえた。
佐天と初春だった。

佐天「御坂さん! 中庭で一緒にお昼食べません!?」

初春「イチゴおでんもありますよ〜」

美琴「佐天さん! 初春さん! うん! 行こう!」


目を離しているうちに何かされないよう、教科書の入っているカバンごと持って中庭へ向かう。
しかし、そのやりとりは当然、クラスの様々な人に見られていた。


女子A「……チッ」

_______________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:16:13.93 ID:CZw8bHH30<> 中庭は、思っていたよりも広く、太陽の光を充分に浴びることができるスペースだった。
美琴は、上条が今朝早起き(?)して作ったお弁当を取り出す。
中を開けると、白米の上に梅干しが乗り、あとはウインナーと卵焼きだけが入っていた。
見た目は少しあれだが、作ってくれたことに素直に喜びながら、正確には口元が緩みながら卵焼きを口に含む。

そんな美琴に注目したのは、もちろん彼女だ。

佐天「……御坂さん、それ、まさかあの彼氏が?」

美琴「ブッッフーーーー!! かかか彼氏じゃないって何回も言ってるじゃん!? そそそそれになんでわかるの!?」

佐天「いやだって女の子が作るお弁当にしてはシンプル過ぎますし、何よりそのニヤケ顔」

美琴「にゃに!?」


バッ! っと両頬に手を置くと、まるっきり口角が上がっていることに今更気付く。


美琴「別にこれには深い意味があるわけではなくただ卵焼きが美味しかったからであって……ゴニョゴニョゴニョ」

初春「上条さんでしたっけ? 高校生に行くとはさすが御坂さん。お嬢様はやっぱり違いますよね〜」


いやいやもうお嬢様じゃないし っと軽くツッコミを入れるが、初春には常盤台の頃の記憶が先行するようだ。


初春「しかも上条さん、結構イケメンでしたね。能力は何なんですか?」

美琴「あいつはレベル0よ」

佐天・初春「え? え〜!?」


予想外に驚く佐天と初春に、美琴も同時に驚く。
何がそんなに驚くことなの? と質問を投げかけてみると、


佐天「だって、要はレベル0の人がレベル5の、しかも第三位のハートを撃ちぬいたってことですもん! すごいことですよ!」

初春「愛にレベルなんて関係ないんですね〜」

美琴「ああああ愛!!!!?????」

佐天「ところで、今日なんであの方は御坂さんの家の前にいたんですか?」

美琴「それは、あいつが昨日うちに泊まって」

佐天・初春「泊まって!?」

美琴「え!? ちちち違うから別に何にもやましいことはしてないから!!」


そんな美琴の話題中心なガールズトークの時間はあっという間に過ぎて行く。
こんな時間が永遠に続けばいいのに。
友達のありがたさ、心強さ、そしてその空間での自分らしさが身にしみる。
普段の何気ない時間が、今はとても愛おしく感じる。
もうここの空間があれば、この苦しい学校生活も耐えられる。
そんな気さえする。
この時までは……

_______________________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:17:08.33 ID:CZw8bHH30<> お昼休みが終わり、教室に戻る。
今回は教室のドアで変な鉢合わせにならないよう細心の注意を払いながら、気配を消して席についた。
もちろん能力がなく、身体的にも劣化した現在に気配を消すことなんてできない。
ただ気持ち目立たないように心がけたのだ。
それでも、教室に美琴が入ってくると何人かは舌打ちをする。


美琴「(ほっ。お昼休みに机は特に何もされていなかったようね)」


席につくと同時に、午後一番の授業の先生が入ってきた。
美琴はお昼休みにわざわざ持って行ったカバンの中から、改めて教科書を机の引き出しにしまう。

_________________
<>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:19:13.73 ID:CZw8bHH30<> 佐天と初春は美琴と学年が違うため、教室もフロアが違っている。
二人は教室にもどり、授業が始まりそうだったため、急いで席につく。

佐天「ふぃ〜間に合った〜」

教科書を取り出そうと机の中に手をいれる。
すると、机の引き出しの中に封筒が入っていることに気付く。

佐天「(なんだろう?)」

引き出しから封筒を取り出し、ガサガサと振ってみたり、光に当てて透かしてみる。
封筒の中には三つ折の用紙が入っているのがわかった。
封をあけ、手紙を読むと心臓がドクンと大きな音をたてるのがわかった。
そこには……

『今後、御坂美琴に接触すれば、これまで以上の制裁を奴に加える。逆に、接触しなければ今後これ以上の制裁は加えない。
また、この事を他言した場合は同様に制裁を処す。』


心臓の音が加速する。
額から汗が零れ落ちる。
この手紙の主の言っている制裁とは、詰まるところ虐めのことだろう。
美琴がこの虐めでどれほど深層心理まで傷を残したか、トラウマを残したかは知っている。
解決方法はないか、どうするべきか。
するとマナーモードの携帯が、ブーブーと低い音を出す。
見ると初春からのメールだった。

初春『佐天さん、大変です! 机の中に脅迫状が入ってました。』

佐天『初春のにも入ってたんだ。ってことはやっぱりあの上級生たちの仕業か。』

佐天は、以前初春と美琴の教室に行った時、とある女の先輩からこんなことを言われていることを思い出していた。

(女子A「あいつ、今日来てないのよね〜。あんたたち、なんでかわかる? クスクス これ以上この件に深入りすると、あんたたちも巻き添えくらうかもしれないわよ?」)

巻き添えをくらう。
その時は暗に自分たちも虐めの対象になるだけだと思ってた。
その分には全く構わない。
どんなに周りから虐めを受けても、この学校内での御坂美琴、佐天涙子、初春飾利の絆は消えないと思っていたからだ。
しかし、彼らの言う『巻き添え』とはそのことではなかった。
虐めの対象はあくまで美琴1人。その美琴をより苦しめるために佐天と初春を加担者にさせる気だった。
今後美琴と一緒にいては、彼女の虐めはエスカレートし、この前以上のトラウマを抱えてしまう。しかし、それをさせないために美琴を避けるようになれば、虐めはなくなっても今度はこの学校で味方が1人もいなくなり、また裏切られたと思うだろう、人間不信になるだろう、つい昨日までとまるっきり同じ状態になってしまう。
どちらに転んでも、美琴が傷つくのは確定している。

佐天「(エグいやり方……)」

佐天は脅迫状をクシャっと握りつぶす。
しかし、その脅迫状を潰してもなにもならない。

佐天「(幸い、今日御坂さんはあの高校生の人と帰るんだよね)」

解決策はないか、放課後初春と話し合わなければ……。

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◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:20:29.28 ID:CZw8bHH30<> 放課後

美琴は教室で1人いそいそと帰る準備をしていた。
佐天と初春は美琴の教室に来ない。
というのも、今日は放課後にあのツンツン頭の少年と約束があると朝のうちに伝えていたからだ。
幸い、今日は何もされずにいたので、変に落ち込んでいたりもしない。

昇降口を出て、門の方に出ると、学校の正門特有の石で掘られた学校名プレートに彼は寄りかかっていた。


美琴「おおおお待たせ!」

上条「よっ。約束通り迎えにきたぞ。今日は大丈夫だったか?」


少年は片手をポケットに入れて、気だるそうにもう片方の手であいさつした。


美琴「うん、今日は大丈夫だったよ」

上条「じゃ、さっさと携帯を買いに行きますかね」

御坂「うん」


放課後に、学校の校門まで迎えにきてもらいそのままショッピングに出かける。
傍からみたらこの光景はきっともうただの……

美琴「(恋人同士みたいじゃない……)」

美琴「……えへ、……えへへへ、にゃへへへ」

上条「なぁ御坂」

美琴「にゃん!?」ドッキーン


完全に妄想の世界こんにちわモードに入っていたため、思わず現実にも影響をきたしてしまい、上条の不意の声がけに飛び跳ねてしまう。

上条「?」

美琴「にゃっ、にゃによ!」


まだ言葉がおかしかったのは自分でも気付いたが、そうなっちゃうもんは仕方がない。
上条自身もただ噛んでるだけだと思っているらしい。


上条「なんだお前噛み噛みだぞ水分足りてないのか? 携帯買う前にお茶でもしていくか?」

美琴「だだだ大丈夫よ! ほら行こ!」


上条「……、なんか具合悪いとかなら、今日無理に携帯買いに行かなくてもいいんだぞ? 明日にするか?」

美琴「だぁから大丈夫だって言ってんでしょうがーーー!! そんなに掘り返すなーーー!!!」スパーン

美琴の平手が上条の後頭部を勢い良く叩いた。

_________________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:21:53.94 ID:CZw8bHH30<> 佐天と初春はとある喫茶店がいた。
小じんまりとしていて、カウンター席が5席、テーブルが2つしかない学園都市でもめずらしい昭和を漂わせるタイプの喫茶店だ。
なぜいつものファミレスではなく、カフェでもなく、「喫茶店」という言葉が似合うような場所を選んだのか。

初春「ここなら誰かに話しを聞かれないですみますね」

佐天「こんな狭かったら盗み聞きするスペースもないしね」


注文したアイスティーを持ってきた喫茶店のマスターがギロっと睨んだ。
狭くて悪かったなと言わんばかりの目つきだ。
苦笑いと愛想笑いの中間をマスターに向けて難を逃れる。

マスター「ほら、注文のアイスティー2つお待ち」

ここを選んだ理由は佐天が言ったように、狭いからだ。
狭いと会話が筒抜けになる印象があるが、その分店全体を見渡すことができる。
さらに今時にしては珍しい昭和臭漂うこういった店には、そもそも学生が好き好んで来ないのだ。
くるとすれば研究者の息抜きくらいなものだ。


初春「さて、で佐天さん。例の脅迫状……どうします?」


話を切り出したのは意外にも初春からだった。


初春「例の脅迫状は、絶対御坂さんのクラスの人たちだと思うんです」

佐天「……そんなことはわかってるって」


アイスティーにストローをさし、そのままカラカラとコップの中の氷を回す。


佐天「問題は、その脅迫状に従うか、抗うか、はたまた証拠を掴んでギャフンと言わせるか」

初春「これが電子メールで送られてきてたら、逆探知で証拠を掴めたんですけど……」

初春アイスティーのストローに口をつけ、一息で全部呑む勢いで飲んだ。


佐天「今は証拠がない、けど必ず掴んでみせる」

初春「じゃあその間は?」


佐天が初めてアイスティーに口をつけ、悔しさを一緒に飲み込む様に、ゴクッっと喉から音をたてる。


佐天「初春は、これ以上御坂さんに負担がかかるのを見てられる?」

初春「……」

佐天「あたしたちがみんな同じクラス、最悪同じ学年だったらほぼずっと守ってあげられる。でも、あたし達と御坂さんはクラスはもちろん学年だって違う。確実に目の届かない時間や空間が生まれる」


また一口、アイスティーに口を付ける。今度は喉からあまり音が鳴らなかった。


佐天「その少しの時間や空間が、御坂さんに一生ものの傷を負わせる可能性は決して低くないと思う」


さらにもう一口、アイスティーを口に含む。のどが渇いている訳ではない、言葉と言葉の間に何か挟まないと余裕がなくなってしまいそうだからだ。


佐天「だから、御坂さんには申し訳ないけど、しばらくはあいつらに従おうと思ってる」


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◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:22:32.12 ID:CZw8bHH30<> バン! っとテーブルを叩き、初春が立ち上がった。


初春「でもそれじゃあ御坂さんはまた私たちに裏切られたと!」

佐天「しょうがないでしょ!!!」

佐天が大声をあげた。
店内にはこの二人しかいなかったのは幸いだが、カウンターの奥で新聞を読んでいたマスターは驚いていたのがわかった。


佐天「あたしだって……御坂さんに裏切られたなんて思われたくない……あたしたちの力で守れるなら、それだけの能力があればこんな選択肢は起きなかった……」


自分の非力さに怒りが、いや情けなさが襲いかかる。
声が震えだした。


佐天「でも、あたしたちにはその力、能力がない。そんなんで、これまでと同じように接して、尚且つ御坂さんを守るなんて、現実的にできないよ……」


初春は何も言えなかった。
佐天の言っていることが身にしみてよくわかっているからだ。
自分には直接的に誰かを守る力がない。
それはジャッジメントとして活動しても、裏方で活躍する初春だから余計に感じる部分である。


佐天「だから……最も被害の低い選択肢として、御坂さんに接触しない方が良い……」

初春「でも!」

佐天「ただっ!!」


佐天が初春の言葉を遮る。
その声には、先程の震えた声が微かに混じってはいるが、確かに力強く発した。


佐天「あたしたちにできることは、……それだけじゃない」


__________________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:23:11.71 ID:CZw8bHH30<> バン! っとテーブルを叩き、初春が立ち上がった。


初春「でもそれじゃあ御坂さんはまた私たちに裏切られたと!」

佐天「しょうがないでしょ!!!」

佐天が大声をあげた。
店内にはこの二人しかいなかったのは幸いだが、カウンターの奥で新聞を読んでいたマスターは驚いていたのがわかった。


佐天「あたしだって……御坂さんに裏切られたなんて思われたくない……あたしたちの力で守れるなら、それだけの能力があればこんな選択肢は起きなかった……」


自分の非力さに怒りが、いや情けなさが襲いかかる。
声が震えだした。


佐天「でも、あたしたちにはその力、能力がない。そんなんで、これまでと同じように接して、尚且つ御坂さんを守るなんて、現実的にできないよ……」


初春は何も言えなかった。
佐天の言っていることが身にしみてよくわかっているからだ。
自分には直接的に誰かを守る力がない。
それはジャッジメントとして活動しても、裏方で活躍する初春だから余計に感じる部分である。


佐天「だから……最も被害の低い選択肢として、御坂さんに接触しない方が良い……」

初春「でも!」

佐天「ただっ!!」


佐天が初春の言葉を遮る。
その声には、先程の震えた声が微かに混じってはいるが、確かに力強く発した。


佐天「あたしたちにできることは、……それだけじゃない」


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◆kJm4mDjM06<><>2012/12/19(水) 20:25:54.83 ID:CZw8bHH30<> はい。

今日はこれにて投下終了です。

最後間違えて同じの投下してしまいました…すみません…。

また書きためられたらきます。

では。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/19(水) 20:40:58.81 ID:hD5oXmMto<> 乙
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/19(水) 22:34:00.20 ID:ApNdeNVr0<> さてはるがようやく仲間に…!と思ったら一筋縄じゃいかなかった
先生が無能すぎて泣ける <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/19(水) 22:44:13.81 ID:eX6zYEWNo<> 乙でした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/12/20(木) 00:02:40.60 ID:8ghJuEbR0<> どっちにしても、御坂にとっは地獄だな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/20(木) 00:08:55.21 ID:VN691Me80<> 助詞の間違いが多い印象 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/20(木) 00:14:51.84 ID:LqGo344IO<> 美琴の一番の親友の婚后さんが出てきてないのが気になる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/20(木) 06:51:01.50 ID:RFWyyjaR0<> 筋を通す金剛番長さんか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/20(木) 19:35:53.22 ID:M8w/zVjd0<> 漫画版婚后さんならなんとかしてくれる
ハズなんだが光子ちゃんの優しさが裏目に出てまたボコボコにされそうで怖い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/22(土) 16:42:58.27 ID:PrO+rZgAO<> >>131
実際、教師とか学校、当事者じゃない生徒は自己保身に走るから……
ちゃんと対応してくれる教師はだいたいウザがられてどこかに飛ばされるし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga sage<>2013/01/02(水) 15:32:42.19 ID:mMSj5kua0<> 麦野の来襲とかがあったらどうなってしまうのやら…。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/04(金) 12:11:45.59 ID:wf0D3nck0<> そろそろ黒子の投入オナシャス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/04(金) 16:15:01.28 ID:K5Jh7AtZ0<> もしかして黒子はずっと来ないのか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 03:18:01.10 ID:a47/9li80<> 失踪したか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/05(土) 21:26:01.46 ID:s6kalP+60<> 頼む早くしてくれ・・・

楽しみにしてんだから(´・ω・`)・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 21:31:07.51 ID:a98KFako0<> >>143

死にさらせクソ野郎 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/06(日) 12:36:43.11 ID:/jbCfSRh0<> >>144

荒れてるな そうカッカするなよ。
気長に待とうよ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/06(日) 13:57:43.14 ID:8l0U+1+30<> 上琴SSだから心配しなくてもめでたしめでたしで終わるよ <>
◆kJm4mDjM06<><>2013/01/07(月) 23:57:20.63 ID:vDv3Cye50<> 皆さん。
明けましておめでとうございます。

最近全くこれなくてすみません。

ちょっと年末年始は私用でドタバタしていまして……
なので正直書き溜めが全くないのですが、また少しづつ再開します。
今日はホントに少しだけできたので、生存報告も兼ねて、ほんの少し投下します。

ではよろしくお願いします <>
◆kJm4mDjM06<><>2013/01/07(月) 23:59:06.44 ID:vDv3Cye50<> 美琴「フンフフーン♪」

上条「新しい携帯、またゲコ太なんだな」

美琴「うっ、うるさいわねー別になんだっていいでしょ!」


上条と美琴は予定通り携帯を買うと、近くのスーパーで夕飯の買い物をすまし帰路についていた。


美琴「まっ、今日の私は機嫌が良いから、夕飯は私に任せてあんたはゆっくりしてていいわよん♪」

上条「ってか俺はまだお前んちにいた方が良いのか?」

美琴「え?」


上条の言葉に美琴は目を丸くした。
いや、丸くしてはいるがその瞳は急に暗く深いものになっていた。


美琴「……帰っちゃう……の? 」

上条「!? いいいいや俺がいたらお前に変な気を使わせてしまって悪いかな〜って思っただけだから!」

美琴「……そう」


美琴は軽く俯き、トボトボと歩き出した。
機嫌が良かったと思ったら急に落ち込む。精神状態が不安定にあった。
それもそのはず。つい昨日まで家に引きこもるほどの辛い気持ちを味わっていたのだ。
今は上条がそばにいるから少なからず以前の美琴に戻っているが、根本的にはまだ立ち直っていない。
一人になるとまた暗い気持ちに戻ってしまうのだ。


上条「……ハァ」


上条は美琴の頭に手をポンっと置き、子供を慰めるかの様に自分の胸へ引き寄せた。


上条「言ったろ、俺が守るって。だから、御坂を一人になんかしねーよ」

美琴「……うん!」

元気が出る。こんな情緒不安定なのに、こいつの言葉で気持ちが左右される。
この右手が、元気をくれる。


上条「よし! それじゃあ早く帰って飯にしよう! 御坂の料理期待してるからな!」


美琴の頭を離し、上条は歩き出す。
美琴は数歩後ろを歩き、顔をまた俯かせる。


上条「? なにしてんだ、置いてくぞ」

美琴「うううるさいわね、今料理考えてるの!」


美琴は小走りに上条の後を追う。
右手を捕まえようと手をのばすが、引っ込める。
でもやっぱ捕まえようとして、やっぱ引っ込める。
そんなことを繰り返し、やっぱり後ろを歩く。


_____________________ <>
◆kJm4mDjM06<><>2013/01/08(火) 00:00:14.15 ID:x0fIEcdP0<> 翌日
ー朝ー

上条「今日はあの二人来ないのか?」

二人は学校に向かっていた。
と言っても、途中までしか一緒でないため、昨日と同じ様に佐天と初春が美琴の家に迎えにくる物だと思い、ぎりぎりまで家で粘っていた。


美琴「まぁ、携帯のメモリーも飛んでアドレスがわかんなくなって連絡とれなかったからね。今日連絡先聞いて明日から一緒に行く様にするよ」

上条「まっ、仲直りしたんだし学校で会えるだろ。おっと、俺こっちだから。じゃあな御坂、なんかあったら連絡しろよ」

美琴「はいはい、ちゃんと返事は返してね」


手をひらひらさせて少年は走って行った。どうやら彼は本当に遅刻寸前のようだった。わざわざ遠回りしてもらったせいもあり、少し申し訳ない気持ちが美琴の胸に刺さる。


美琴「……一応お礼のメール送った方が良いかしら……」

美琴「……」


新品のゲコ太型携帯を取り出し、なんて送ろうか悩む。
しかし、お礼と言ってもなんか気恥ずかしい気もするし、一昨日からずっと一緒にいるのに分かれた直後にメールするとかどんだけメンヘラだよ!
っと一人で突っ込みながら単文だけで送る事を決める。


美琴「……『ありがとう』っと……送信」


送信完了の画面を見届けると携帯の画面隅にある電子時計が目に入る。


美琴「……ううぇ!? もうこんな時間!? メール送る事に集中してて忘れてた!!」


結局、上条と同様遅刻しそうになり走る羽目になってしまった。


___________________
<>
◆kJm4mDjM06<><>2013/01/08(火) 00:01:34.79 ID:x0fIEcdP0<> 学校
ー昼ー

美琴「……」

美琴「(さて、佐天さんと初春さんのところに行こうかな)」


周りにバレない様に席を立ち、ゆっくりと教室のドアへ近づいて行く。
幸い、昼休みになると教室には人が少なくなり、少なからず自分に目が向けられることはないようだった。
ただ、問題なのはドアの前でたむろしてる女子Aたちだ。


女子A「でさ〜その男ったらね!」

女子B「ねえ、後ろ」

女子A「ん?」


後ろを振り向くと、俯きながら少しへっぴり腰になった御坂美琴がいた。


美琴「あ……あの、通して……もらえ……ませんか?」


女子Aは髪をかき上げながら、美琴を睨みつける様に見た。
その目は明らかとした敵対視で、今にも叩き潰そうとしそうな顔つきだった。


美琴「ひっ!? ああの、なんでも……ないです……すみません……」

女子A「……」


スッと女子Aはドアから離れ自分の席へと帰って行く。
それに伴い女子Bも女子Aの後を着いて行った。


美琴「……?」


素直に通してくれたことに違和感を覚えながら、せっかくのチャンスを無駄にしまいと急いで教室を出る。


女子B「……あんな簡単に通してよかったの?」

女子A「な〜に言ってんの。どうせあいつはあの一年共に会いに行ったんでしょ? 楽しいのはこれからなんだから」


女子Aはおもむろに携帯を取り出し、何か操作してそれを耳に当てた。


女子A「あ、もしもし。今御坂美琴そっち行ったから、ちゃんとあいつらが脅迫状通りするか見張っといてね。まぁあたしらとしては、脅迫状に従っても従わなくても結局はどっちでも良いんだけどね、キャハハ☆」


美琴「今日は佐天さんと初春さんと、何話そうかな♪」

__________________
<>
◆kJm4mDjM06<><>2013/01/08(火) 00:04:50.43 ID:x0fIEcdP0<> はい
今日はこれだけです。

久々投下なのにすみません!

今後は少しペースを上げて行きます!
今年もよろしくお願いします!

では! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 00:07:16.19 ID:q06mBHRP0<> アカン
JC怖い。アカン <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 00:08:40.75 ID:9N+lYy9Co<> おつかれーい
続き楽しみにしてるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 00:18:58.00 ID:1nIyfZVso<> もういっそのこと飛び級してとある高校にいけよ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 00:33:33.27 ID:5dWnQL1IO<> 身体能力高いんだからぶん殴ってしまえばいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 07:27:05.42 ID:zbpYAIFu0<> つーか>>1よぉ
何をコンセプトで書いてんの?
めちゃくちゃ不快だからさっさと解決させろよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/08(火) 12:16:29.54 ID:hMhgwneZ0<> 乙

美琴可愛いのいいんだけどそろそろ黒子も欲しいと内心思ってみたり・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 14:22:22.62 ID:J9myWi1S0<> 乙です
ちょっと柵川中に潜入してJC説教してくるわ
おっさんだけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 16:49:47.90 ID:4W5HWrmx0<> 黒子ー! 早く来てくれー!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 17:12:44.21 ID:3yR75MPco<> 黒子なら158を連行中だよ


黒子に連行されるだと?
俺も潜入してくる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/08(火) 18:21:18.52 ID:HJ6oUsiz0<> 名作になる予感……>>1乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/09(水) 16:35:22.32 ID:5o5EN3VU0<> いいかも! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/09(水) 17:29:22.03 ID:+E5Eb4BS0<> おまえら下げろや
>>1が来たと勘違いしやすい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/09(水) 21:58:04.59 ID:M4Ef7Ivb0<> 妹達を味方にすれば一方通行が付属してくる
最強じゃん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/11(金) 22:34:57.39 ID:OoyWunPw0<> 最近来ねえなあ・・・

黒子ぉ・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/11(金) 22:40:29.85 ID:VjxTCGVco<> シスターズを護衛に付ければいいよな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/11(金) 23:02:54.57 ID:KNlz6vau0<> 待ってるぞーい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/12(土) 15:26:49.70 ID:l5HkIcpC0<> まだか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/12(土) 22:45:28.48 ID:In7UU5AL0<> >>1まだですか?

楽しみにして待ってます! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/16(水) 11:35:15.28 ID:XQFSHKPb0<> 失踪か? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/16(水) 17:28:42.92 ID:Lsh1QzxT0<> まだ一週間ちょいしか経ってないのに何言ってんだ
月一更新のSSなんて珍しくもなんともないぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/20(日) 18:49:25.76 ID:WOy0NTL90<> >>1 乙!
  楽しみにしてる

>>160 何!?俺も行ってくる

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/01/20(日) 19:11:42.65 ID:tNP74h0M0<> >>172

ageんなクズ死ね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/20(日) 19:28:14.54 ID:WOy0NTL90<> >>173 いいじゃん(´・ω・` ) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/01/20(日) 19:34:11.41 ID:yTyrzxpi0<> >>174

ローカルルール理解してからこいクズ死ね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/20(日) 19:35:28.69 ID:WOy0NTL90<> 何気にきずつくorz <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/20(日) 19:36:25.83 ID:WOy0NTL90<> てゆーかsageたいの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 19:37:46.43 ID:yTyrzxpi0<> sageたいんじゃなくて
原則>>1以外はsageなきゃいけないんだよクズ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/01/20(日) 19:44:53.56 ID:WOy0NTL90<> そんなことないでしょ(´・ω・` )
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 19:57:05.28 ID:x0HTRVHn0<> >>179

ローカルルールみてこいクズ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 19:58:48.16 ID:WOy0NTL90<> そういうことか
ようやく理解したorz
スマソ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 19:59:32.45 ID:x0HTRVHn0<> おせえよ散々言ってんだろ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 20:01:41.76 ID:WOy0NTL90<> 本当にすまん。゜゜(´Д`。)°゜。
以後気を付けます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 20:02:55.09 ID:x0HTRVHn0<> 顔文字入れんな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 20:13:38.54 ID:WOy0NTL90<> すいません
以後気を付けます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 20:45:01.31 ID:BgAHsrFjo<> 投稿来たのかと思って見たらクソのようなやり取り... <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/20(日) 20:49:04.85 ID:p9um89M10<> ageる奴が悪い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<> sage<>2013/01/20(日) 21:23:21.02 ID:a8JALjJBo<> >>185
しーね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/01/20(日) 23:32:21.45 ID:Gt6ggqpGo<> sageはローカルルールじゃなくて暗黙の了解程度だぞ……
そんなに上げられたくないなら専ブラ使えよ
馬鹿にキレることも無くなる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/21(月) 12:44:32.79 ID:3b6XSyY40<> まだかな〜 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/21(月) 13:37:01.27 ID:aflQW8+IO<> ss速報の自治厨はウザすぎる
上げ下げだけじゃなくて安価にもグダグダとワガママ言ってくるし
まじ害悪 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/01/21(月) 18:19:36.12 ID:ugIU+IvAo<> 安価にワガママ言うのは自治厨じゃなくてただのキチガイだろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<> sage<>2013/01/21(月) 18:27:37.35 ID:g9E4fOiio<> なぜここに書く <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/22(火) 00:49:03.59 ID:L9FKBWOb0<> >>1が来ると信じて待つ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/22(火) 23:57:01.12 ID:ts8LoU9j0<> 来ないな(確信) <> D4gfj2fwA<>[saga] ID:KRyufsghA<>2013/01/27(日) 02:36:46.18 ID:uP1qbrNJ0<> 来い逃げんな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/27(日) 15:43:29.65 ID:jJYc0fda0<> まだ一ヶ月も経ってないだろうが……
早漏多すぎだろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/27(日) 18:57:35.47 ID:ohcjAdVE0<> 2ヶ月間際になってからだよ 騒ぐのは
あと>>196は作者に失礼 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/06(水) 13:17:17.39 ID:P3i3qfg/o<> ルールを守らないのはともかく
それに対して[ピーーー]だのクズだの言ってるやつって
このssにおける美琴を虐めてる生徒と同類だよな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/02/07(木) 00:46:59.41 ID:b//tUKwSo<> まずこんなとこに来てる時点で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/09(土) 10:21:46.31 ID:Ws/JzhKU0<> っていうかマジで来ないんじゃね… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/02/09(土) 22:11:05.64 ID:IWpOOHwT0<> 美琴さんをいじめるDQNが恥を書くのが楽しみです(黒笑) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga sage<>2013/02/09(土) 22:11:56.23 ID:+SWdmSBE0<> >>202

死ね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2013/02/09(土) 22:12:23.09 ID:+SWdmSBE0<> 言葉が足りなかった

上げんな死ね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/02/09(土) 22:21:09.75 ID:FjdkLgSWo<> 上げてなんですか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/09(土) 22:30:53.10 ID:3EVk0gwG0<> >>205
上げたら>>1が来たと勘違いする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/10(日) 02:28:44.26 ID:M/KhL9AG0<> >>206 縺九∪縺縺ィ隱ソ蟄舌↓荵励k縺九i縺九∪縺縺ェ繧w <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/10(日) 02:31:36.22 ID:M/KhL9AG0<> >>207 ミスった すまんwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/10(日) 02:36:43.28 ID:pg0LJ6VLo<> なんの暗号だ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/13(水) 14:42:04.96 ID:F2NHhy7m0<> 来ないのかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/13(水) 19:13:02.79 ID:dnAweAD6o<> そろそろオラッ出てこい>>1のAAが貼られる頃ですね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/13(水) 19:30:47.87 ID:WOVq8QZ/0<> 気付いたら最終更新から1ヶ月以上経ってるのか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga sage<>2013/02/21(木) 19:08:45.33 ID:/wTUe+dJ0<> 騒ぐのは3月になってからでも遅くはない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage sage<>2013/02/23(土) 00:15:14.58 ID:SjuH/dS70<> そろそろ来てほしいな・・・
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/27(水) 20:05:37.59 ID:zou5+J7I0<> 完全に失踪ですね分かります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/05(火) 15:47:25.27 ID:GPKhqaQa0<> まだ粘るか
もしくは誰か書いてもいいんだよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/05(火) 20:00:59.44 ID:cl6jbwYDO<> SS速報は乗っ取り禁止じゃなかったか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/06(水) 20:07:05.37 ID:1eVAEEF40<> もう3月!待ちきれないんだよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage sage<>2013/03/07(木) 23:07:06.93 ID:WQ8BdtDS0<> 生存報告してほしいな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/07(木) 23:10:45.34 ID:PzjQEV02o<> みてるなら報告ぐらいするだろ
つまりスレみてすら居ないんだよ
諦めろってこと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/09(土) 10:31:21.90 ID:+VVldHw30<> 代筆でも完結させてもらいたいけどやっぱいかんのかね <>